男に生まれたからには攻めていく!

無月

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本編

7歳-6

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 目立たない様にお忍び用の地味な馬車で街まで降りてきた俺は、初めて見る街の風景に圧巻されている。
 前世のコンクリートジャングルとは違う、石畳の広い道に両脇に立つ建造物。家屋の雰囲気は木の温もりや石本来の質感を感じさせる物になっていて、それが調和が取れるように並んでいる。
 大通りの建造物のほとんどが何らかのショップになっていて、眺めているだけでワクワクしてくる。
 ビックリしたのが武器屋だ。前世じゃそんな物騒なもの無かったし、刃物なんて包丁かカッター位しか身近に無かったからな。
 俺が目を輝かせて店内を覗き込んでたら、何時の間にやらガイウス団長が店員と話をつけてくれて店内を見学させて貰えることになった。

 「そんなに食い入る様に窓にへばり付かれちゃな。店員さんもどうしたらいいか困惑してたからだ」
 「あだっ」

 お礼を述べたらデコピンされた。手加減されたものだから吹っ飛んだりはしないけど、額を擦ったら腫れてた。バカ力め。
 店内に入ると今は他に客も居なくてゆっくり見て回る事が出来た。

 「すげー!かっちょいー!あっ!あれってバトルアックス!?それにその隣にあるのはハルバード!」

 店内にはあらゆる種類の武器が飾られてあって見てるだけで楽しい。

 「アレックスって本当好きだよね。こういう力業っぽいの」
 「えー?だってかっちょいーじゃん。レクだって嫌いじゃねーだろ?」

 気になる武器を見つける度に店員さんに説明を受けてると、レクにクスクス笑われた。
 俺はキョトンとして逆に同意を求めたら、レクはうーんと顎に手を当てて考えてしまった。

 「まあ嫌いじゃないけど……。オレはそれより魔術書のが興味深いね」
 「あー確かにレクって魔術の勉強好きだよなー。今じゃ俺より魔術使えんだもんなー」

 レクは一緒にマチルダに魔術教わる様になった途端、メキメキと頭角を現してあっと言う間に俺のレベルを追い越してった。その代わり体動かす系は苦手みたいだけど。
 俺は魔術より武術系のが好きだから追い越された所で悔しさは無い。
 要は俺とレクってバランスが取れた仲間って感じなんだろうな。

 「何?その顔気持ち悪いよ」

 おっと、ついニヤニヤしていたらしい。レクに胡乱な目で見られて距離を取られてしまった。
 辛辣な態度を取られても、そもそも出会い方が良いと言える物でも無かったし、あまり気にならない。
 それに今はもう凄く良い奴だってわかってるし。

 「へへ。レクと友達になれて嬉しくてつい、な」
 「!?んな!?何急に!バ、バッカじゃないの!?」

 ニッカと笑って言えば、レクは顔を真っ赤にさせて動揺した。
 アタフタと目をキョロキョロさせて俺の視線と合わない様に照れる姿が、本当に可愛くて可愛くて。

 「そ、んなの……オレだって、嬉しいし……!」

 !?!?でれた!!

 「レクっ……!」
 「え?何!?ってうわっ!ちょっ離してっ」

 照れた赤い顔でチラ見の上目遣いをされた俺は、ノックアウトされた。
 我慢がならなくてガバチョと羽交い絞めにせん勢いで、レクをギュウギュウに抱きしめる。
 堪らず力いっぱいに腕を張ったり、暴れたりして俺の包囲から逃れようと藻掻くレク。もっともレクの非力な腕力じゃ俺には敵わんがな。

 「ふははははっ、俺の愛を受けるが良い!んちゅううううっ」
 「ぎゃああああ!止めろぉおおお!」

 アヒル口の様に唇を突き出してレクにチュウを仕掛ける俺に、全力で嫌がるレク。
 あとちょっとでレクのフニフニほっぺに吸い付く寸前で、

 ゴイン!

 「止めんか」

 ガイウス団長の拳骨が脳天に直撃した。
 ガイウス団長の拳骨に減り込む俺から、レクがそそくさと逃げ出した。っち。惜しかったな。
 離れた温もりを寂しく思い、手をワキワキさせて今度は拗ねて口を尖らせる俺に、ガイウス団長が暗く光る眼で握り拳に「ハアー」っと息を吹きかけた。
 慌ててマチルダの影に隠れて、たん瘤の出来た頭上を両手で隠した。

 「っ!そこは卑怯だぞ……!」

 苦虫を噛み潰した様な顔で眉間に皺を寄せるガイウス団長。

 「ふっふっふ。立ってる者はガイウス団長の想い人でも使」
 「五倍」
 「すいませんでした」

 みな迄言わせない迫力あるドス声で、訓練メニュー倍増のお言葉を言われた俺は土下座した。

 「ええっと」

 この一連の流れ。勿論店員さんの前で行われてる訳で。
 店員さんは流れる様に行われたコントに、どう反応を示したらいいのかわからず困惑していた。
 最後に俺が説明を聞いてた大剣を両手で持って佇む姿。うむ。なかなかにシュールである。
 申し訳なかったからお買い上げしました。これは父さんにプレゼントしとこう。そうしよう。決して押し付けじゃないぞ?
 けどそうなると母さんとフレディにも何かお土産を買いたいものだ。
 武器屋を後にした俺達は他のショップも見て回る。
 一応貴族子息の俺が小金持ちなのは良いとして、レクは孤児院育ちだから自分の持ち金って無い筈。
 ここは俺が格好良くプレゼントして愛を育む場面か。っと思ってたら魔術の腕を見込まれて父さんに雇われてた。って言ってもまだまだ子供だから今は使用人見習いとマチルダの助手的簡単な仕事だけだけど。
 それでもちゃんと自分の力で得たお金を持つレク。お小遣いしか持たない俺。精神的年上として負けた気がしてならない。

 「社会勉強と称して自立を目指そう……、そうしよう……」

 黄昏れた俺は、お小遣いを握りしめて固く一番星に誓った。

 因みに母さんには髪飾り、フレディには本をプレゼントした。お小遣いで買った物で(悲哀)。
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