男に生まれたからには攻めていく!

無月

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本編

7歳-9

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 ケイリーちゃんから粗方の話は聞き終わった。
 協会の事はかなり詳細に理解している様で、父さん達が調べ上げた殆どの事を言い当てているみたいだ。
 ケイリーちゃんが話を進める度に、ガイウス団長とマチルダの空気が張り詰めていたから間違いないだろう。何なら知らない事もあったのか、息を飲んでマチルダと視線を合わせたのを俺は見逃さなかった。
 その話はあまりに吹聴されるには危険だと判断し、事実関係及び、ケイリーちゃんの事件との関係を調べる為にも監視の目に置かれる事になってしまった。まだたった7歳の女の子なので、流石に一人連れてく訳にもいかない。だから途中で親御さんに説明してご同行頂いてる。お花屋さんは一旦休業させてしまう結果になって申し訳ない。

 「にいさまおかえりなさい!」
 「ただいまフレディ。良い子にお留守番してくれたフレディにお土産を買ってきたよ」
 「わーっありがとうにいさまー!」

 両手を広げて駆け寄ってくるフレディを、優しく迎え入れて両腕で包み込む。するとフレディは嬉しそうな声を出して頭をグリグリ擦りつけて来た。
 うむ。我が家の天使は常に天使だ。可愛さ余らず憎さ皆無。可愛いが天元突破してる。最早世界救世するレベル。
 ギュッと離さないフレディの手を、断腸の思いでそっと外し、その手に買ってきた物を握らせた。するとその包みを見たフレディは、両手で抱えて百万ドルの笑顔を散らして喜んでくれた。自然と頬が緩んで蕩け落ちる。

 「……!天使がいる!」

 俺に良い子良い子されて喜ぶフレディに、恍惚とした声を上げる者がいた。ケイリーちゃんである。

 「まさか……ケイリーちゃ、さん。君もなのか……」
 「え?君もって……若しかしてアレクサンダー様も、なんですか?」

 俺が呆然と振り向き呟けば、ケイリーちゃんもハッとして同意を示してきた。
 っくぅ、屈折7年っ。遂に、遂に同じ思いを語り合える同志に巡り合えた!
 俺は嬉しさのあまり駆け寄ると、口元を覆って何かに耐えていたその両の手を取って、ギュウっと握りしめた。

 「ああ!同志よ!同志がいた!可愛いは正義だよな!可愛いは神だよな!?ウチの弟最高に天使だよな!?」
 「はい!フレデリック様とアレクサンダー様のショタ絡みは天使級の可愛さです!」
 「ふえっ!?俺!?いやいやいや、俺は可愛いよりイケメンって言われたい!」
 「イケメン……?」

 何故に腑に落ちない顔で俺を頭の先からつま先まで見るのかな?寧ろその事に俺の方が釈然としないよ?っていうかガイウス団長笑い漏らしただろ!?手で隠しても聞こえてたからな!レクも何で「うわ~」って顔で引いてんのさ!
 あまりに酷い反応に、俺も流石に頬を膨らませて憮然と睨みを効かせた。
 ガイウス団長の腹筋が決壊した。
 くっそー、餓鬼だと思って笑い転げやがってっ。誰の助言で無職にならんで済んだと思ってるんだっ。ぜってー何時かそのドテッパラに重い一撃入れてやるっ。
 
 「あら~とっても賑やかねぇ」
 「ガイウスは相変わらず不敬という言葉を知らんよな」

 俺が心の中でガイウス団長を倒すシミュレーションをしていたら、母さんも父さんも和やかに笑って俺の闘争心を無効化してきた。
 母さんは兎も角父さんは俺の初めてのお出掛けに、心配性を拗らせて無理矢理休暇をもぎ取って来たらしい。行く時も勿論玄関先で見送って貰ったが、帰りもきっちり玄関で出迎えてくれた。
 まあ……森に飛ばされてそんなに日も経ってないしな……。寧ろ護衛付きとは言え許可をしてくれた親心に感謝しかない。

 「私の不敬は主譲りですよ」
 「ほぉ?初めて出会った時から変わってない様に思うがね」
 「気のせいでしょう」

 ははは。と和やかに笑いあって軽口を言い合う父さんとガイウス団長。それにマチルダも。実は父さんが爵位を継ぐ前からの古い知り合いなんだとか。
 気の置けない同志というか、仲間って空気が何処か気安さを感じさせる。父さんの若かりし頃の話って何故かしてくれないんだよな~。俺に話したら家を飛び出して遠くに行ってしまう気がするって……。何やって来たのさ、父さん。

 「さて、そちらの淑女とレディが先に話が有った方達かな?」
 「まあまあ、立ち話もなんですしお部屋でゆっくりお話ししましょう」

 粗方軽口を言い合って満足したのか、唐突に父さんがケイリーちゃん母娘に話を振った。事前に魔術で話を通しておいたのだ。だから見知らぬ二人が居ても驚く事も問い質す事もしなかった。
 二人を怖がらせない様に穏やかなまま応接間に案内する。

 「ああ、ウル。ウチの子達を頼んだよ」

 そして俺とレクを話し合いに参加させない様に笑顔で俺達の介入を拒んだ。

 「またかよ!」
 「アレックスにはまだ政治に係わらせるには年も知識も足りないからね」

 何時もは甘々に甘いくせにこういう時ばかり侯爵の顔をする。
 事の発端はガイウス団長とマチルダだけで事足りるからな。俺の意見は必要はないんだろう。
 けどな?

 「レクの時だって俺が最初に会ったのに手伝わせてくれなかった!流石に二度目はグレるよ!?」
 「!っぐぅ!」
 「あらあらまあ。それは悲しいわ」
 「駄目ですよ主」

 おおっ、父さんに会心の一撃を食らわせたぞっ。ガイウス団長が止めに入ってるけど、漬け込むなら今だよなっ。

 「父様!俺だって父様の息子です!いずれ父様の仕事を継ぐかもしれない身として今の内に見分を広め、今からでも父様のお手伝いがしたいのです!」
 「ぐはぁ!」
 「まあまあ、アレックスはとっても良い子ね。ママ嬉しいわ」
 「駄目ですからね主」

 父さんが苦しそうに何かと葛藤しながら胸を抑え込んだ。
 母さんは相変わらず穏やかに笑っているけど、ガイウス団長が父さんに圧をかけて凄みだした。
 父さんの気持ちが侯爵として復活し、血涙流して俺を突き放そうとした。その時、

 「……あの、私も同い年の子がいた方が安心、というか、心強いんですけど……」

 俺に女神が助け舟を出してくれた。7歳の少女、ケイリーちゃんである。
 そうだよな!?そうだよね!?まだちっさい少女が大の大人達に顔突き合わされたら怖いよね!
 かくしてケイリーちゃんの怯え眼も手伝って、取り敢えずはお話しの場には参加出来る事になった。
 渋々ガイウス団長が頷いたその横で、ケイリーちゃんが俺にだけわかる様に親指突き出してたから俺も親指突き出して答えたぜ。グッジョブだ、ケイリーちゃん!
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