知りたがりコロポックルと狼さん

無月

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3.5 その頃の狼さん

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 あのコロポックル、柚子と呼ばれていたか。
 あいつに会ってから俺はコロポックルを食えなくなった。いや、旨そうとは思う。特にあのコロンコロンに真ん丸いコロポックルは実に旨そうだった。
 なのに柚子が悲しむかもと思うと手が出せない。
 俺は随分と柚子を気に入っちまったようだ。毛を洗われるのも全身で撫でられるのも気持ちが良かった。
 だから……。

 『この辺のコロポックルは俺の庇護下に入れた。これからは手出しすんな』

 仲間の狼達に牽制をする。
 今のところこの辺りじゃ最強の狼だからな。弱っちい奴等を抑え付ける位訳ない。
 そう思ってたんだが。

 『おいおいどうしちまったよ最強さんよ。アンタ程の者がたかが餌如きに肩入れするなんざ、どういう了見だ?』
 『それを話す必要性があるか?』
 『カカカッ!まさかたぁ思うがよぉ、俺ぁ聞いちまったんだよなぁ。アンタが餌を前に手も足も出なかっただけじゃなく、親切ご丁寧に送ってやったってなぁ!』
 『だったらなんだ』
 『おいおいマジかよ!誇り高き狼の名が聞いて呆れるぜ!』

 くだらない虚勢など今の俺にはどうでも良い。それより柚子が俺の知らない所で食われる方が無性に嫌だ。食う奴に怒りを覚える。
 ふん。まあ力尽くで言う事聞かせて……。

 『狼さ~ん!』

 柚子!?
 んなっ!何てタイミングで来やがる!
 っ!しまっ!泡を食ってる隙にアイツ等が柚子に襲い掛かりやがった!
 くそっ!喜々とした顔しやがって!

 『っけんな……!』

 ぶっ潰してやる……!!
 直ぐに柚子を腹の下に匿い、襲いやがった奴等に牙を向けた。いつでも引き裂けるように爪も鋭敏に尖らせておく。
 それを然も可笑しいと下卑た笑い声を上げる奴の顔に一撃食らわせてやろうとしたのに。

 『狼さん狼さん。最後にお風呂に入ったのはいつですか』

 なんて柚子が間の抜けた声で間の抜けた事を言い出した。
 勿論それに返してやれる悠長な場面じゃねーからジッとさせときたかったんだが……前と同じ手法で俺の行動を阻害しにきやがった。誰の為に俺が苦労してると思ってんだ……!
 そっから先は柚子の独壇場だった。
 柚子の声を耳元で聴くと体が変な気分になる俺は、仕方なくアイツ等諸共にして川へと行く羽目になった。
 もうほんと柚子の前だと調子が狂いっ放しだ。勘弁してくれ……。
 でも仕方ねえ。

 この安心しきってだらしねぇ面してる柚子は俺のだからな。
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