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がんばりたくない(エサとかナワバリとかつがいとか命とか)
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世界はエサやナワバリやつがいの話で溢れている。
なんでもその方向に持って行き、理解し、体験しなければ生物失格らしい。私は肩身が狭い。
エサやナワバリやつがいの話をバカにしてなどいない。それらは生物の根源的な土台であり、それを否定するということは、石橋を渡りながら足元を叩き割るようなものだ。
自分一匹が生きていく量のエサを手に入れるのもすごく大変なことだし、ナワバリだって手に入れるのも守るのも大変である。つがいになるのだって相手と相当コミュニケーションを取らなければいけないのだろうし、すべて大仕事だ。
ただ娯楽でも真面目なことでもほとんどそれに関する話しかない。歌や本や、非現実的なファンタジーだって大抵つがいやナワバリの話である。
考え方というのもナワバリを守るための防御策であったりする。
時には本気でナワバリを奪いにかかってくるヤツもいるだろうし、仲間と共にまわりを囲んでジワジワ攻めてくるヤツもいるだろう。しかしまわりの個体とコミュニケーションを取りながらうまく共存する術も知らなければいけない。精神的に負ければナワバリも失う……だからみんな自分を守るために、強い考え方を求めるのだ。
そんな風潮に何か時々疲れてしまう。でも自分の生態からは抜け出せない。腹が減るからとにかくエサは必要だし、そのためにはナワバリだって必要で。
しかし私に食べられたエサだって同じように日々生きたはずの命なのだ。ナワバリを持ち、つがいを求め、懸命に鳴き、喜び、恐怖を感じただろう。まるで変わらない。食べる者の世界も食べられる者の世界も、きっと。
大きな魚がいて、その次に大きな魚、次は普通の魚、そして小さな魚……
どの大きさでも世界は永遠に続いている。きっと同じような仕組みで。
そんなことばかり頭をグルグル回るときは、とりあえず月や星を見る。風や波を感じる。
ちょっとでも違うもの、私たちの一個体よりは永遠に近いものを眺め、さらにその先にある本当の永遠を探す。
星が死に、風が止まり、水が消える可能性だってなくはないだろう。
それでもきっと別の星にはまた似たような光景が広がる。
私という一個体が死んでも、同じような生き物がこれからもたくさん生きていくように。
……なんだ、どこもあまり変わらないのかもしれないな。
なんでもその方向に持って行き、理解し、体験しなければ生物失格らしい。私は肩身が狭い。
エサやナワバリやつがいの話をバカにしてなどいない。それらは生物の根源的な土台であり、それを否定するということは、石橋を渡りながら足元を叩き割るようなものだ。
自分一匹が生きていく量のエサを手に入れるのもすごく大変なことだし、ナワバリだって手に入れるのも守るのも大変である。つがいになるのだって相手と相当コミュニケーションを取らなければいけないのだろうし、すべて大仕事だ。
ただ娯楽でも真面目なことでもほとんどそれに関する話しかない。歌や本や、非現実的なファンタジーだって大抵つがいやナワバリの話である。
考え方というのもナワバリを守るための防御策であったりする。
時には本気でナワバリを奪いにかかってくるヤツもいるだろうし、仲間と共にまわりを囲んでジワジワ攻めてくるヤツもいるだろう。しかしまわりの個体とコミュニケーションを取りながらうまく共存する術も知らなければいけない。精神的に負ければナワバリも失う……だからみんな自分を守るために、強い考え方を求めるのだ。
そんな風潮に何か時々疲れてしまう。でも自分の生態からは抜け出せない。腹が減るからとにかくエサは必要だし、そのためにはナワバリだって必要で。
しかし私に食べられたエサだって同じように日々生きたはずの命なのだ。ナワバリを持ち、つがいを求め、懸命に鳴き、喜び、恐怖を感じただろう。まるで変わらない。食べる者の世界も食べられる者の世界も、きっと。
大きな魚がいて、その次に大きな魚、次は普通の魚、そして小さな魚……
どの大きさでも世界は永遠に続いている。きっと同じような仕組みで。
そんなことばかり頭をグルグル回るときは、とりあえず月や星を見る。風や波を感じる。
ちょっとでも違うもの、私たちの一個体よりは永遠に近いものを眺め、さらにその先にある本当の永遠を探す。
星が死に、風が止まり、水が消える可能性だってなくはないだろう。
それでもきっと別の星にはまた似たような光景が広がる。
私という一個体が死んでも、同じような生き物がこれからもたくさん生きていくように。
……なんだ、どこもあまり変わらないのかもしれないな。
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