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後章
閑話。その前の秘島では
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◇テンサイド◇
俺は野菜より肉派だ。魚も好きだが肉のが好きだ。
だから肉の世話は楽しいかもしれない。
今日も美味い肉の為に新しい藁を敷いて、その辺の草をタップリくれてやった。
こいつ等も俺に食われると知りもしないで俺に懐きだした。
「ばはははははっ!くすぐってぇ!やめろよ牛肉一号!ぶほほほほっ!やめろってばー!」
牛肉一号が汚くなってたから洗ってやったら、こいつは俺を舐めだしたんだ。
それが絶妙な場所を舐めてくるもんだから俺の腹が捩れちまう。まあ懐かれんのは吝かじゃねえけどな。巨乳牛だし。
そう思って牛肉一号の首を撫でてたら影が差した。
「テン……?」
ヴィだった。
動きが止まる俺と牛肉一号。
俺の後ろを凝視して震える牛肉一号が後退る。その動きに比例して俺の危機察知能力がけたたましい警戒音を鳴らした。
振り返りたくねぇー……。
冷や汗だか脂汗だかわからねぇ大量の汗が頬を伝る。
「っふ……。くふふふふ……。僕のテンを汚すモノは……人間だけじゃ、無かったんだねぇ……」
背後からブツブツと聞こえてくるヴィの声が怖い。
「この島なら、僕のテンを見るのは僕だけ、だと思ってたんだけどねぇ……」
一段低くなったブツブツ声。
これ、気付かなかった事にして真っ直ぐ逃げた方が良いかもしれない。
そうして一歩を踏み出そうとした矢先、
「……テン……」
肩に乗る、奴の冷たい手。
ゾワワワワー!!
あかん!これめっちゃあかんやつ!!
「テンは、僕の、でしょう?テンも、僕だけ、でしょう?
なのに、あんな阿婆擦れ雌牛に言い寄られて、気持ち悪いよねぇ?」
耳に直接掛かる息。
肩に乗る手が強く、痛い。
ミシミシ言ってない?コレ。
「ああ、僕のテンが汚された。早く清めなきゃ」
ドサリ。
何かが落ちた音がして、気が付いたら、俺は地面に縫い付けられてた。
怖い怖い怖い!う、ううううつぶせしてる間に全部無かったことにならないかなぁ!?
切実な願いは直ぐに引っ繰り返された。物理的に。
視線が合う俺とヴィの目。その目は昏く淀んでいた。なのに口は細く、長く、弧を描いている。
「こんなに汚されて……。直ぐに綺麗にしてあげるよ……」
汚れたのはお前が地面に顔面押し付けたからだ―――――!!
叫びたいのに全身水の中に入れられて叫べなかった。ガボガボしか言えなかった。
ヴィの魔法つか神だから神法か?良くわからんから魔法でいいや。それで一瞬にして汚れは落とされた。にも拘わらずヴィの目は昏いまま。手に持った真っ白なタオルで俺の顔をグイグイ拭いてくる。
「綺麗にしなきゃ綺麗にしなきゃ綺麗にしなきゃ綺麗にしなきゃ綺麗にしなきゃ綺麗にしなきゃ」
壊れた機械みたいに同じ言葉を繰り返すヴィ。
「ってか痛ぇっ!力強いって!もう汚れ落ちたじゃん!」
暴れて退かそうとしてんのにいつもより力強くて動かねぇ。っち!このヤロウ!黙って大人しくしてりゃわけわかんねぇことしやがって!
なんか腹が立って切れた俺は、動かせないヴィの手の代わりに襟を掴んで引き寄せた。
「……!」
そんでキモイ事しか言わねぇ口を塞いでやったぜ。ふふん。
暫く離さず吸い付いてやれば、俺の顔を拭っていた力も弱まり、タオルが横に落ちた。
「っへ、どんなもんだっつーの」
ヴィからも舌を絡めた所で離してドヤ顔をキメてやれば、
「テン……」
ヴィは恍惚とした顔で俺の両頬を包み、深いキスをしてきた。
ふふ~ん。昏い目は無くなってたぜ。と思ったのも束の間。
「僕のテンをこんな肥溜めで抱くなんて出来ないよね。まだ昼間だけど、ベッドに行こうか」
俺を姫抱きにして立ち上がったヴィ。早業過ぎてポカンとしてしまった。
はっとした時にはもうヴィは家に向かって歩き出していて、慌てて止めようと口を開く前に、
「それとも……あの雌牛の方が、イイ、の……?そんな訳ないよねぇ。テンは、誰が、イイの……?」
暗く底の見えない目で見られて言われ、俺はゴクンと生唾を飲み込んだ。
これ、言葉間違ったらあかんやつやで。
「もちろん、ヴィ……だぜ?」
ははははは。空笑いしちゃうぜ?
でもヴィはその言葉で満足してくれたのか、とっても良い笑顔で、真昼間から俺をベッドに縫い付けたのだった。
俺、今回何も悪くなくね……?
俺は野菜より肉派だ。魚も好きだが肉のが好きだ。
だから肉の世話は楽しいかもしれない。
今日も美味い肉の為に新しい藁を敷いて、その辺の草をタップリくれてやった。
こいつ等も俺に食われると知りもしないで俺に懐きだした。
「ばはははははっ!くすぐってぇ!やめろよ牛肉一号!ぶほほほほっ!やめろってばー!」
牛肉一号が汚くなってたから洗ってやったら、こいつは俺を舐めだしたんだ。
それが絶妙な場所を舐めてくるもんだから俺の腹が捩れちまう。まあ懐かれんのは吝かじゃねえけどな。巨乳牛だし。
そう思って牛肉一号の首を撫でてたら影が差した。
「テン……?」
ヴィだった。
動きが止まる俺と牛肉一号。
俺の後ろを凝視して震える牛肉一号が後退る。その動きに比例して俺の危機察知能力がけたたましい警戒音を鳴らした。
振り返りたくねぇー……。
冷や汗だか脂汗だかわからねぇ大量の汗が頬を伝る。
「っふ……。くふふふふ……。僕のテンを汚すモノは……人間だけじゃ、無かったんだねぇ……」
背後からブツブツと聞こえてくるヴィの声が怖い。
「この島なら、僕のテンを見るのは僕だけ、だと思ってたんだけどねぇ……」
一段低くなったブツブツ声。
これ、気付かなかった事にして真っ直ぐ逃げた方が良いかもしれない。
そうして一歩を踏み出そうとした矢先、
「……テン……」
肩に乗る、奴の冷たい手。
ゾワワワワー!!
あかん!これめっちゃあかんやつ!!
「テンは、僕の、でしょう?テンも、僕だけ、でしょう?
なのに、あんな阿婆擦れ雌牛に言い寄られて、気持ち悪いよねぇ?」
耳に直接掛かる息。
肩に乗る手が強く、痛い。
ミシミシ言ってない?コレ。
「ああ、僕のテンが汚された。早く清めなきゃ」
ドサリ。
何かが落ちた音がして、気が付いたら、俺は地面に縫い付けられてた。
怖い怖い怖い!う、ううううつぶせしてる間に全部無かったことにならないかなぁ!?
切実な願いは直ぐに引っ繰り返された。物理的に。
視線が合う俺とヴィの目。その目は昏く淀んでいた。なのに口は細く、長く、弧を描いている。
「こんなに汚されて……。直ぐに綺麗にしてあげるよ……」
汚れたのはお前が地面に顔面押し付けたからだ―――――!!
叫びたいのに全身水の中に入れられて叫べなかった。ガボガボしか言えなかった。
ヴィの魔法つか神だから神法か?良くわからんから魔法でいいや。それで一瞬にして汚れは落とされた。にも拘わらずヴィの目は昏いまま。手に持った真っ白なタオルで俺の顔をグイグイ拭いてくる。
「綺麗にしなきゃ綺麗にしなきゃ綺麗にしなきゃ綺麗にしなきゃ綺麗にしなきゃ綺麗にしなきゃ」
壊れた機械みたいに同じ言葉を繰り返すヴィ。
「ってか痛ぇっ!力強いって!もう汚れ落ちたじゃん!」
暴れて退かそうとしてんのにいつもより力強くて動かねぇ。っち!このヤロウ!黙って大人しくしてりゃわけわかんねぇことしやがって!
なんか腹が立って切れた俺は、動かせないヴィの手の代わりに襟を掴んで引き寄せた。
「……!」
そんでキモイ事しか言わねぇ口を塞いでやったぜ。ふふん。
暫く離さず吸い付いてやれば、俺の顔を拭っていた力も弱まり、タオルが横に落ちた。
「っへ、どんなもんだっつーの」
ヴィからも舌を絡めた所で離してドヤ顔をキメてやれば、
「テン……」
ヴィは恍惚とした顔で俺の両頬を包み、深いキスをしてきた。
ふふ~ん。昏い目は無くなってたぜ。と思ったのも束の間。
「僕のテンをこんな肥溜めで抱くなんて出来ないよね。まだ昼間だけど、ベッドに行こうか」
俺を姫抱きにして立ち上がったヴィ。早業過ぎてポカンとしてしまった。
はっとした時にはもうヴィは家に向かって歩き出していて、慌てて止めようと口を開く前に、
「それとも……あの雌牛の方が、イイ、の……?そんな訳ないよねぇ。テンは、誰が、イイの……?」
暗く底の見えない目で見られて言われ、俺はゴクンと生唾を飲み込んだ。
これ、言葉間違ったらあかんやつやで。
「もちろん、ヴィ……だぜ?」
ははははは。空笑いしちゃうぜ?
でもヴィはその言葉で満足してくれたのか、とっても良い笑顔で、真昼間から俺をベッドに縫い付けたのだった。
俺、今回何も悪くなくね……?
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