91 / 129
第91話 “Re:Try”――この名前に誓いを込めて
しおりを挟む
8月27日。夕方。
夕飯のあと、食卓にはまだ湯気の残る味噌汁の匂いが漂っていた。
テレビの音が遠くで流れている。
父は新聞を畳み、母は食器を片づけ、妹の美咲は宿題をしていた。
(……言うなら、今しかない)
喉が渇く。手のひらに少し汗がにじむ。
俺は深呼吸して、ゆっくり切り出した。
「母さん、父さん……ちょっと話があるんだ」
3人の視線がこちらに向く。
父の眉が、わずかに上がった。
「なんだ?そんな深刻な顔して」
「えっと……変な話に聞こえるかもしれないけど」
俺は一度、唾を飲み込んだ。
「“会社”を作りたいんだ」
一瞬、空気が止まった。
テレビの音だけが、遠くで流れている。
「……は?」
母が皿を持ったまま固まる。
「ちょ、ちょっと待って。会社? なにそれ、冗談でしょ?」
「冗談じゃないよ」
俺はまっすぐに言った。
「ちょっと、あんた高校生よ?」
母が思わず笑いながら言う。
でも、その笑いは途中で止まった。
俺の顔を見て――本気だと気づいたからだ。
「……ほんとに言ってるの?」
母の声がかすかに震えた。
「うん。でも、“名義”だけ母さんにお願いしたい。
実際の運営は俺と、友達の佐藤――それから、学校の先輩でプログラムに強い人がいるんだ。
その人、相川先輩と一緒にやるつもり」
父が新聞をたたんだ。
ページの音が、妙に大きく響く。
「お前、何を言ってるんだ。会社って……ゲームの話か?」
「違う。本当の会社。アプリを作るんだ」
「アプリ?」
母が目を丸くする。
「何それ、スマホの?」
「“TRY-LOG”っていう、努力を記録するやつ。
子どもでも安心して使えるように、試作を進めてる。
でも、次の段階で――会社として登録しないと、契約も資金も動かせないんだ」
「……危なくないの? 変な契約とか、借金とか」
母が皿を置いて言う。
「しない。資金は全部、俺の貯金を使う。
最初の出資は――80万円」
母の目が一瞬、丸くなる。
「80万!? ちょっと、そんなお金どこから……」
「覚えてる? 去年、株始めたときのこと。
“経過をちゃんと見せる”って約束してたあれ」
「あれ……まさか、まだやってたの?」
「うん。最初の数万円が、たまたま上がって――それをずっと運用してた。
元手は増やしてない。運が良かっただけ。でも、ちゃんと記録もある」
嘘は言っていない。
けれど、“どの口座の記録か”までは、さすがに見せられなかった。
父が低い声で言った。
「そんな簡単に金が増えるわけないだろ」
「……わかってる。普通はそうだと思う。
でも、俺は“数値を読む”のが得意なんだ。
タイミングも、リスクも、全部“見て”動いた」
――【スキル発動:カリスマ性Lv1/会話術Lv1】
胸の奥で、波立っていたものが静かに沈む。
声のトーンが自然に整い、言葉が芯を持って響く。
父の眉が、わずかに緩んだ。
理屈じゃない。“伝わる”という感覚だけが確かにあった。
これが、数字で見えない【カリスマ性】なのかもしれない。
「証券口座も、母さんの確認済み。
リスクは取らない。だから――今回は、その“成果”を使いたい」
数秒の沈黙。
父が腕を組んだまま、ゆっくりと息を吐く。
「……冗談じゃないんだな?」
「うん」
「なら、ちゃんと見せろ。数字も、計画も」
「全部まとめてある。……ちょっと待ってて」
俺は立ち上がり、部屋からノートPCを持ってきた。
USBを差し込み、ファイルを開く。
「これ、さっき話した相川先輩がまとめた設計データ。
俺が作ろうとしているアプリ、TRY-LOGの構成、試作費の見積もり、開発スケジュール――全部入ってる」
父は腕を組んだまま、ゆっくり画面を覗き込んだ。
スクロールする指先に合わせて、グラフや工程表が映し出される。
数秒の沈黙。
やがて、父が小さくうなった。
「……本気なんだな」
「うん」
もう一度、画面を見てから、父は姿勢を少し崩し、
腕をほどいて、ぽつりとつぶやいた。
「すごいな。高校生が作ったとは思えない。
ちゃんと考えてるじゃないか」
「本気だよ。俺たちのやってること、まだ小さいけど――
“努力が報われる仕組み”を作りたい。
誰かの“もう一度頑張ろう”を支えたいんだ」
母が少しだけ笑った。
「……あんた、そういうとこ、父さんに似てるね」
「俺に? どこがだ」
父が眉をしかめる。
「昔、自営業やろうとして、子ども向けの学習サポート始めようとしたでしょ。
家で教材作ったり、近所の子に勉強教えたりしてたじゃない」
父が照れくさそうに頭をかいた。
「ああ、そんなこともあったな。
会社を辞めてでもやってみようかと思ったけど――
家族がいたし、現実はそんなに甘くなかった」
その声には、どこか懐かしさと、少しの悔しさが混じっていた。
俺は無言でうなずいた。
横で黙って聞いていた美咲が、顔を上げる。
「え、パパそんなことしてたの?」
「……まあ、若気の至りだ」
母が笑った。
「だったら、陽斗にも一回くらい“若気の至り”させてあげようか」
父はため息をつきながら、モニターを閉じた。
「……書類の準備、俺も手伝う。登記関係は面倒だ」
「え……いいの?」
「どうせ止めてもやるだろ。だったら、正しい形でやれ」
母も頷く。
「印鑑証明と同意書、明日取りに行くわ」
美咲が少し目を丸くした。
「……お兄ちゃん、社長になるの?」
口元に笑みを浮かべながらも、どこか本気の眼差しだった。
「名義は母さん。でも中身は俺たち」
「ふーん……なんか、かっこいいじゃん」
少し照れたように笑って、妹はスマホをいじる。
笑いが広がる。
けれどその中で、胸の奥は静かに熱を帯びていた。
この家の灯りの下から、俺たちの“現実”が始まる。
―
8月30日。公証役場と法務局。
登記申請、完了。
法務局の窓口で、受付印が押された申請書を受け取る。
母の名前の印鑑の横に、「株式会社Re:Try」の文字。
3日間、父も母も、相川も佐藤も総出で動いてくれた。
相川が定款をまとめ、父が登記の流れを調べ、佐藤が役所との確認を取り、母が印鑑証明を整えた。
その間、美咲はリビングで書類を束ねる母を手伝いながら、
「お兄ちゃん、本当に会社作るんだね」と何度も笑っていた。
家族と仲間、みんなで一つの船を押し出したようだった。
あとは、法務局からの“完了通知”を待つだけ。
でも、その小さな紙切れが――俺たちの“現実の第一歩”になる。
「……これで、本当に“会社”なんだな」
母が微笑む。
「まさか、高校生の登記に家族総出になるとはね」
そのとき、スマホが震えた。
画面には「相川蓮」。
「どうだった?」
「はい、無事終わりました」
少し間を置いて、相川の声が返ってくる。
「設立日は8月30日。――忘れんな、社長」
通話が切れたあとも、胸の奥ではまだその声が響いていた。
外に出ると、少し涼しい風が吹いた。
8月の終わり――夏の背中が、遠ざかっていく気がした。
―
夜。相川の部屋。
テーブルの上に並んだのは、缶コーヒー3本。
グラスも乾杯の音もない。ただ、金属のプルタブが三つ、同時に開く音だけが響いた。
「株式会社Re:Try、設立おめでとう」
相川が静かに言い、佐藤がニヤッと笑った。
「これで正式に“社会人”か。なんか背中がムズムズするな」
「まだ始まったばっかだよ」
俺は缶を軽く合わせながら言った。
「次は――本格的なアプリ開発。予算を動かして、TRY-LOGを“動く形”にする」
「資金は80万。デザインと“使いやすさ”の部分は、俺がまとめて共有する」
相川がPCを開く。画面にはTRY-LOGの設計図と、コードの断片が映っていた。
白い文字が流れるたび、まるでアプリの“心臓”が少しずつ動き出しているようだった。
「この3人で、ちゃんと“世界に出せるもの”を作る」
佐藤が笑う。
「学校始まっても止まれねぇな、これ」
「疲れたら、止まってもいい」
俺は笑って言った。
「“また挑戦できる”――それが、“Re:Try”だろ?」
外では虫の声が響いていた。
窓の外の空には、うっすらと秋の月が浮かんでいる。
―
【クエスト達成】
内容:「株式会社Re:Try」設立
報酬:信頼度(佐藤大輝)+5 → 83
報酬:信頼度(相川蓮)+5 → 58
【スキルLvアップ】
名称:共闘Lv1 → 共闘Lv2
効果:佐久間・佐藤の行動指数(筋力)+5(常時)
―
2日後――9月1日、新学期。
俺たちの“Re:Try”も、ここから新しく動き出す。
―
【Project Re:Try:試して、確かめる/第一段階レポート】
※【 】内は今回上昇分
◆日時:8月30日
◆目標:会社設立・試作版稼働
◆進行状況:Phase.02進行中(登記・動作確認)
◆目的:
「続けやすい“努力記録”を、デジタルで形にする」
“努力のデータ化”ではなく、“努力の共感化”を目指す。
◆メンバー構成:
・佐久間陽斗(CEO/代表・企画)
行動指数(筋力):35.5【+2】/継続性(耐久力):34.0/構想力(知力):34.2/共感力(魅力):45.2
SP:25/スキル保持数:31
・佐藤大輝(COO/営業統括/信頼度83)
・相川蓮(CTO/開発・解析/信頼度58)
◆資産状況:
総資産:1,330,000円
→ 登記費用:約200,000円(登録免許税・定款認証ほか)
◆進行状況:
・株式会社Re:Try 設立完了(代表:佐久間母 名義)
・TRY-LOG 試作版 Ver.0.1 作成開始
◆次段階予定(Phase.02)
「手書きログのデジタル化」
→ TRY-LOGをベースに、AI解析を導入。
“続く言葉”の抽出と分類を開始予定。
――これは報告書でもあり、俺たちの“航海日誌”でもある。
(記録者:佐久間陽斗)
夕飯のあと、食卓にはまだ湯気の残る味噌汁の匂いが漂っていた。
テレビの音が遠くで流れている。
父は新聞を畳み、母は食器を片づけ、妹の美咲は宿題をしていた。
(……言うなら、今しかない)
喉が渇く。手のひらに少し汗がにじむ。
俺は深呼吸して、ゆっくり切り出した。
「母さん、父さん……ちょっと話があるんだ」
3人の視線がこちらに向く。
父の眉が、わずかに上がった。
「なんだ?そんな深刻な顔して」
「えっと……変な話に聞こえるかもしれないけど」
俺は一度、唾を飲み込んだ。
「“会社”を作りたいんだ」
一瞬、空気が止まった。
テレビの音だけが、遠くで流れている。
「……は?」
母が皿を持ったまま固まる。
「ちょ、ちょっと待って。会社? なにそれ、冗談でしょ?」
「冗談じゃないよ」
俺はまっすぐに言った。
「ちょっと、あんた高校生よ?」
母が思わず笑いながら言う。
でも、その笑いは途中で止まった。
俺の顔を見て――本気だと気づいたからだ。
「……ほんとに言ってるの?」
母の声がかすかに震えた。
「うん。でも、“名義”だけ母さんにお願いしたい。
実際の運営は俺と、友達の佐藤――それから、学校の先輩でプログラムに強い人がいるんだ。
その人、相川先輩と一緒にやるつもり」
父が新聞をたたんだ。
ページの音が、妙に大きく響く。
「お前、何を言ってるんだ。会社って……ゲームの話か?」
「違う。本当の会社。アプリを作るんだ」
「アプリ?」
母が目を丸くする。
「何それ、スマホの?」
「“TRY-LOG”っていう、努力を記録するやつ。
子どもでも安心して使えるように、試作を進めてる。
でも、次の段階で――会社として登録しないと、契約も資金も動かせないんだ」
「……危なくないの? 変な契約とか、借金とか」
母が皿を置いて言う。
「しない。資金は全部、俺の貯金を使う。
最初の出資は――80万円」
母の目が一瞬、丸くなる。
「80万!? ちょっと、そんなお金どこから……」
「覚えてる? 去年、株始めたときのこと。
“経過をちゃんと見せる”って約束してたあれ」
「あれ……まさか、まだやってたの?」
「うん。最初の数万円が、たまたま上がって――それをずっと運用してた。
元手は増やしてない。運が良かっただけ。でも、ちゃんと記録もある」
嘘は言っていない。
けれど、“どの口座の記録か”までは、さすがに見せられなかった。
父が低い声で言った。
「そんな簡単に金が増えるわけないだろ」
「……わかってる。普通はそうだと思う。
でも、俺は“数値を読む”のが得意なんだ。
タイミングも、リスクも、全部“見て”動いた」
――【スキル発動:カリスマ性Lv1/会話術Lv1】
胸の奥で、波立っていたものが静かに沈む。
声のトーンが自然に整い、言葉が芯を持って響く。
父の眉が、わずかに緩んだ。
理屈じゃない。“伝わる”という感覚だけが確かにあった。
これが、数字で見えない【カリスマ性】なのかもしれない。
「証券口座も、母さんの確認済み。
リスクは取らない。だから――今回は、その“成果”を使いたい」
数秒の沈黙。
父が腕を組んだまま、ゆっくりと息を吐く。
「……冗談じゃないんだな?」
「うん」
「なら、ちゃんと見せろ。数字も、計画も」
「全部まとめてある。……ちょっと待ってて」
俺は立ち上がり、部屋からノートPCを持ってきた。
USBを差し込み、ファイルを開く。
「これ、さっき話した相川先輩がまとめた設計データ。
俺が作ろうとしているアプリ、TRY-LOGの構成、試作費の見積もり、開発スケジュール――全部入ってる」
父は腕を組んだまま、ゆっくり画面を覗き込んだ。
スクロールする指先に合わせて、グラフや工程表が映し出される。
数秒の沈黙。
やがて、父が小さくうなった。
「……本気なんだな」
「うん」
もう一度、画面を見てから、父は姿勢を少し崩し、
腕をほどいて、ぽつりとつぶやいた。
「すごいな。高校生が作ったとは思えない。
ちゃんと考えてるじゃないか」
「本気だよ。俺たちのやってること、まだ小さいけど――
“努力が報われる仕組み”を作りたい。
誰かの“もう一度頑張ろう”を支えたいんだ」
母が少しだけ笑った。
「……あんた、そういうとこ、父さんに似てるね」
「俺に? どこがだ」
父が眉をしかめる。
「昔、自営業やろうとして、子ども向けの学習サポート始めようとしたでしょ。
家で教材作ったり、近所の子に勉強教えたりしてたじゃない」
父が照れくさそうに頭をかいた。
「ああ、そんなこともあったな。
会社を辞めてでもやってみようかと思ったけど――
家族がいたし、現実はそんなに甘くなかった」
その声には、どこか懐かしさと、少しの悔しさが混じっていた。
俺は無言でうなずいた。
横で黙って聞いていた美咲が、顔を上げる。
「え、パパそんなことしてたの?」
「……まあ、若気の至りだ」
母が笑った。
「だったら、陽斗にも一回くらい“若気の至り”させてあげようか」
父はため息をつきながら、モニターを閉じた。
「……書類の準備、俺も手伝う。登記関係は面倒だ」
「え……いいの?」
「どうせ止めてもやるだろ。だったら、正しい形でやれ」
母も頷く。
「印鑑証明と同意書、明日取りに行くわ」
美咲が少し目を丸くした。
「……お兄ちゃん、社長になるの?」
口元に笑みを浮かべながらも、どこか本気の眼差しだった。
「名義は母さん。でも中身は俺たち」
「ふーん……なんか、かっこいいじゃん」
少し照れたように笑って、妹はスマホをいじる。
笑いが広がる。
けれどその中で、胸の奥は静かに熱を帯びていた。
この家の灯りの下から、俺たちの“現実”が始まる。
―
8月30日。公証役場と法務局。
登記申請、完了。
法務局の窓口で、受付印が押された申請書を受け取る。
母の名前の印鑑の横に、「株式会社Re:Try」の文字。
3日間、父も母も、相川も佐藤も総出で動いてくれた。
相川が定款をまとめ、父が登記の流れを調べ、佐藤が役所との確認を取り、母が印鑑証明を整えた。
その間、美咲はリビングで書類を束ねる母を手伝いながら、
「お兄ちゃん、本当に会社作るんだね」と何度も笑っていた。
家族と仲間、みんなで一つの船を押し出したようだった。
あとは、法務局からの“完了通知”を待つだけ。
でも、その小さな紙切れが――俺たちの“現実の第一歩”になる。
「……これで、本当に“会社”なんだな」
母が微笑む。
「まさか、高校生の登記に家族総出になるとはね」
そのとき、スマホが震えた。
画面には「相川蓮」。
「どうだった?」
「はい、無事終わりました」
少し間を置いて、相川の声が返ってくる。
「設立日は8月30日。――忘れんな、社長」
通話が切れたあとも、胸の奥ではまだその声が響いていた。
外に出ると、少し涼しい風が吹いた。
8月の終わり――夏の背中が、遠ざかっていく気がした。
―
夜。相川の部屋。
テーブルの上に並んだのは、缶コーヒー3本。
グラスも乾杯の音もない。ただ、金属のプルタブが三つ、同時に開く音だけが響いた。
「株式会社Re:Try、設立おめでとう」
相川が静かに言い、佐藤がニヤッと笑った。
「これで正式に“社会人”か。なんか背中がムズムズするな」
「まだ始まったばっかだよ」
俺は缶を軽く合わせながら言った。
「次は――本格的なアプリ開発。予算を動かして、TRY-LOGを“動く形”にする」
「資金は80万。デザインと“使いやすさ”の部分は、俺がまとめて共有する」
相川がPCを開く。画面にはTRY-LOGの設計図と、コードの断片が映っていた。
白い文字が流れるたび、まるでアプリの“心臓”が少しずつ動き出しているようだった。
「この3人で、ちゃんと“世界に出せるもの”を作る」
佐藤が笑う。
「学校始まっても止まれねぇな、これ」
「疲れたら、止まってもいい」
俺は笑って言った。
「“また挑戦できる”――それが、“Re:Try”だろ?」
外では虫の声が響いていた。
窓の外の空には、うっすらと秋の月が浮かんでいる。
―
【クエスト達成】
内容:「株式会社Re:Try」設立
報酬:信頼度(佐藤大輝)+5 → 83
報酬:信頼度(相川蓮)+5 → 58
【スキルLvアップ】
名称:共闘Lv1 → 共闘Lv2
効果:佐久間・佐藤の行動指数(筋力)+5(常時)
―
2日後――9月1日、新学期。
俺たちの“Re:Try”も、ここから新しく動き出す。
―
【Project Re:Try:試して、確かめる/第一段階レポート】
※【 】内は今回上昇分
◆日時:8月30日
◆目標:会社設立・試作版稼働
◆進行状況:Phase.02進行中(登記・動作確認)
◆目的:
「続けやすい“努力記録”を、デジタルで形にする」
“努力のデータ化”ではなく、“努力の共感化”を目指す。
◆メンバー構成:
・佐久間陽斗(CEO/代表・企画)
行動指数(筋力):35.5【+2】/継続性(耐久力):34.0/構想力(知力):34.2/共感力(魅力):45.2
SP:25/スキル保持数:31
・佐藤大輝(COO/営業統括/信頼度83)
・相川蓮(CTO/開発・解析/信頼度58)
◆資産状況:
総資産:1,330,000円
→ 登記費用:約200,000円(登録免許税・定款認証ほか)
◆進行状況:
・株式会社Re:Try 設立完了(代表:佐久間母 名義)
・TRY-LOG 試作版 Ver.0.1 作成開始
◆次段階予定(Phase.02)
「手書きログのデジタル化」
→ TRY-LOGをベースに、AI解析を導入。
“続く言葉”の抽出と分類を開始予定。
――これは報告書でもあり、俺たちの“航海日誌”でもある。
(記録者:佐久間陽斗)
21
あなたにおすすめの小説
ドリフトシンドローム~魔法少女は世界をはみ出す~【第二部】
音無やんぐ
ファンタジー
漂泊症候群―ドリフトシンドローム―どこにも居場所がない。そう感じる少女達は世界という枠組みから少しずつ外れ、いずれにじみ出るようにさ迷いを始める。
彼女たちは星石と呼ばれるこの世ならざる貴石に見いだされ、あるいは魅入られ、魔法少女へと変身する。
星石は少女達の希い(ねがい)に応えてくれる。ある者は絶大な力を手にし、ある者は特異な魔法を駆使する。
けれど少女達がいつでも本当に求めているものは『居場所』。
時に笑い、時にぶつかり合いながら、星石がくれたのは道を真っ直ぐに歩むための力。
少女達は旅路の果てに、けして『居場所』を見つけない。これは少女達が、『居場所』を自ら創り出すための物語。
◇ ◇ ◇
桜の季節を少し過ぎたある日のこと。
高校一年生の少女、名字川白音はアルバイトの帰り途、夜闇の公園で悲鳴を聞いた。それは粘着質の奇妙な生物『スライム』に襲われる女性のものだった。
この世のものならざる生物からなんとか女性を助け出した白音だったが、今度は自身がスライムに絡め取られ、身動きができなくなってしまう。
そこへ駆けつけた白音の幼なじみ、ヤヌル佳奈が白音を助けるため、魔法少女へと変身する。
初めて見る親友の変身だったが、しかし白音はそれを半ば予期していた。佳奈こそが白音の憧れていた魔法少女なのではないかと、ずっとジト目で疑っていたのだ。
そして親友にいざなわれ(うまくしてやられ)、自身も魔法少女へと変身する。親友が待ち望んでいた無敵の魔法少女、名字川白音の誕生だった。
◇ ◇ ◇
『第二部、異世界編スタートです』
※毎週一話ずつ、木曜日19時頃に公開させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
※※挿絵注:一部、挿絵があります。挿絵は生成AIによって作成しております。苦手な方は挿絵非表示の設定にしてご覧いただけますようお願い致します。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】
異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。
『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。
しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。
そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。
ホームレスは転生したら7歳児!?気弱でコミュ障だった僕が、気づいたら異種族の王になっていました
たぬきち
ファンタジー
1部が12/6に完結して、2部に入ります。
「俺だけ不幸なこんな世界…認めない…認めないぞ!!」
どこにでもいる、さえないおじさん。特技なし。彼女いない。仕事ない。お金ない。外見も悪い。頭もよくない。とにかくなんにもない。そんな主人公、アレン・ロザークが死の間際に涙ながらに訴えたのが人生のやりなおしー。
彼は30年という短い生涯を閉じると、記憶を引き継いだままその意識は幼少期へ飛ばされた。
幼少期に戻ったアレンは前世の記憶と、飼い猫と喋れるオリジナルスキルを頼りに、不都合な未来、出来事を改変していく。
記憶にない事象、改変後に新たに発生したトラブルと戦いながら、2度目の人生での仲間らとアレンは新たな人生を歩んでいく。
新しい世界では『魔宝殿』と呼ばれるダンジョンがあり、前世の世界ではいなかった魔獣、魔族、亜人などが存在し、ただの日雇い店員だった前世とは違い、ダンジョンへ仲間たちと挑んでいきます。
この物語は、記憶を引き継ぎ幼少期にタイムリープした主人公アレンが、自分の人生を都合のいい方へ改変しながら、最低最悪な未来を避け、全く新しい人生を手に入れていきます。
主人公最強系の魔法やスキルはありません。あくまでも前世の記憶と経験を頼りにアレンにとって都合のいい人生を手に入れる物語です。
※ ネタバレのため、2部が完結したらまた少し書きます。タイトルも2部の始まりに合わせて変えました。
スキル『倍加』でイージーモードな異世界生活
怠惰怠man
ファンタジー
異世界転移した花田梅。
スキル「倍加」により自分のステータスを倍にしていき、超スピードで最強に成り上がる。
何者にも縛られず、自由気ままに好きなことをして生きていくイージーモードな異世界生活。
クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら
リヒト
ファンタジー
現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。
そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。
その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。
お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。
ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。
お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。
彼はその日から探索者――シーカーを目指した。
そして遂に訪れた覚醒の日。
「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」
スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。
「幸運の強化って……」
幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。
そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。
そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。
だが彼は知らない。
ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。
しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。
これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる