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第86話 “好き”で生きる、それが俺たちの契約
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カフェの外では、夕焼けがゆっくりと街を染めていた。
高層ビルのガラスがオレンジを反射し、
昼の喧騒はすでに遠く、今はBGMだけが小さく流れている。
「――じゃあ、最後の話をしようか」
相川が背もたれに体を預け、静かに言った。
その声には、さっきまでの鋭さではなく、
“本気で仲間として向き合う覚悟”が宿っていた。
俺はカバンから茶色い封筒を取り出した。
中から三枚の紙を、丁寧にテーブルへ並べる。
「……これ、約束書です。まだ正式な会社じゃないけど、
“俺たちの信頼”を、形にしておきたくて」
ボールペンの跡が、紙の裏までくっきりと浮き出ていた。
何度も上から書き足した線が、インクの厚みでわかる。
ペンを握っていた夜のことを思い出し、指先に力が入った。
2人は無言でその紙を覗き込む。
店のBGMが遠くに霞んで、その音だけが、静かな店内に響いていた。
―
Re:Try 仮契約書(創業初期案)
1.チーム名(予定):Re:Try株式会社
意味は――「もう一度、挑戦する」
失敗しても、立ち止まってもいい。
努力を記録して、もう一度立ち上がる。
俺たちの挑戦は、何度でも更新できる。
それを証明するための、“再挑戦ログ(Re:Try)”だ。
―
2.株の配分(初期案)
• CEO(代表)佐久間陽斗:35%
• COO(運営統括)佐藤大輝:20%
• CTO(技術責任者)相川蓮:20%
• CFO(財務・契約・予定):15%
• CMO(広報・ブランド戦略・予定):10%
※将来的に、チームの5人がそれぞれの分野でリーダーとなる構成を想定。
※新規加入メンバーは、代表含め全員の合意で決定する。
―
相川が資料を見て、目を細めた。
「……35%か。思ってたより控えめだな」
「責任の分、少しだけ多めにしてます。
でも、俺ひとりで引っ張るつもりはない。みんなで進むチームにしたいんです」
佐藤が笑った。
「へぇ~。社長のくせに謙虚じゃん。
でも、“お前らとじゃなきゃやらねぇ”って顔してるな」
「バレたか」
相川が視線を落とし、資料の下段を指で軽く叩く。
「……最初から“席”を用意してあるのか」
「はい。財務と広報は、最初から必要になると思ってました。
俺たち3人だけじゃ、資金も発信も届く範囲が限られます。
だから、“迎える余白”をあえて残しておいたんです」
相川の表情がわずかに和らぐ。
「……いい判断だな」
相川は手元のペンを回しながら、小さく笑った。
「……俺、そういう“余白の設計”が一番好きだ」
―
3.高校卒業までは報酬ゼロ。
その代わり、活動に必要な経費(機材・交通・食事)は全額サポートとする。
「金のためじゃなく、信念で走る」――それを最初の信条とする。
ただし、プロジェクトが黒字化した場合は、貢献度に応じて公平に還元する。
努力は“無償”で始めても、“無価値”では終わらせない。
Re:Tryは、想いも成果も等しく報われるチームであることを誓う。
―
4.重大な決定は、メンバーの三分の二以上の賛成で決める。
ただし、“安全”や“個人情報”に関わることだけは――
相川が、静かに手を上げた。
「ちょっと待て。その部分、俺に“ストップ権”をくれ」
「……ストップ権?」
「そう。“止める権利”だ」
相川は指でテーブルを軽く叩きながら言う。
「人を救うアプリを作るなら、暴走した瞬間に止める人間が必要だ。
もし“危ない提案”が出た時、それを止めるのは――技術を一番知ってる俺の役目だ」
その言葉に、俺も佐藤も息を呑んだ。
冷静なのに、どこか温かい。
守るための強さ――それが、相川という人間だった。
数秒の沈黙のあと、佐藤がふっと笑う。
「いいじゃないっすか、それ。……そのまま書きましょう」
俺はペンを取り、慎重に書き加えた。
※ CTOは“安全・倫理・個人情報”に関して、ストップ権を持つ。
これは“守るための仕組み”とする。
相川はしばらく紙を見つめ、頷いた。
「……守る力を持つチームは、きっと強い」
その声は静かだったけど、確かな重みがあった。
―
5.もし、このチームを解散することになったら――
“在籍年数”と“貢献度”で持株をいったん凍結して、
あとで全員で話し合って分け直す。
これは、“喧嘩別れ防止ルール”。
誰かが感情で抜けても、
残った仲間の“努力の証”まで壊れないようにするためだ。
Re:Tryは、終わるためのチームじゃない。
“もう一度やり直すためのチーム”だ。
解散は失敗じゃなく、次の挑戦への休憩ポイント。
その想いを、ルールの形で残しておきたかった。
佐藤が笑って言う。
「……いいな、それ。解散しても“ログ”が残るんだな」
相川が頷く。
「“終わり方”を決めてるチームは、長く続く。……俺はそう思う」
その言葉に、胸の奥がじんと熱くなる。
たぶんこの瞬間――
Re:Tryは、ただのプロジェクトじゃなく、“仲間の名前”になった。
―
「俺の20%は、“走る分”な!」
佐藤が胸を叩いて笑う。
「SNSも学校も、先生も保護者も――ぜんぶ俺が話してくる。
広報も営業も、まとめて任せろ!」
「それなら俺は、“守る”側だな」
相川が腕を組み、静かにうなずいた。
「このチームのコードと理念、両方、俺が守る」
「……助かります」
俺は小さく笑い、最後のページに一行書き足した。
“好きで腹一杯になる生き方”――まず、俺たちが証明する。
ペン先が止まる。
インクの匂いとコーヒーの香りが、ゆるく混じり合う。
胸の奥が、じんわりと熱を帯びた。
「……いい言葉だな」
相川がぽつりと呟く。
その声には、ほんのわずかに震えがあった。
「よし、署名しようぜ」
佐藤がペンを構え、勢いよくサインする。
俺も続き、最後に相川が静かに名前を書いた。
インクが紙を走る音が、
まるで“Re:Tryの始動音”のように響いた。
―
ピコン。
【クエスト達成】
タイトル:「契約完了 - Re:Try正式結成」
内容:チームRe:Tryが正式に法人化準備フェーズへ移行。
報酬:SP+3/信頼度(佐藤・相川)+3
―
青白いウインドウの光が、3人のサインを照らす。
まるで、誰かが“この瞬間を記録してくれた”みたいに。
「……これで、“Re:Try”が動き出す。」
俺はノートPCを閉じ、深呼吸した。
胸の奥に、確かな熱が宿っている。
「夢、現実にしようぜ」
佐藤が拳を突き出す。
「……俺は、腹を満たす側だ」
相川が笑って、その拳に自分のを重ねた。
三つの拳がぶつかる瞬間、
カラン、と氷が鳴った。
―
店を出ると、夜風が少し冷たくなっていた。
街灯が並ぶ帰り道。
ポケットの中の契約書が、鼓動に合わせて温かい。
(“好き”で腹一杯にする。必ず証明する)
その誓いが――
確かに、俺たち3人をひとつにした。
―
【ステータス:8月上旬/相川加入イベント】
(※【 】内は今回上昇分)
◆基本情報
名前:佐久間 陽斗(17)
身長:180.8cm 体重:63.0kg(体脂肪率9.0%)
◆能力値
筋力:32.5 耐久:34 知力:34.2 魅力:45.2
SP:20【+3】スキル:31(展開可能)
◆資産
総資産:1,543,000円
投資中:60,000円 利益:+100,000円
◆称号
注目の存在/ヒーロー/聖夜を共に/女子人気独占/自己信頼/若き経営者
◆Re:Tryメンバー
COO:佐藤大輝(信頼度78/加入済)【+3】
CTO:相川蓮(信頼度53/加入済)【+3】
◆イベント
Project Re:Try(発生中)
水城遥(好感度89/恋愛条件未達)
一ノ瀬凛(好感度89/恋愛条件未達)
星野瑠奈(好感度89/恋愛条件未達)
高層ビルのガラスがオレンジを反射し、
昼の喧騒はすでに遠く、今はBGMだけが小さく流れている。
「――じゃあ、最後の話をしようか」
相川が背もたれに体を預け、静かに言った。
その声には、さっきまでの鋭さではなく、
“本気で仲間として向き合う覚悟”が宿っていた。
俺はカバンから茶色い封筒を取り出した。
中から三枚の紙を、丁寧にテーブルへ並べる。
「……これ、約束書です。まだ正式な会社じゃないけど、
“俺たちの信頼”を、形にしておきたくて」
ボールペンの跡が、紙の裏までくっきりと浮き出ていた。
何度も上から書き足した線が、インクの厚みでわかる。
ペンを握っていた夜のことを思い出し、指先に力が入った。
2人は無言でその紙を覗き込む。
店のBGMが遠くに霞んで、その音だけが、静かな店内に響いていた。
―
Re:Try 仮契約書(創業初期案)
1.チーム名(予定):Re:Try株式会社
意味は――「もう一度、挑戦する」
失敗しても、立ち止まってもいい。
努力を記録して、もう一度立ち上がる。
俺たちの挑戦は、何度でも更新できる。
それを証明するための、“再挑戦ログ(Re:Try)”だ。
―
2.株の配分(初期案)
• CEO(代表)佐久間陽斗:35%
• COO(運営統括)佐藤大輝:20%
• CTO(技術責任者)相川蓮:20%
• CFO(財務・契約・予定):15%
• CMO(広報・ブランド戦略・予定):10%
※将来的に、チームの5人がそれぞれの分野でリーダーとなる構成を想定。
※新規加入メンバーは、代表含め全員の合意で決定する。
―
相川が資料を見て、目を細めた。
「……35%か。思ってたより控えめだな」
「責任の分、少しだけ多めにしてます。
でも、俺ひとりで引っ張るつもりはない。みんなで進むチームにしたいんです」
佐藤が笑った。
「へぇ~。社長のくせに謙虚じゃん。
でも、“お前らとじゃなきゃやらねぇ”って顔してるな」
「バレたか」
相川が視線を落とし、資料の下段を指で軽く叩く。
「……最初から“席”を用意してあるのか」
「はい。財務と広報は、最初から必要になると思ってました。
俺たち3人だけじゃ、資金も発信も届く範囲が限られます。
だから、“迎える余白”をあえて残しておいたんです」
相川の表情がわずかに和らぐ。
「……いい判断だな」
相川は手元のペンを回しながら、小さく笑った。
「……俺、そういう“余白の設計”が一番好きだ」
―
3.高校卒業までは報酬ゼロ。
その代わり、活動に必要な経費(機材・交通・食事)は全額サポートとする。
「金のためじゃなく、信念で走る」――それを最初の信条とする。
ただし、プロジェクトが黒字化した場合は、貢献度に応じて公平に還元する。
努力は“無償”で始めても、“無価値”では終わらせない。
Re:Tryは、想いも成果も等しく報われるチームであることを誓う。
―
4.重大な決定は、メンバーの三分の二以上の賛成で決める。
ただし、“安全”や“個人情報”に関わることだけは――
相川が、静かに手を上げた。
「ちょっと待て。その部分、俺に“ストップ権”をくれ」
「……ストップ権?」
「そう。“止める権利”だ」
相川は指でテーブルを軽く叩きながら言う。
「人を救うアプリを作るなら、暴走した瞬間に止める人間が必要だ。
もし“危ない提案”が出た時、それを止めるのは――技術を一番知ってる俺の役目だ」
その言葉に、俺も佐藤も息を呑んだ。
冷静なのに、どこか温かい。
守るための強さ――それが、相川という人間だった。
数秒の沈黙のあと、佐藤がふっと笑う。
「いいじゃないっすか、それ。……そのまま書きましょう」
俺はペンを取り、慎重に書き加えた。
※ CTOは“安全・倫理・個人情報”に関して、ストップ権を持つ。
これは“守るための仕組み”とする。
相川はしばらく紙を見つめ、頷いた。
「……守る力を持つチームは、きっと強い」
その声は静かだったけど、確かな重みがあった。
―
5.もし、このチームを解散することになったら――
“在籍年数”と“貢献度”で持株をいったん凍結して、
あとで全員で話し合って分け直す。
これは、“喧嘩別れ防止ルール”。
誰かが感情で抜けても、
残った仲間の“努力の証”まで壊れないようにするためだ。
Re:Tryは、終わるためのチームじゃない。
“もう一度やり直すためのチーム”だ。
解散は失敗じゃなく、次の挑戦への休憩ポイント。
その想いを、ルールの形で残しておきたかった。
佐藤が笑って言う。
「……いいな、それ。解散しても“ログ”が残るんだな」
相川が頷く。
「“終わり方”を決めてるチームは、長く続く。……俺はそう思う」
その言葉に、胸の奥がじんと熱くなる。
たぶんこの瞬間――
Re:Tryは、ただのプロジェクトじゃなく、“仲間の名前”になった。
―
「俺の20%は、“走る分”な!」
佐藤が胸を叩いて笑う。
「SNSも学校も、先生も保護者も――ぜんぶ俺が話してくる。
広報も営業も、まとめて任せろ!」
「それなら俺は、“守る”側だな」
相川が腕を組み、静かにうなずいた。
「このチームのコードと理念、両方、俺が守る」
「……助かります」
俺は小さく笑い、最後のページに一行書き足した。
“好きで腹一杯になる生き方”――まず、俺たちが証明する。
ペン先が止まる。
インクの匂いとコーヒーの香りが、ゆるく混じり合う。
胸の奥が、じんわりと熱を帯びた。
「……いい言葉だな」
相川がぽつりと呟く。
その声には、ほんのわずかに震えがあった。
「よし、署名しようぜ」
佐藤がペンを構え、勢いよくサインする。
俺も続き、最後に相川が静かに名前を書いた。
インクが紙を走る音が、
まるで“Re:Tryの始動音”のように響いた。
―
ピコン。
【クエスト達成】
タイトル:「契約完了 - Re:Try正式結成」
内容:チームRe:Tryが正式に法人化準備フェーズへ移行。
報酬:SP+3/信頼度(佐藤・相川)+3
―
青白いウインドウの光が、3人のサインを照らす。
まるで、誰かが“この瞬間を記録してくれた”みたいに。
「……これで、“Re:Try”が動き出す。」
俺はノートPCを閉じ、深呼吸した。
胸の奥に、確かな熱が宿っている。
「夢、現実にしようぜ」
佐藤が拳を突き出す。
「……俺は、腹を満たす側だ」
相川が笑って、その拳に自分のを重ねた。
三つの拳がぶつかる瞬間、
カラン、と氷が鳴った。
―
店を出ると、夜風が少し冷たくなっていた。
街灯が並ぶ帰り道。
ポケットの中の契約書が、鼓動に合わせて温かい。
(“好き”で腹一杯にする。必ず証明する)
その誓いが――
確かに、俺たち3人をひとつにした。
―
【ステータス:8月上旬/相川加入イベント】
(※【 】内は今回上昇分)
◆基本情報
名前:佐久間 陽斗(17)
身長:180.8cm 体重:63.0kg(体脂肪率9.0%)
◆能力値
筋力:32.5 耐久:34 知力:34.2 魅力:45.2
SP:20【+3】スキル:31(展開可能)
◆資産
総資産:1,543,000円
投資中:60,000円 利益:+100,000円
◆称号
注目の存在/ヒーロー/聖夜を共に/女子人気独占/自己信頼/若き経営者
◆Re:Tryメンバー
COO:佐藤大輝(信頼度78/加入済)【+3】
CTO:相川蓮(信頼度53/加入済)【+3】
◆イベント
Project Re:Try(発生中)
水城遥(好感度89/恋愛条件未達)
一ノ瀬凛(好感度89/恋愛条件未達)
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