男に生まれたからには攻めていく!

無月

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本編

0歳-1

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 「あぶー」

 言葉が喋れない。
 当たり前だ。まだ俺は0歳なんだから。
 体も上手く動かせない。手足が辛うじてウゴウゴと動くだけだ。
 頭も上手く動かせない。頭が座ってないからだ。
 目だけでもキョロキョロ動かす。

 「あうー」

 鏡らしきものは近くに無いか……。
 これじゃ性別がわからんなー。

 「失礼します。***様」

 メイド服を着た人が何か言いながら近づいて来た。
 言葉は体内学習したおかげか、少しわかる。
 でも聞いたことない言葉はわからない。
 何度も聞いてるから、俺の名前か敬称だと思う。

 「あばー」
 「***を交換致します」

 メイドが恭しく俺の足を上げる。
 これも何度か経験した。この後はオムツ交換だろう。
 という事は今の言葉はオムツか。
 下半身がさらされて、スースーする。
 もう少し足を上げてくれればイチモツの確認が出来るのに……高さが足らん。

 「ぶー」

 毎度の事ながらガッカリする。
 せめて何か姿を映す鏡面状の物は無いだろうか。
 俺はせっかく下半身が剥きだされている機会を逃さぬよう、キョロキョロ辺りを物色する。

 「おー」

 残念。今日も収穫無しか。
 あっと言う間にオムツ交換が終わってしまった。

 「失礼しました」

 メイドが赤子に対しても丁寧にお辞儀をして退出した。
 さて、今日までにわかった事をおさらいしとくか。

 ここが侯爵家であることは母体にいる時に把握済みだ。家名はオルティス。
 つまり俺はオルティス侯爵子息になる訳だ。
 ……立場が重いぜ。
 まあ、今は赤子だ。せいぜい今の内に学べるとこは学ぼう。
 前世で勉強嫌いを拗らせて、社会で大変な思いしたからな。
 知識大事。絶対。
 あって困る知識は無いけど、無くて困ることは山程有る。
 子供は今のとこ俺だけの様だ。
 という事はこのままいけば俺が世継ぎになる可能性がある訳か。
 ……もう一度言おう。立場が重いぜ。
 管理職と営業職だけはやりたくない職業ランキングトップ3だったが……。まあ仕方ない。
 今生の両親はとても夫婦仲のいい、優しい人の様だ。
 何せ、母さんが妊娠中、ほぼ毎日母さんの腹……要は俺のいる場所を撫でてたからな。
 生まれてからも毎日俺を抱きにここに来る。
 母さんに至っては俺の乳やりを自分でする。
 こういうのって乳母がすると思っていたが……。
 そもそも、乳母らしき人すらいない。
 可愛いメイドはいっぱいいるがな!
 ついでに可愛い使用人もいっぱいいたしな!
 取敢えず、育つには良い環境という事だ。

 コンコン

 「あだ?」

 思考の淵を彷徨っていたらノックの音で我に返った。
 ドアから入って来たのは母さんだ。
 母さんは凄い美人だ。
 優しいブロンドの髪をユルフワに仕上げている。
 本来大きい目をいつも優しい笑みで細めている。
 今日も美人だ。

 「*****。お散歩しましょう」

 母さんは先程のメイドとは違う言葉で俺を呼ぶ。
 全く違うからこれが名前で、メイドが呼んでいたのが敬称だろう。

 「あぶー」

 俺は母さんの温もりを求めて手を伸ばす。
 赤子になって初めて知ったが、赤子は兎に角親の温もりを欲するらしい。
 しばらく会えないと抑えきれない不安が襲うこともある。

 「ふふ。今日も私の*****は元気ね」

 母さんがそっと俺を抱き上げる。
 いい加減俺の名前くらい聞き取りたいが、外国語はなんでこうも聞き取りづらいんだ!

 「おぶー」

 つい不満の声を上げてしまった。
 母さんが気付いてあやしてくる。

 「あらまあ、どうしましたか?****ス」
 「お」

 最後の方ちょっと聞き取れたぞ!
 最後が「ス」だな。良し覚えた。
 急に機嫌が良くなった俺に、母さんも嬉しいみたいだ。
 花の様な笑顔をくれる。
 前世の母ちゃんも好きだけど、今生の母さんマジ半端なく最高に美人だぜ。

 「ふふ。今日もいい天気だから、お庭で日向ぼっこしましょうね」

 母さんの心地よい振動に揺られながら庭に出る。
 やべー。マジ半端なく気持ちよすぎて眠くなる。
 母親マジック恐るべし!

 「ふふ。今日は風も穏やかね」

 母さんの振動に揺られてうつらうつらと船を漕ぐ。
 空気が穏やかでポカポカ暖かいから余計だ。

 「********」

 母さんが何か話してる。
 でも駄目だ……。俺はもう……ね…むい…………。

 俺は誘惑に負けて寝てしまった。

 起きた時には既にお昼に近かった。

 「ふ、ふえ……ふぎゃあああああ!!」

 朝の乳から何も飲んでいない俺は空腹で大泣きして起きた。

 「あらあらまあ。ちょっと待ってね」

 母さんが話してるけど、今の俺はそれどころじゃない。
 泣いて泣いて泣きまくる。
 疲れてきたなと思ったら、良い匂いがして思わずかぶり付く。

 「んくんく」

 あーやっと乳にあり付けた。
 乳も最初は興奮したけど、最近じゃ慣れたもんで普通にご飯タイムとしか考えてない。
 お腹がいっぱいになった俺が乳から離すと、母さんが肩に担いで背中をトントンと叩く。
 ゲップだ。これ大事。

 「けぷ」
 「はい、良く出来ました」

 ゲップを上手にするといつも母さんが褒めてくれる。
 最初はたかがゲップでと思ったが、今では嬉しくてゲップを頑張ってる。

 「今日は****がお昼で帰って来るから、****してお出迎えしましょうね」

 最初の****は多分父さんの事だ。
 最後のは初めて聞く言葉だ。何だろう?

 「あばー?」

 俺が不思議がってるのがわかるのか、母さんは鏡台の前に俺を連れてきた。
 そして用意されていた服を俺に宛がう。

 「*・*・*・*」

 母さんはゆったり笑って先程の言葉をゆっくり繰り返した。
 文字の羅列はわかった。それの意味する事は推測でしかないが、おそらくお着換えかおめかしだろう。
 着替えは言葉がわかるから、多分おめかしで正解だ。

 「おー」

 しかし思わぬところで鏡に出会えた。
 これで全裸になれば性別がわかる!

 「あーあー」

 ここが俺の演技の見せ所だ。
 オムツを替えて欲しいアピールをする。
 我ながらへたくそな泣きまねだが、母さんにはわかって貰えるだろう。

 「あら、オムツを替えて欲しいのね」

 案の定母さんに通じた。
 徐に服を脱がせてくれる。
 よし、これで後は鏡の自分を確認するだけだ!

 「おっお」

 鏡を見ようと頑張って腹筋を試みるが、勿論出来るわけが無い。
 けれど俺の母さんは完璧美人だ。
 俺の言わんとした事を察してくれて、俺に鏡を見れるようにしてくれた。

 そこで漸く見る事の出来た俺の体は……。
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