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本編
2歳-2
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午後のおやつの時間時に父さんが帰って来た。
母さんが言ってた通り客を連れて来た。
ただ、一つ解せない事がある。
客が王と王妃とその子息、そして護衛や官吏達という事。
「は……?」
突然の非現実な事に呆けた俺。絶対悪くない。
「ようこそ御出でくださいました」
平然として微笑む母さんだけど、多分内心困ってるんじゃないか?
だって王族一家とその他大勢だぞ?
俺は母さんのドレスの裾をギュッと握った。
「ふふ、大丈夫よアレックス」
心配と不安で見上げる俺に気付いた母さんが優しく俺の頭を撫でてくれた。
「ほう、その子がオルティス家の深窓の令嬢アレクサンドラか」
王が面白そうに俺を値踏みした。
値踏みとか令嬢呼びとかムカつくけど、王族一家その他大勢に逆らう勇気も力も俺には無い。
て言うかここで逆らえる奴って勇者じゃね?
俺がガクブルと震えていたら、父さんが王の頭を引っ叩いた。
えええええー!?
ちょっ父さん不経済じゃん!一家惨殺お役御免!?(オレ昏迷チュー)
「あらあら、まあまあ」
震えで地震を起せそうな程顔面蒼白でガクブルする俺を尻目に、母さんが困ったちゃんを見る人の目で微笑んでる。
ちょっ、何!?俺が可笑しいの!?俺だけアウェーなの!?(さらにオレ錯乱チュー)
「ウチの子を視界に入れるな。歩く公害」
父さんが害虫を見る目で王を詰った。
あ、これオワコン……?
「あははは、痛いなぁもう。相変わらず不敬罪を恐れないよねぇ君」
あ、あれ?王笑っとる……?
俺は涙目で王をじっと見た。
そしたら王に気付かれて、ビクッと体が震えた。
目がっ、目が獲物を見る目に見えてこあい!
「うんうん。良さそうじゃないか(活きが)」
ブルブル震えるけど王から目が離せない。
怖いけどつい見てしまう心霊番組のあれな感じだ。
て言うか……今副音声が聞こえた様な……?
震える体を抑える様に、全身で母さんのドレスを鷲頭かむ俺に、王はニッコリと笑った。
「っひ!?」
得体の知れない恐怖が俺を襲っきたからついうっかり悲鳴を上げたのって悪くないよな……?
「こんな(活きが)良いのを2年もノラリクラリと僕から遠ざけるなんて」
王が首を傾げて「ヒドイなぁ」とニヤリと笑った。
この人あかんヤツ!
「……!!」
全力で関わるなと本能が告げるままに、俺は回れ右をして脱兎のごとく駆けだした。
「じゃあ、あの子ウチの子のお嫁さんに貰うね」
「だんおきょえちゅしゅう(断固拒絶する)!!」
けど幾何かも行かない内に、王の聞き捨てならないセリフに思わず振り返って全力で否定した。
「あっははは!ホント面白いねあの子!」
王が爆笑して、父さんが青筋立てて怒ってる。
父さんは今にも王に掴み掛りそうなとこを王の護衛に抑えられてる。
「恐れながら陛下。以前お話が合った折にもお伝えしましたが、婚姻は双方の同意の元に行って下さいまし」
口を塞がれてモガモガ言ってる父さんに変わって、母さんが微笑みを絶やさず言ってくれた。
心なしかママンからブリザードが出てる気がするけど……気のせいダヨネ。ママンは優しい女神ダモンネ?
「むー、相変わらず我がはとこ殿は僕に厳しいなぁ」
王が口を尖らせてブーブー言ってる。
良いのか、一国の王がそれで。
俺は王の視界に入らないようにジリジリと母さんの後ろに移動した。
て言うか母さんて王族の血筋だったんだ。通りで動じてない訳だ。
俺はそっと母さんを仰ぎ見た。ユルフワヘアーが今日も素敵だぜ。(顔が見たかったけど見れなかったから自分で自分を誤魔化しちゃうぜ)
「ねー」
俺が母さんの後ろに隠れていたら、いつの間にか王子が俺の横に来てた。
おお、可愛いなチミッコ。こんな状態じゃ無けりゃ全力で可愛がるとこだぜ。
きゅっと俺の服を摘まむ様が何とも愛らしいじゃねーか。
俺はチミッコの愛くるしさについさっき迄の事が頭から抜けた。
「にゃに?」
何か言いたそうなチミッコに笑顔で問いかけてあげる。
王があんなでも子に罪はあるまい。
周りじゃ俺達が第一接近をした事を微笑ましく、一部固唾を飲んで、一部面白がって、一部ハンカチを噛んで見守ってる。
「あのねー、ぼくのオヨメしゃんになってくえる?」
「むりー」
可愛くカッコつけた王子にプロポーズされた俺、秒で断った。
途端ショックを受けたのか、目に涙を溜める王子に、たじろぐ俺。
父さんが「よしっ」とか言ってガッツポーズしてるけど、ゴメンよ、パパン、ママン。
今度こそ不敬罪かもしくは良くて珍獣扱いされる事になるかも。
これ、なんで無理かはっきり教えた方が良いよね。俺の為にも。
「あにょね、おえおとこらからおよめしゃんむりー」
空気が固まった。
わかる。そうだよな、幼女が俺実は男なんだぜって言ったら俺だって普通に思考停止するわ。
一部腹抱えて爆笑してる王がいるけど。
ほんとに大丈夫か?こんなのが王で。国外逃亡する算段今からでも付けとくか……?
「あらあら、まあまあ。どうしましょう。今から呼んで仕立て屋は来てくれるかしら」
母さんが首を傾げて美婦人の如くほっぺに手を当てて微笑んでる。
困った顔で微笑むママンが大好きだぜ。
「うふふ、王妃である私が呼ぶのであれば大抵の仕立て屋は来るわよ~」
王妃がおっとり笑って母さんと談笑に転じた。
「いや、そうじゃないでしょー」
ずれた話に花を咲かせるママンと王子のママンに笑いで出た涙を拭いつつ王が待ったを掛けた。
「もがむがー!」
父さんが何か言いたそうにこちらを見て叫んでる。
口が塞がれてて何言ってるかわからん。
「君にはち〇こ付いてないでしょー。だから君は女の子だよ」
おいなんつった。
一国の王以前に分別有る大の大人がち〇ことか幼女に言うなし。
ほら、後ろで護衛やら官吏やらが困って……あるぇ?死んだ目で諦めの境地に入ってらっしゃる?
いつもこんななの?この王。
だがまあ俺としては、渡りに船だ。その言葉、利用させて貰うぜ!
「いまあね。れもきょからおえおとこもどうー(今はね。でも今日から俺は男に戻る)!」
そして俺は今まで溜まりに溜めたフラストレーションを解放すべく、全身全霊全神経を掛けて、更にいるかいないかもわからん神々頼みをして、俺開発☆ビバ完全性転換の魔術を発動した!
#####あとがき#####
作中にアレックスが「不敬罪」を「不経済」と言っていますが、混迷中の仕様です。
母さんが言ってた通り客を連れて来た。
ただ、一つ解せない事がある。
客が王と王妃とその子息、そして護衛や官吏達という事。
「は……?」
突然の非現実な事に呆けた俺。絶対悪くない。
「ようこそ御出でくださいました」
平然として微笑む母さんだけど、多分内心困ってるんじゃないか?
だって王族一家とその他大勢だぞ?
俺は母さんのドレスの裾をギュッと握った。
「ふふ、大丈夫よアレックス」
心配と不安で見上げる俺に気付いた母さんが優しく俺の頭を撫でてくれた。
「ほう、その子がオルティス家の深窓の令嬢アレクサンドラか」
王が面白そうに俺を値踏みした。
値踏みとか令嬢呼びとかムカつくけど、王族一家その他大勢に逆らう勇気も力も俺には無い。
て言うかここで逆らえる奴って勇者じゃね?
俺がガクブルと震えていたら、父さんが王の頭を引っ叩いた。
えええええー!?
ちょっ父さん不経済じゃん!一家惨殺お役御免!?(オレ昏迷チュー)
「あらあら、まあまあ」
震えで地震を起せそうな程顔面蒼白でガクブルする俺を尻目に、母さんが困ったちゃんを見る人の目で微笑んでる。
ちょっ、何!?俺が可笑しいの!?俺だけアウェーなの!?(さらにオレ錯乱チュー)
「ウチの子を視界に入れるな。歩く公害」
父さんが害虫を見る目で王を詰った。
あ、これオワコン……?
「あははは、痛いなぁもう。相変わらず不敬罪を恐れないよねぇ君」
あ、あれ?王笑っとる……?
俺は涙目で王をじっと見た。
そしたら王に気付かれて、ビクッと体が震えた。
目がっ、目が獲物を見る目に見えてこあい!
「うんうん。良さそうじゃないか(活きが)」
ブルブル震えるけど王から目が離せない。
怖いけどつい見てしまう心霊番組のあれな感じだ。
て言うか……今副音声が聞こえた様な……?
震える体を抑える様に、全身で母さんのドレスを鷲頭かむ俺に、王はニッコリと笑った。
「っひ!?」
得体の知れない恐怖が俺を襲っきたからついうっかり悲鳴を上げたのって悪くないよな……?
「こんな(活きが)良いのを2年もノラリクラリと僕から遠ざけるなんて」
王が首を傾げて「ヒドイなぁ」とニヤリと笑った。
この人あかんヤツ!
「……!!」
全力で関わるなと本能が告げるままに、俺は回れ右をして脱兎のごとく駆けだした。
「じゃあ、あの子ウチの子のお嫁さんに貰うね」
「だんおきょえちゅしゅう(断固拒絶する)!!」
けど幾何かも行かない内に、王の聞き捨てならないセリフに思わず振り返って全力で否定した。
「あっははは!ホント面白いねあの子!」
王が爆笑して、父さんが青筋立てて怒ってる。
父さんは今にも王に掴み掛りそうなとこを王の護衛に抑えられてる。
「恐れながら陛下。以前お話が合った折にもお伝えしましたが、婚姻は双方の同意の元に行って下さいまし」
口を塞がれてモガモガ言ってる父さんに変わって、母さんが微笑みを絶やさず言ってくれた。
心なしかママンからブリザードが出てる気がするけど……気のせいダヨネ。ママンは優しい女神ダモンネ?
「むー、相変わらず我がはとこ殿は僕に厳しいなぁ」
王が口を尖らせてブーブー言ってる。
良いのか、一国の王がそれで。
俺は王の視界に入らないようにジリジリと母さんの後ろに移動した。
て言うか母さんて王族の血筋だったんだ。通りで動じてない訳だ。
俺はそっと母さんを仰ぎ見た。ユルフワヘアーが今日も素敵だぜ。(顔が見たかったけど見れなかったから自分で自分を誤魔化しちゃうぜ)
「ねー」
俺が母さんの後ろに隠れていたら、いつの間にか王子が俺の横に来てた。
おお、可愛いなチミッコ。こんな状態じゃ無けりゃ全力で可愛がるとこだぜ。
きゅっと俺の服を摘まむ様が何とも愛らしいじゃねーか。
俺はチミッコの愛くるしさについさっき迄の事が頭から抜けた。
「にゃに?」
何か言いたそうなチミッコに笑顔で問いかけてあげる。
王があんなでも子に罪はあるまい。
周りじゃ俺達が第一接近をした事を微笑ましく、一部固唾を飲んで、一部面白がって、一部ハンカチを噛んで見守ってる。
「あのねー、ぼくのオヨメしゃんになってくえる?」
「むりー」
可愛くカッコつけた王子にプロポーズされた俺、秒で断った。
途端ショックを受けたのか、目に涙を溜める王子に、たじろぐ俺。
父さんが「よしっ」とか言ってガッツポーズしてるけど、ゴメンよ、パパン、ママン。
今度こそ不敬罪かもしくは良くて珍獣扱いされる事になるかも。
これ、なんで無理かはっきり教えた方が良いよね。俺の為にも。
「あにょね、おえおとこらからおよめしゃんむりー」
空気が固まった。
わかる。そうだよな、幼女が俺実は男なんだぜって言ったら俺だって普通に思考停止するわ。
一部腹抱えて爆笑してる王がいるけど。
ほんとに大丈夫か?こんなのが王で。国外逃亡する算段今からでも付けとくか……?
「あらあら、まあまあ。どうしましょう。今から呼んで仕立て屋は来てくれるかしら」
母さんが首を傾げて美婦人の如くほっぺに手を当てて微笑んでる。
困った顔で微笑むママンが大好きだぜ。
「うふふ、王妃である私が呼ぶのであれば大抵の仕立て屋は来るわよ~」
王妃がおっとり笑って母さんと談笑に転じた。
「いや、そうじゃないでしょー」
ずれた話に花を咲かせるママンと王子のママンに笑いで出た涙を拭いつつ王が待ったを掛けた。
「もがむがー!」
父さんが何か言いたそうにこちらを見て叫んでる。
口が塞がれてて何言ってるかわからん。
「君にはち〇こ付いてないでしょー。だから君は女の子だよ」
おいなんつった。
一国の王以前に分別有る大の大人がち〇ことか幼女に言うなし。
ほら、後ろで護衛やら官吏やらが困って……あるぇ?死んだ目で諦めの境地に入ってらっしゃる?
いつもこんななの?この王。
だがまあ俺としては、渡りに船だ。その言葉、利用させて貰うぜ!
「いまあね。れもきょからおえおとこもどうー(今はね。でも今日から俺は男に戻る)!」
そして俺は今まで溜まりに溜めたフラストレーションを解放すべく、全身全霊全神経を掛けて、更にいるかいないかもわからん神々頼みをして、俺開発☆ビバ完全性転換の魔術を発動した!
#####あとがき#####
作中にアレックスが「不敬罪」を「不経済」と言っていますが、混迷中の仕様です。
応援ありがとうございます!
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