電気の傘とハエトリグモ

月澄狸

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電気の傘とハエトリグモ

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 ハエトリグモがよく家の中にいる。
 窓のちょっとした隙間をくぐって入ってくるらしい。

 そんなハエトリグモ、よく電気の傘に乗っている。
 ヤモリのように、光に集まる虫を捕ろうとしているのだろうか?

 電気の傘の上にいてくれると、こちらとしても踏みにくくて安心するし、ハエトリグモが電気の傘をチョロチョロ探索している様子は可愛らしい。

 みんなよく電気の傘に来るけれど、しばらくするといなくなる。他に、壁などお気に入りの場所がある蜘蛛もいる。

 あるとき一匹のハエトリグモが電気の傘にやってきた。そしてなかなか離れなかった。
 もしかしたら私が見分けられておらず、蜘蛛が途中で入れ替わっているのかもしれないけれど……見たところ同じ蜘蛛が何日も電気の傘の上にいた。今日もいるな、今日もいるな、と確認していた。

 けっこう日が経ってからその子もいなくなった。
 他の子はもうちょっと動き回ったりしていたけれど、しばらく電気の傘にいたその子はおとなしく、なんだか上からこちらを見下ろしている感があった。駅の屋根にいるハトみたいに。

 じっと下を見ていることがあったその子……。一体何を見ていたんだろう。


 そんな記憶も少しずつ薄れ、冬がだんだん近づいてくる。










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