せっかくだから男になって攻めてみたい

無月

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本編

12歳-5

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 俺は今何故かデイヴィッドの寝室にいる。
 結局あの後、おっさんを騎士に任せたデイヴィッドに姫抱っこで連れ去られた。何故に。
 公共の場でやられたら抵抗出来ないの判っててやってるよな、絶対。
 姫抱っこのままベッドに腰掛けたデイヴィッド。何処の乙女仕様だよ。

 「いい加減離せよ」

 俺は膝上で睨み上げて抗議する。
 デイヴィッドがゆっくり息を吐いて俺をギュッと抱きしめてきた。
 俺の顔がデイヴィッドの肩口に埋まる。ちょっと苦しい。
 いや、思いの外力強く抱きしめられてる所為か、無理な体勢の所為か、大分苦しいかも。
 ロープロープ!という意思表示で腕をバシバシ叩いたら少し弛んだ。
 
 「ふはっ。あー苦しかった」

 腕は放してくんなかいから、仕方なく顔だけ抜け出した。
 自然見上げる形になるんだけど、抗議しようとデイヴィッドの顔を見て固まった。
  
 「なんて顔してんだよ。それじゃ文句言いたくても言い辛いだろ」
 「アレク愛してる」
 「はえ!?」
 
 何で今それを言う?意味判らな過ぎて変な声出ちまったじゃねーか。

 「アレクが他の男に言い寄られているのを見て嫉妬した。こんなに余裕がなくなるなんて思いもしなかった」
 
 デイヴィッドが苦しそうに歪めた顔を俺の肩に埋めた。

 「あのなあ。俺は攻め手でいたいの知ってるだろー。
 あからさまに犯したがってる奴なんか相手にするもんかよ」
 「うん」

 デイヴィッドが全然判って無さそうな雰囲気で頭グリグリしてきた。
 なんだなんだー?甘えたがりかよ。可愛いじゃねーか。
 俺は一つ息を吐いて「しょーが無いなー」と背中に両手を回してポンポンと叩いてやった。
 したら俺を抱きしめる腕に力が入った。

 「あんま強く絞めんなよー。苦しいだろー」

 半ば諦め気味に言って、ずっとポンポン叩いてやる。
 案の定、頷くくせして力緩めねえし。まあ、さっき依りは苦しくは無いし良いけど。

 「汚い手がアレクに触れるだけで嫌だ」
 「いや、俺も男だし。騎士に交じって鍛錬だってしてんだぜ?」

 何だろうなー。まあ、いくら大人びてても、デイヴィッドはまだ12歳。もうじき13歳になるって言っても未成年の子供だ。感情が追い付かない時もあるか。

 「それも嫌だな」

 おいおい。今更嫌々期かよ。幼児期に済ませとけよ。
 ついうっかり胡乱な目になるけど、見えてないから良いよな。うん、良いよ。

 「そんな事言われたら俺何も出来ないだろー」
 「僕が全部面倒見るから」
 「あのなー。俺は自由を愛してんの。
 束縛系はマジ勘弁だぜ?」
 「判ってる。僕も自由な君だから好きなんだ。
 でも、今だけ言わせて?」

 そう言って、顔を上げて懇願するデイヴィッドと目が合う。
 珍しく弱々しいな。ていうか近い!鼻ぶつかる!

 「今だけだからな」

 仕方なく溜息ついて了承してやると、デイヴィッドはやっと安心した様に笑った。
 なんだよ、ギャップ萌えかよ。可愛いな。
 とか思って頭を撫でてやろうとしたら、デイヴィッドの目が更に近づいた。
 睫毛が触れそうな程。

 「!?んっ、……う……!?」

 口にっ!口に何か生暖かい物が当たってるよ!ママン!
 うん。判ってる。この状況で当たってるって……アレしかないよね。

 うわーーーー!デイヴィッドにキスされとるーーー!!

 「っ、っふ……んぅ……」

 混乱してる間にもデイヴィッドは俺の唇を啄みやがる。
 だからそれ俺がしてやりたいヤツーーー!
 俺は力いっぱいデイヴィッドの胸を押して何とか離れた。

 「何すんだよっ」
 「アレク……」

 デイヴィッドを睨みつけたけど、絡んだ目が熱を孕んでいたから息を飲んだ。
 別段俺だってデイヴィッドが嫌な訳じゃない。恋愛は判らんけど好きだとは思ってる。
 抱かせてくれんなら寧ろバッチコイ!なんだよな。
 けど、デイヴィッドも明らかに攻め手でいるのが明らかだ。この目がそれを物語ってる。
 
 「思春期って怖いなぁ」
 
 つい思った事が口についてしまったら、デイヴィッドの目が妖しく眇められたんだけど。

 「余裕があるんだね」
 「は?」

 不穏な空気を孕ませて言うデイヴィッド。
 一瞬何を言われたか判らなくて間抜けに口を開けて呆けてしまった。
 それが運の尽きだ。

 「んむっ、っっんっ……!」

 その一瞬の隙を突かれてデイヴィッドに深く口を奪われた!
 俺が正気に戻る暇を与えない様に、デイヴィッドの舌が俺の咥内を犯す。
 舌を絡められて吸われて、ゾクゾクとした感覚が背筋を走った。
 そして来る下半身の違和感。俺の大事な分身が自己主張をし始めた。
 ドレスのフワフワで触られん限りはバレないだろうけど……。地味に苦しい。
 俺はまだ射精が出来ないから苦しい損だ。

 このままだと俺の心身共にヤヴァイと理解した俺は、反撃すべくデイヴィッドの頭に手を伸ばした。
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