生や社会への恐怖、老いや年齢に関する疑問。誰にも聞けないから自問自答する。

未来は思ったより明るいはずと思えば、今の気持ちが明るくなる。未来はコントロールできないけど、とりあえず今の気持ちを明るくすることはできる。

　大人になると腰が痛くなり足が悪くなり、体力も集中力も何もかも衰えていく……
　そんな広告や、「若い頃とは違う」という話を聞く度、震え上がっていた。私は毎日老いていき、体はしんどくなり、やがて好きなことをする気力もなくなり、生きるのに精一杯な期間を過ごした後に死んでいくのかと。

　鏡を見て、シワやシミが増えている気がするのが怖かった。シワやシミ自体が怖いというより、日々進む老いが恐ろしかったのかもしれない。

　今日も夢叶わず落ちこぼれ。好きなこともろくにできないうちに死んでいくのか。それに、お金を手に入れられなくても地獄だけど、せっかく手に入れたとしてもどうせ死ぬのか……。若いうちに夢を叶え、大金持ちになって、何の心配もなく遊び暮らしたかったなぁ……。と、なんだか希望がなくなり、いっとき無意味に鏡ばかり見つめていた。

　しかし最近、仕事で心の師匠と組むようになった。お年はたしか85歳くらい……すごくテキパキとしていらっしゃって、私のような落ちこぼれにも優しく、見落としたことや知らないことを教えてくださる。
　輝いているご老人はすごく素敵だ。テレビでもすごいご老人を見て、思う。私も何歳になってもこんなふうに生きられるかもしれない、と。

　既に目も悪いし腰も痛いけど、まぁしょうがない。未来のテクノロジーがどうにかこうにかしてくれるかもしれない。毎日どんよりしていたって楽しくない。今日走りたいなら走り、遊びたいなら遊び、創作したいならする。好きにできるときに好きにしよう。

　たくましい師匠の働きぶりを見ながら、明るい未来を想像したくなった。シミやシワを気にするのもやめた。
　どうせみんないつかは骨になるのだ。骨になればシミもシワもへったくれもない。

　人は死ぬ。けど魂は永遠のものだと信じる。
　でも命は有限だから、旅行を有意義に楽しもうとするように、人生も有意義に楽しみたい。

　お金や肉体などの、やがて失われるものに囚われすぎなくたって良いじゃないか。
　まぁある程度囚われないと生きていけないと分かったから、匙加減が難しいんだけど……。