異世界転生者はもうおなかいっぱいです!

無月

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36 ※ヤンデレ注意報。苦手な方は読み飛ばしOK

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 ◇ヴェイズサイド◇

 テン。僕のテン。
 日本のあの場所で出会ってから僕の全ては君のモノで、君の全てが僕のモノだ。
 日本という国は閉鎖的で新しい事に寛容では無かった。
 こんなにも君の事を愛しているのに、日本の常識が僕達を阻んだ。
 君があの国の呪縛から解き放たれて、これで僕達は一つになれると僕も君の元へと旅立った。
 なのに世界は無上だった。

 あの世という場で永遠に君と共に在れると思っていたのに、僕は転生してしまった。
 最悪な事に君のいない世界にだ。

 死んでもあの世は無い。つまり死ぬと君と引き離されてしまう。
 僕は必死に力を磨き、君の魂を探し抜いた。
 そうしてやっと見つけ出し、僕の元へと帰って来たテン。
 今度は生きて一生君を離さない。その為に僕の力を分け与えて僕と同じ時を生きられる様にした。勿論君が年頃まで育つのを待ってね。
 なのに……。
 君は出て行ってしまった。
 自由な君を愛しているけれど……。

 僕のテンは放って置くと余計な虫がついていけない。

 どうやったら君を僕の元に閉じ込められるかな?
 その答えは君が見つけ出してくれた。
 北の魔王を秘島に転移させる事によって。

 それからは秘島への転移条件。また秘島から出られないか。存分に見分させて貰った。
 北の魔王の奇行は見ていて面白かったな。あいつなら僕がいればテンには手を出さない。
 それにその前からいた人間もあいつがいればテンには手を出さないだろう。

 場所の目星がついた僕はテンの仲間(笑)とやらを神の威信を以って退けた。
 何せ揃いも揃って巨乳な女ばかりだったからね。あの雌豚共は僕のテンに色目を使いやがった。許しはしないけど、天罰をくれてやればテンが怒るだろうからね。処罰は人間の手に委ねてやったよ。
 そうして一人になった君をこの秘島に送れたからあとは僕が来れば良かった。
 誤算は自分で自分を転移でこの秘島に送れなかった事だ。
 何とかそれを出来る者で、他の者を送るなどという愚かな行為をしない者を見繕い、やっとここまでやって来た。

 もう。どこにも逃がしはしないよ?

 苦労したからね。
 ご褒美に君の全てを頂こう。



 ◇テンサイド◇

 「くそがあああっ!離せ!離しやがれ!」

 この糞神野郎は俺をこの世界に転生させた奴だ。
 勇者にしてくれるって言うから喜び勇んで来てみれば、成人迎えるまで神の力は殆どくれなかった。
 幸いにも日本と違って俺の生まれた国は16歳で成人だった。
 それまで普通の人間と同程度の力しかなくて、同じ転生者仲間から揶揄われて育った。
 同じ転生者なのにこの差って何なんだよ!?
 聞けば力をくれる神は人によって違うらしい。俺はハズレを引いたって事だな。
 成人して力だけ貰ってさっさとオサラバして来たのに、こいつは苦労して集めたハーレムちゃん達を解散させてしまいやがった。
 それで確信したね。

 こいつは俺に嫌がらせする為に俺を転生させたんだ。

 でもそうは問屋が卸さねぇぜ。

 「天空を裂く雷撃を食らいやがれ!」

 この神野郎に俺の渾身の極大魔法を食らわせてやるべく術式を構築した。
 いや、確かに今まで通り構築した筈だった。

 「!?発動しない!?」

 何故だ!こんな事今まで一度だって無かったのに!

 「君は本当にバ可愛いよね。
 ねぇ。君なら『ねえアンタ。ちょっとアンタ倒すのにアンタの力を貸してよ』って言われて素直に使わせるのかい?
 くふふっ。まあ君の愛情表現なら甘んじて受けてあげるけども、今のは僕から逃れる為でしょう?」

 狼狽える俺に鬱蒼と笑う糞神野郎。マジきめぇ。
 お前のおもちゃになるつもりなんざねぇんだよ!
 ギッと睨み上げてやる。
 なのにそんな俺に見せたのは、

 「逃がさないよ」

 途轍もなく暗く怖い目をした能面顔だった。

 「逃げる為の力はもう、二度と使わせてあげない。
 それでも逃げるなら……」

 神のくせにドス昏い神気を放つ奴に、俺は不覚にも息を詰めた。

 「その両足。失くしてしまおうか」

 そして言われた言葉にゾッと背筋が凍った。
 こ、怖い。怖い怖い怖い怖い……。

 「な、なんで……。何で俺なんだよ……。俺が何したってんだ……」

 ガチガチと奥歯を鳴らす俺を、糞神野郎は不思議そうに首を傾げた。

 「何を恐れているの?
 何でって。君が君だから僕はこんなにも君を愛しているだけだよ?」

 ……。
 ……。
 ……ん?
 愛?
 愛。それはラブ。フォーリンなアレ。
 ……。
 ……。
 ……何時から愛って嫌いって言葉に変わったんだ?

 「くふっ。ふふふっ。思考停止してるテンも可愛い」
 「ぎゃあああっ!舐めるなぁ!」

 耳の裏を舐めやがったコイツ!しかもそのあと耳の中に舌先突っ込みやがった!
 急いで袖口でキモく湿った耳をゴシゴシ拭った。
 その様子をくふくふ変な笑い声をあげて眺めてやがるコイツがムカつく。

 「安心してよ。
 僕は自由な君を愛しているんだ。
 テンが僕から逃げない限り、その両の足は君から離れはしないから」

 うっそりと笑う糞神野郎。
 んん?コイツを側に置いとけば、俺は自由なままなのか?

 そうか。仲間に入れて欲しくて拗ねてただけだったのか。
 そう思って仕方ねえから仲間に入れてやるよと言おうと、鼻を高くした俺に、

 「だからまずはその体に僕がどれだけ君を愛しているのか」

 そう言いながら神野郎は顔を近付け、

 「教え込んであげる」

 俺の口を塞いだ。
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