せっかくだから男になって攻めてみたい

無月

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本編

12歳-3

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 舞踏会の日、当日。
 俺は今、自宅の姿見の前で仁王立ちしてる。

 「マジか」

 余りの美少女振りに驚愕だ。
 ドレスアップした俺は美女よりの美少女だった。
 いやー、俺結構タッパあるし、筋肉も細いながらに有るんだよ。
 なのに何この美女。メイクマジックは宇宙共通言語か。そうなのか?
 たしかに前世で見たTVで俳優やお笑いタレントが女装するのあったけど。
 あれって、画面上の編集じゃなかったのかー。

 「俺の美貌は性別すら超えるんだな」
 「兄様綺麗です」

 腰に手を当てて真顔で自画自賛してると、マイスイートブラザーフレデリックが入って来た。
 目をキラキラさせて見上げてくる。可愛い。
 フレデリックは未だに俺より背が低い。そして可愛い。
 
 「フレディも来れれば良いのにな」

 この舞踏会は大人のダンスの場だ。
 俺は一応仮にも王子の婚約者(仮)だから公務扱いで出席する。
 でも子供のフレデリックは留守番だ。残念。
 
 「準備は出来たかしら」

 フレデリックを愛でていたら母さんがやって来た。
 ドレスアップした母さんは絶世の美女だ。子供二人産んでるとはとても思えん。
 そうか。俺の女装は母さんに似てんだな。

 「ふふ。とても可愛いわ。もっと良く見せて頂戴?」

 じっと母さんを見てたら、両手で優しく顔を挟まれた。
 母さん本当女装の俺好きだよなー。娘だった時より楽しんでる。

 「セス。アレックス。何やってんだい?
 早く行かないと遅刻してしまうよ」

 母さんとキャッキャウフフしてたら、父さんが呼びに来た。
 いかん。母さんといると偶に時を忘れる。

 「あら、ごめんなさい。
 アレックスがとっても可愛いからつい」
 「本当だね。他の奴に見せるなんて勿体無いから舞踏会欠席しようか」

 父さんまで混じってどうするよ。

 「はいはい。男のドレスなんて誰も喜ばないから。
 安心して行くよ」

 二人の背中を押して行くと、困った顔で夫婦で見つめ合った。
 ……いや、まあ。こんだけ美女なら俺の性別知らん奴に言い寄られるかもだけど。
 ぶっちゃけ俺強いし、相手が本職じゃない限り大丈夫だから。心配されると割と複雑。
 俺、そんなに弱そうに見えるのか……?
 複雑な思いを抱きながらも馬車に乗り込んだ。

 馬車に揺られる事しばし、予定通りに城まで辿り着いた。
 地図上は一見ご近所さんだけど、其々の敷地が広いから結果遠いんだよなー。
 城に着いたら俺は一旦父さんと母さんとは別れる。
 こっからは公務としてデイヴィッドに付いている必要があるからな。
 王家の控えの間では、すっかり準備万端で寛ぐ王一家とその婚約者が居た。
 一通り王家へ挨拶を終わらせた俺は、デイヴィッドの傍に行った。

 「ようこそアレク。今日も一段と可愛いね」
 「おお。俺もビックリした。女装時の俺ってすっげ美少女なのな」

 デイヴィッドの前でスカートを摘まんでクルリと回ってみる。
 
 「アレク可愛い」

 デイヴィッドが紅潮した顔で満面の笑みになった。そしてぎゅうっと抱きしめられた。

 「俺が美少女なのは判ったから、離れろ暑苦しい」
 「ドレス来てる時のアレクは手強いよね」
 「?」

 デイヴィッドを無理やり引っぺがしたら、残念そうに苦笑した。
 ていうか俺はいつでも手強いイケメンだろ?
 デイヴィッドの言ってる意味が判らず首を傾げたらクスリと笑われたし。意味わからん。

 「皆様、場が整って御座います」

 おっと、もうそんな時間か。
 大広間への扉が開かれて、俺達から中へ入る。その後第一王子とその婚約者、王と王妃の順で連れ立って入る。
 デイヴィッドの腕に俺の腕を絡めて主賓席まで歩いて行くと、そこかしこから様々な視線が刺さる。好意的なものから敵意を裏に隠したものまで。
 ぶっちゃけ敵意隠すなら魔力の乱れも何とかした方が良いじゃないか?丸判りじゃん。

 「ふふ。敵意が気になる?
 彼らは自分の娘を僕と結婚させたがってるからね」
 「その情熱をもっと国の為に向けて欲しいもんだな」

 王と王妃の椅子の左右に一回り小さな椅子がある。
 王妃側の椅子が俺とデイヴィッドの席だ。
 席に着いてから周りに聞こえない程度の声で軽口を言う。

 「出る杭なら挿げ替えられるだけさ」
 「その時は手伝おう」
  
 キリっとさせて言えば「ありがとう」と言って目元にチュッとされた。なんでだ!?
 俺が「チュッ」に困惑してる間に王家は揃ったようだ。
 一家とその婚約者(仮含む)が揃ったところで、招待客に対して手を振る。王族の振り方の奴だ。
 王が俺と第一王子の婚約者に放つ敵意を感じて楽しそうに笑ってる。相変わらず鬼だ。
 この分じゃまた一波乱ありそうだなー。
 俺は遠い目で敵意の元の人達に心の中で合掌した。
 自業自得だ。甘んじて受け入れろよー。絶対俺巻き込まれんだから、絶対助けねえからなー。

 こうして不穏な、一部心底楽しそうな空気を醸しつつ、舞踏会は佳境を迎えるのだった。
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