知りたがりコロポックルと狼さん

無月

文字の大きさ
1 / 6

1 コロポックルな僕

しおりを挟む
 ぽくぽくぽくぽくコロポックル。
 僕は小さなコロポックル。お名前は柚子だよ。柚子色の髪の毛だから柚子なんだって!

 「うわぁっ!おっきい木苺!木苺って何でこんなに美味しいのかなぁ?」

 目の前にピョンとなってる木苺に目を奪われたけど、僕ってば今は両手で木の実を抱えてるからもう持てない。ガックシするけど木の実も大事よ!

 「あっあっ!雀さん!こんにちわ!チュンチュンって何て言ってるのかなぁ?」

 木の実をよいしょこらせって運んでたら雀さんがお空を飛んでったよ。お友達とおしゃべりしながら飛んでたけど、僕ってばまだ雀語は習い途中だからわかんないや。知りたい言葉が多すぎてまだまだマスターまでは遠そう。ガックシ。
 僕達コロポックルは人間さんとおんなじで色んな言葉を覚えられちゃう。遠いご先祖様が気付いてからは多種族語のお勉強が盛ん。普通は一語か二語だけ覚えるんだけど……。
 うう~ん。僕ってば知りたい言葉が多すぎて選べない。だから全部の授業に参加してるんだ。いっぱい手を付けてるからマスター出来たのはまだ全体の半分超えた位かな?でも良いんだ。一番知りたかった言葉はもう全部マスターしてるからね!

 「はわっ!狼さんだ!」

 僕達コロポックルは森の中で生活してるよ。森の中には色んな生き物がいっぱいいる。お友達になれる子から、もちろん僕達を食べちゃう子もね!
 狼さんは後者。僕達を食べちゃう生き物。本当なら見つかる前に逃げなきゃなんだけど……。
 僕ってば知りたがりなだけじゃなくってもふもふも大好きなの!ああ、あの狼さんたらとっても魅力的な毛並みの持ち主……!もふもふしたい!見つからないようにそぉっと近付けば少し位触れるかなぁ?

 「んぅ~……そぉ~っと……そぉ~っと」

 むむぅ、両手で木の実を抱えながらだと難しいぃ。
 それでも頑張ってのそーりのそり。ゆっくり静かに進んでいるよ。
 およよ?急にお空が曇っちゃった?
 狼さんの尻尾に気を取られてたら辺りが暗く影になっちゃった。雨が降ったら大変!慌ててお空を見上げたら……。

 「ぴゃっ!?」

 狼さんだった!
 僕ってば狼さんに見つかっちゃってたみたい!た、た、た、たいへーん!!
 逃げなきゃ!でももふもふはもう目の前!
 逃げなきゃ!でも理想的なもふもふ!

 『なんだぁ?このコロポックル。逃げやしねぇ。ビビッて固まったか?
 ふん、まあいい。腹ごなしに喰っちまおう』

 うきゃあ!食べられちゃうっ!
 大口開けた狼さんがお顔を近付けてきたよっ、もう逃げられない!えぇいどうせ食べられちゃうなら最後に思う存分もふもふするぞぅ!
 僕は近付くお口を避けて真上にぴょーん!一生懸命跳んだら狼さんがお口を下げた瞬間とバッチシタイミングが合っちゃった!僕は見事に狼さんのお鼻の上に全身でダイブ。そのままがっしりしがみついた。

 「ふわっ、ふわわわわ~っ。もふぅ。もふぅの草原。天国だぁ~」

 そしたら全身に伝わる狼さんの毛並みのもっふもふ。瞬間的に全てを忘れちゃう。

 『うわっ!何だコイツ!?くそっ、離れろ!』

 僕が夢中で毛並みをわしゃわしゃしてると狼さんのお顔がぶるんぶるんて震えた。僕は振り落とされないように両手でしっかりがっちしお毛々にしがみつく。

 『うぎゃっ引っ張るな!コイツ!このっ!』

 あわわっ、今度は狼さんの前脚が僕のもふもふタイムを邪魔しにきたよ。逃げなきゃっ。
 僕は襲い掛かる前脚をさかさか避けて狼さんのお耳の裏にかくれんぼ。はわぁ、お耳の毛並みももっふぅ。
 あれ?でもあれれ?いっぱいもふもふして落ち着いてきたら……、今度は気になることが出てきたよ。

 『このっ、くそっちょこまかとっ』

 この毛並み………………。このギトッと感じるごわごわ感。ツンと鼻の奥にくる刺激臭。これってまさに野生の獣。

 『狼さん……。お風呂に入ってますか?』
 『離れっ……あ?狼語?』
 『お風呂。入ってますか?』

 とっても大事な事だから耳の前側でしっかりお聞きするよ。

 『ぐぅ!?そこで喋んなっ』
 『お風呂』
 『入ってるわけねーだろがっ!俺は狼だぞ!入っても水浴び位で』
 『最後に水浴びしたのは?』
 『ああ?何でお前にそんなこと』
 『最後に』
 『だぁっ!だからそこで喋んなって!変な気分になるっ。最後はこの前の暑い日だっ』

 暑い日って……もう3日も前……!

 『お風呂は毎日入るのーーーーー!!』
 『ぐぎゃあああああっ!?』

 それはきちゃない筈だよまったく!これは急ぎの案件っ。

 『あっち!あっちに川があるからそこ行くの!』
 『うああああそこで喚くなっ!行く!行くからっ!』
 『あ、あ、行く前に僕が落とした木の実を取ってください』

 狼さんに拾って貰った木の実はこの後とっても重要になるからね。
 狼さんの脚はとってもお早かった。僕が行くよりうんと早くに川に着いたよ。

 『着いたぞ降りろ』
 『あい』

 僕は丁度良さそうな平らで大きな石の上に着地。その勢いを使って木の実をぱっかーんって割砕いたよ。そしたら中からトロリとした液が漏れてくる。これを川の水と合わせてわしゃわしゃわしゃしゃ。するとどんどん泡々になる。
 狼さんがまたもや大口開けて近付いてきた。これは……僕を食べる気だね!?
 僕は全身で泡々を纏うとまたもやぴょーんと跳び上がる。さっきとおんなじタイミングで跳んだからお鼻の上に全身で着地成功。そのままお耳に行く。

 『川に入るの!』
 『ぐあっ!?くそっまたしてもかよ!』

 文句は言いつつ狼さんは大人しく川に入ってくれた。
 うふふ。よぉ~し泡々でごしごし。ごしごし。んぅ~土汚れが酷くて大変。でも絶対きれいにしたらもっともっと極上の艶もふになるよね。僕ってば頑張っちゃうんだから。

 『う。おぉ。ふぅ。ぅあ~』

 ごしごし。ごしごし。きれいになっていくと狼さんも比例して体から力が抜けてった。
 ごしごし。ごしごし。おっきなお体だからお時間掛かるね。でもみるみる内にきれいになってくのって気持ちい~♪
 夢中でやってたから狼さんてば直ぐにきれいになったよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

【8話完結】恋愛を諦めたおじさんは、異世界で運命と出会う。

キノア9g
BL
恋愛を諦め、ただ淡々と日々を過ごしていた笠原透(32)。 しかし、ある日突然異世界へ召喚され、「王の番」だと告げられる。 迎えたのは、美しく気高い王・エルヴェル。 手厚いもてなしと優しさに戸惑いながらも、次第に心を揺さぶられていく透。 これは、愛を遠ざけてきた男が、本当のぬくもりに触れる物語。 ──運命なんて、信じていなかった。 けれど、彼の言葉が、ぬくもりが、俺の世界を変えていく。 全8話。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話

日向汐
BL
「好きです」 「…手離せよ」 「いやだ、」 じっと見つめてくる眼力に気圧される。 ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。 ・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・: 純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26) 閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、 一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕 ・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・: 📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨ 短期でサクッと読める完結作です♡ ぜひぜひ ゆるりとお楽しみください☻* ・───────────・ 🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧 ❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21 ・───────────・ 応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪) なにとぞ、よしなに♡ ・───────────・

異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました

水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。 世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。 「見つけた、俺の運命」 敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。 冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。 食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。 その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。 敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。 世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

処理中です...