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◇魔王サイド◇
ユタを今すぐ押し倒したい。
欲求は燻り、我を忘れさせようとする。
「ユタ……」
唇を寄せれば大きく開き潤む瞳と視線が重なる。
「ま、魔王っ、待っ」
ユタの言葉を最後まで聞く余裕は無かった。
口を開いた所で唇を重ねる。反射で閉じようとする前に舌を捻り込めば我の舌を甘噛みされる。
「んっ!ん~っ!」
ゾクリと感じる本能のままに貪れば、抵抗は無くなり、何時もの様に我の胸に縋り付いてきた。
「ん……はぁ、ぁ、ぅちゅ……ぅ」
このまま空中でするのも良いな。
「魔―――王―――!!」
そう思った矢先に海より猛スピードで突進してくる気配に邪魔をされた。
っち。邪魔だがユタに可愛くおねだりされてしまったからな。
だが折角の可愛いユタを可愛がる時間を阻害される気は無い。直ぐさま島に結界を張り巡らせて防いでやった。
ズドゴム!!
直後に響く衝突の音。
チラリと視線だけ寄越せば丁度転生勇者が轢き潰されたカエルの格好をしていた。
くははははっ。ザマァないな。
ズリリと結界に沿って落ち行く姿が見れたのでユタに意識を戻した。
ドゴム!!
だがそれを又しても転生勇者に邪魔された。
っち。くたばっていなかったか。本当に無駄に頑丈だな。
流石に響く大音量に、ユタもワタワタと抵抗を再会してしまった。
「む~っ!む~っ!」
現在進行形で口を吸い続けているから言葉は無いが、代わりにポテポテと我の腕を叩きよる。クソ可愛いか。
ユタは我をどうしたいのだ。そんなに可愛らしく誘っておきながら抵抗する。
我とて王である前に一人の男だ。我慢にも限界というものがある。
キスだけで我慢しようと思っていたが、我の腕は正直にユタの肌を弄りだした。
「む!?むぅ―――!!」
ポテポテ、ポテポテ。ユタが我を叩いて誘惑する。
我は興が乗ってきて、手はユタの小さな尖を見つけだした。
ズドゴン!!バリーン!!
さあ、ここからだ。という時に我の張った結界が破壊されてしまった。
「っち」
仕方なくユタを愛でるのを止めて、向かってくる転生勇者に極大魔法をお見舞いさせてやるべく構築を開始した。
向こうも同じく極大魔法を構築する。
ふんっ、あの程度の魔法で魔の根元たる我を凌ぐなど出来ぬわ。
ニヤリと笑みを深め、さあ放とうとした時。
「二人とも止めないとご飯抜き」
据わった目で今迄に無い迫力のユタが無情の一言を発した。
ご飯抜き。
あの味を知ってしまった後での、ご飯抜き。
なんと無情の一言であろうか。
しかもブルブルと震えて少し涙目のユタを察するに、ことと次第によっては「一生ユタの手作り」ご飯抜きになってしまう。
我にはそれはとても怖ろしい呪文に聞こえた。
「すまぬ。止める。ご飯抜きは止めてくれ」
素直に魔法を消した我に対して、しかし転生勇者は止める気配も無い。寧ろ好機だとばかりに嫌な笑い方をしている。
我はせめて島に被害がでない様に上空高く飛び上がり、ユタに結界を幾重にも張り巡らせた。我一人なら死なんがユタはそうも行かないからな。
「はーはっはっはっは!北の魔王もその程度……!」
「そこの転生勇者も此処が秘島だと知っててやってるのか。そんなものぶっ放したら島が無くなるけど一生ご飯無くてもいいんだな?次いでに聞くがお前は料理が出来るのか?」
ほぼノンブレスで言うユタが怖い。
我は生まれて初めて恐怖を体験した。
どうやらそれは転生勇者も同じらしい。極大魔法を放つ寸前の間抜けな格好で時を止めた。
ツゥーと冷や汗を流したかと思えば不自然に視線を泳がし始め、改めて今いる場所の把握をした様だ。ドッと滝の様な汗を掻いたと思えば、あの時の我と同じく転移魔法の発動を幾度となく試みた。
「バカな!?」
そして出来ないと知ると大袈裟に狼狽る。
なんとも間抜けな姿だ。
我は高笑いをしたかったが、腕の中のユタが怖くて彫像と化すに徹している。
「料理。出来るのか?」
駄目押しに繰り返されたユタの言葉。
転生勇者はたじろいだが、まだ諦め切れない様子だ。
「で……。出来なくは、無くも無い」
それはほぼ出来ないのではないか?
疑問は擡げるが今の我はユタの為の台座にすぎん。素面を維持するに徹する。
「農業した事あるのか?野菜ちゃん達は植えれば実がなる訳じゃない。キチンとお世話をして初めて美味しい実をたわわに実らせてくれるんだ。材料無しに料理が出来るのか?」
ああ。ユタの怒りが腕から伝わる。
今では我もユタの野菜に掛ける愛情の深さを知っている。だからこそ極大魔法を同時に放たれそうになり、ブチ切れたのだろう。確実に島ごと消え去る未来を見て。
転生勇者はチラリと足下を見下ろした。そこにはユタが丹精込めて耕した田畑が広がっている。
「すみません無理ですごめんなさい」
こうして転生勇者も漸く降参の旗印を掲げた。
ユタを今すぐ押し倒したい。
欲求は燻り、我を忘れさせようとする。
「ユタ……」
唇を寄せれば大きく開き潤む瞳と視線が重なる。
「ま、魔王っ、待っ」
ユタの言葉を最後まで聞く余裕は無かった。
口を開いた所で唇を重ねる。反射で閉じようとする前に舌を捻り込めば我の舌を甘噛みされる。
「んっ!ん~っ!」
ゾクリと感じる本能のままに貪れば、抵抗は無くなり、何時もの様に我の胸に縋り付いてきた。
「ん……はぁ、ぁ、ぅちゅ……ぅ」
このまま空中でするのも良いな。
「魔―――王―――!!」
そう思った矢先に海より猛スピードで突進してくる気配に邪魔をされた。
っち。邪魔だがユタに可愛くおねだりされてしまったからな。
だが折角の可愛いユタを可愛がる時間を阻害される気は無い。直ぐさま島に結界を張り巡らせて防いでやった。
ズドゴム!!
直後に響く衝突の音。
チラリと視線だけ寄越せば丁度転生勇者が轢き潰されたカエルの格好をしていた。
くははははっ。ザマァないな。
ズリリと結界に沿って落ち行く姿が見れたのでユタに意識を戻した。
ドゴム!!
だがそれを又しても転生勇者に邪魔された。
っち。くたばっていなかったか。本当に無駄に頑丈だな。
流石に響く大音量に、ユタもワタワタと抵抗を再会してしまった。
「む~っ!む~っ!」
現在進行形で口を吸い続けているから言葉は無いが、代わりにポテポテと我の腕を叩きよる。クソ可愛いか。
ユタは我をどうしたいのだ。そんなに可愛らしく誘っておきながら抵抗する。
我とて王である前に一人の男だ。我慢にも限界というものがある。
キスだけで我慢しようと思っていたが、我の腕は正直にユタの肌を弄りだした。
「む!?むぅ―――!!」
ポテポテ、ポテポテ。ユタが我を叩いて誘惑する。
我は興が乗ってきて、手はユタの小さな尖を見つけだした。
ズドゴン!!バリーン!!
さあ、ここからだ。という時に我の張った結界が破壊されてしまった。
「っち」
仕方なくユタを愛でるのを止めて、向かってくる転生勇者に極大魔法をお見舞いさせてやるべく構築を開始した。
向こうも同じく極大魔法を構築する。
ふんっ、あの程度の魔法で魔の根元たる我を凌ぐなど出来ぬわ。
ニヤリと笑みを深め、さあ放とうとした時。
「二人とも止めないとご飯抜き」
据わった目で今迄に無い迫力のユタが無情の一言を発した。
ご飯抜き。
あの味を知ってしまった後での、ご飯抜き。
なんと無情の一言であろうか。
しかもブルブルと震えて少し涙目のユタを察するに、ことと次第によっては「一生ユタの手作り」ご飯抜きになってしまう。
我にはそれはとても怖ろしい呪文に聞こえた。
「すまぬ。止める。ご飯抜きは止めてくれ」
素直に魔法を消した我に対して、しかし転生勇者は止める気配も無い。寧ろ好機だとばかりに嫌な笑い方をしている。
我はせめて島に被害がでない様に上空高く飛び上がり、ユタに結界を幾重にも張り巡らせた。我一人なら死なんがユタはそうも行かないからな。
「はーはっはっはっは!北の魔王もその程度……!」
「そこの転生勇者も此処が秘島だと知っててやってるのか。そんなものぶっ放したら島が無くなるけど一生ご飯無くてもいいんだな?次いでに聞くがお前は料理が出来るのか?」
ほぼノンブレスで言うユタが怖い。
我は生まれて初めて恐怖を体験した。
どうやらそれは転生勇者も同じらしい。極大魔法を放つ寸前の間抜けな格好で時を止めた。
ツゥーと冷や汗を流したかと思えば不自然に視線を泳がし始め、改めて今いる場所の把握をした様だ。ドッと滝の様な汗を掻いたと思えば、あの時の我と同じく転移魔法の発動を幾度となく試みた。
「バカな!?」
そして出来ないと知ると大袈裟に狼狽る。
なんとも間抜けな姿だ。
我は高笑いをしたかったが、腕の中のユタが怖くて彫像と化すに徹している。
「料理。出来るのか?」
駄目押しに繰り返されたユタの言葉。
転生勇者はたじろいだが、まだ諦め切れない様子だ。
「で……。出来なくは、無くも無い」
それはほぼ出来ないのではないか?
疑問は擡げるが今の我はユタの為の台座にすぎん。素面を維持するに徹する。
「農業した事あるのか?野菜ちゃん達は植えれば実がなる訳じゃない。キチンとお世話をして初めて美味しい実をたわわに実らせてくれるんだ。材料無しに料理が出来るのか?」
ああ。ユタの怒りが腕から伝わる。
今では我もユタの野菜に掛ける愛情の深さを知っている。だからこそ極大魔法を同時に放たれそうになり、ブチ切れたのだろう。確実に島ごと消え去る未来を見て。
転生勇者はチラリと足下を見下ろした。そこにはユタが丹精込めて耕した田畑が広がっている。
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こうして転生勇者も漸く降参の旗印を掲げた。
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