せっかくだから男になって攻めてみたい

無月

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本編

12歳-6

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 デイヴィッドの頭に手を伸ばした俺は、そのままガッシと鷲頭かみにした。

 「んっ」

 主導権を奪おうと俺からも打って出る。
 攻撃は最大の防御だ!多分!
 とは言っても経験値ゼロの俺は、前世から今までの云十年のイメージトレーニング(妄想)だけしか無い。
 そういう本は腐る程読んだけど。
 まずは吸われた舌を吸い返してみる。

 「っふ」

 デイヴィッドに嬉しそうに目を眇められて更に深く口付かれた。
 くそー!気持ち良くなんてっ、気持ち良くなんてっ!何でそんなにキスが上手いんだよ畜生!!
 上手いも上手くないも初めてだから比べる者も無いけどなっ!
 これならどうだ!

 「ん!」

 デイヴィッドの歯列をなぞってみた。
 う、んん?む、難しいな。ていうかこれって気持ち良いのか?

 「ふ、んん!?」

 疑問に思いつつも頑張っていたら、ふっと一瞬笑ったデイヴィッドに俺の歯列をなぞられた。
 これが見本だと言わんばかりのテクに、敗けたと思うよりも腰に来るゾクゾク感が勝ってしまった。
 余りに下半身が疼き過ぎて、ついモゾっと動いてしまう。
 ていうか!どこで覚えんだそのテク!
 浮気か!?どっかで女でも(否男かもしれんけど)作って乳繰り合いやがってんのか!?

 「んっ。ふ……変な事考えてる様だね。
 言っとくけど、僕もこれが初めてだからね」

 デイヴィッドが口を離したと思ったら、笑ってない笑顔で目を見据えて来た。
 思考読まれてた!?
 ていうか初めてだと!?
 これで?嘘だろ!?
 お、俺のアイデンティティが……。
 ショックに打ち拉がれていたらクスリと笑われた。

 「アレク可愛い」
 「んん!」

 こんなイケメン捕まえて可愛いは無いだろ!と言いたかったが言えんかった。
 勿論口を塞がれたからだ。否、勿論ってなんだ(セルフツッコミ)。
 静まり掛けてた俺の熱が戻るどころか増えた。
 俺が感じたトコを重点的に、けどしつこく無く。慣れないギリギリの際で咥内を蹂躙される。

 「……っふ、んちゅ」

 溢れる唾液が卑猥に室内に響く。
 俺はどんどん力が入らなくなってしまい、デイヴィッドの頭から手が離れてしまった。
 それでも何とか離れようとデイヴィッドの胸に手を当てた。
 でも力の入らない手じゃ、添えられる程度にしかならなくて。
 これって絵面的に男女の正しいキスシーンになってないか!?
 
 腰は疼くし、抜きたくてもまだ夢精も来てないのに変に弄って病気になるのも怖いし、そもそも力も入らないし。
 いっぱいいっぱいになった俺は目をグルグル回しながら意識を手放した。



 目が覚めたのは朝になってからだった。

 「うう。嫌な夢見た……」
 「へえ?どんな夢?」

 寝起きの呟きに思い掛けない返答が有った。
 
 「んん?デイヴの声が聞こえた気がする」

 はっはっは。まさかな。まさかだよな。
 天井が自室のと違うのはきっとあれだ。気の利いた執事のセバスか俺付き侍女のウル(メイドから出世した)が模様替えしたんだ。そうに違いない。そうだと言ってくれ。
 
 「気の所為では無いよ」

 嫌だなぁ。朝から幻聴が聞こえるなんて。
 俺は頑なに間近に聞こえる声を見ない様に、その反対側の右を見た。
 わー。天井だけじゃなくて壁や調度品も模様替えしたんだなー。
 なんならいつの間に部屋の拡張工事もしたのかなー。
 冷や汗を掻いて空笑いする顔に、するりと手が伸びて来た。
 決して力強くされた訳じゃないのに、俺の顔は左に向けられてしまう。

 「おはようアレク」

 眩い笑顔のデイヴィッドがいました。

 ……判ってた。判ってたさ……。
 ここがデイヴィッドの寝室だという事も。あのままここで一泊かましたって事も。
 判ってたけど現実逃避したって良いじゃない!だって朝チュンの朝帰りになるんだろ!?
 ネコの立場で!!チュー以外してないけど!
 ……してないよな……?
 寝込み襲ってないよね?
 ちょっと不安になって訴えかける目で見てしまう。

 「ふふ。(大した事は)してないよ」

 ハイ。良い笑顔頂きました。
 ていうか副音声ーーー!!

 「ナニをした!?」
 「お風呂に入れて(隈無く)綺麗にしたよ。勿論着替えもね」

 「ほら」と言われて改めて自分の恰好を見た。
 ウン。ネグリジェでした。……スケスケの……。
 誰だコレ用意した奴!?
 否。それより問題があった。
 朝立ちしてた。
 そして今更気付く。……パンツ湿ってる!

 「え?あれ?」

 俺が困惑してるとデイヴィッドが、元気に立ち上がった俺の分身をサラリと撫で上げた。

 「ひぃうっ」
 
 瞬間、快感が俺の体を駆け抜けた。
 そして少し何かが出た。
 否、聞かなくても判る。コレって、アレだろ。

 「おめでとう。アレク」
 「抜ける体になったって事か!」

 到頭大人の体の仲間入りを果たした俺は、歓喜に打ち震えた。

 「でも急に成るもんなんだな」

 不思議に思うが、喜びでニコニコが止まらない。

 「ああ。それは昨日深いキスをしたからじゃないかな?
 僕も(アレクをオカズに)弄った日に(アレクを抱く)Hな夢を見て成ったし」

 ……んん?
 今喜びで上手く副音声聞こえなかった。
 取敢えずエロい事したら成り易いって事か?
 うん、まあ。あのキスはエロかった。めっちゃ腰に来た。ていうか立ったし。
 そんでエロい夢ですか。
 ハイ。見ましたが、何か!?
 
 畜生!依りにも依ってデイヴィッドに抱かれる夢だったさ!此畜生!(悔しいので2度言う)
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