男に生まれたからには攻めていく!

無月

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本編

15歳-5

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 放課後、全ての授業が終わった俺達は、学園内の人気の少ない校庭に来た。学舎からは遠い位置に有り、広い割に設備が整っていない為好き好んで人が集まらないのだ。それでも広いから何かしらの催し事に年に数度使われてるけど、今日はその予定がない為鍛錬し放題だ。
 
 「こんだけ何もないと魔術の苦手なヴァンは不利だろ?
 ハンデ付けようか?」

 俺は柔軟体操で体を解しながら挑発した。

 「っは、吐かせ。そういう言葉は一度でも剣で俺に勝ってから言え」

 同じく柔軟しているヴァンも小馬鹿にして挑発返しをしてくる。
 デイヴ達が遠巻きに見守る中、俺とヴァンは互いの出方を伺いつつ、自然体で、でも直ぐに動ける体制で止まった。互いの視線の間には火花が静かに散っているのを感じる。
 最初に動いたのはヴァンだった。
 音も無く俺に肉薄して来たが、俺も事前に魔術の構成は済ませてある。

 「鎌鼬」
 
 剣が振り下ろされる直前で発動させた不可視の刃、けどヴァンはそれを気合だけで断ち切った。
だからさぁ!そういうところがっ!
 人を非常識呼ばわりしてる本人が一番非常識だと思う件について。正式に抗議したい。

 「っ」

 バックステップでギリギリ躱した所へ更に斬り込んで来る。それをいなす様に剣で受け流す。
 軌道を変えてやったにも関わらずヴァンは涼しい顔だ。鼻フックかましてやりたい。とか思う間もなく追撃される。
 休む間もない連撃に、だけど俺も負けてはいない。
 斜め下から突き入れられた剣を、寧ろ懐に飛び込み握る手を捕らえる。そのまま大外刈りで足を払えば、とか思うが鉄塊が如く鍛え上げられた足はビクともしない。
 わかってたけどな!こっちだって鍛えてんのにもはや人外レベルだ。

 「触手縛」

 だがヴァンの手を捕らえた事には変わらんのだよ。
 大外刈りを完封した事でニヤリと口角を上げた隙に、構成しておいた魔術を発動させた。

 「っ!!」

 途端に狼狽えバックステップで距離を取ろうとするヴァン。けどそれを俺の掴んだ手が阻む。
 っふっふっふー。これぞ策略戦の勝利だぜ。
 触手縛は粘液性の液体を縄状に発生させる魔術だ。幾本ものウネル触手は全て俺の意思に従って動く。

 「さぁ~って、早く降参しないとサービスカット突入しちゃうよん♪」
 「てめっ!コノヤロ!なんてモン発動しやがるっ」

 足元から這う様に迫り上がってくる触手は、サービスカット宜しく衣服(防具込み)だけを溶かして、柔肌には怪しい汁をつけながら絡んでいく。
 う~む。良い絵だ。

 「っざっけんな!」

 気合一閃。盛り上がる筋肉から放たれた覇気は、竜巻程の威力を以て俺を弾き飛ばした。

 「おっと危ね」
 
 直前に手を話して自分から後方に跳んだお陰で直ぐに体勢を立て直した俺は、ヴァンから離されたにも関わらずニヤニヤ笑いが止まらない。

 「んな!?剥がせてねぇ!つか増えてんじゃねぇか!」
 「はっはっはー。そいつは切れば切る程増殖する無限地獄タイプだぜ。逃れる術は俺を無力化させるか解術するしかない」
 「っ!!ちっくしょう!なんて魔術開発しやがる!」
 「かっかっか。この日の為に誰にも言わず研究に研究を重ねた甲斐もあるってもんだ。
 ちなちな、今回はやってないけど催淫効果を付与させるのが本来の使い道です☆」

 おちゃらけて胸を反らして大自慢だぜ。
 補足を足したら顔面蒼白させたヴァンの息が止まった。
 デイヴ達から可笑しな気配を感じて振り向けば、揃いも揃って顔を蒼くして悼ましい目をしていたのは解せない。
 結構便利なんだけどな。主に嫌がらせに。セクロスするのにも良いアクセントをもたらせる事請負い、だと思うんだけど……デイヴにはしない方が良さそうか?

 「……降参だ……」

 ツラツラと触手縛の活用性を悩まし気に考え込んでいたら、蚊の鳴く様な声でヴァンが根を上げた。
 思ったより早かったな。もしかしてヌルヌル系苦手か?

 「アレックス、恐ろしい子……!」

 触手縛を解除するのも、パッと消えるんじゃなくてシュルンと地面に消えてく仕様になる。その時顕になった素肌にヌルヌルが走り、ヴァンが「ぅ」という小さな喘ぎ声を発した。それを見たケイリーが、片手で鼻をおさえもう片手でグッジョブ!を表し背中から倒れ込んだ。

 「ケイリーは何処に向かってるんだ……」

 若干乙女の嫁ぎ先が心配になった俺だが、きっとレクが貰ってくれるだろうと自己完結させたのだった。



 学生寮に戻った後の事。談話室にて。

 「俺、アレックスだけは絶対敵に回さねー」
 「同感ですね。彼の思考は常にぶっ飛んでいます」
 「なんかゴメン。オレのせいじゃないけど、幼馴染みとして止めなかったのは申し訳ないと思ってる」

 これでもかと風呂で体を磨き洗ったヴァンがゲンナリしながら吐き出した。疲れ切った様子でソファに背中を預けている。
 ジミーが労り火照ったヴァンの体に風を送ってあげている。
 それに死んだ目で空笑いするレクが謝罪したけど、

 「いや、アイツは止めて止まるタマじゃねーだろ」
 「いえ、彼は止めても止まりませんよ」

 ヴァンとジミーはハモって、長く深い溜息を吐き出すのだった。
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