43 / 44
本編
エピローグ<結婚>
しおりを挟む
「やっとか」
俺の一世一代の大告白から約2年が経過した。
学園も今年に無事卒業し、今日この日に目出度く結婚式を挙げる。降嫁とはいえ王族との結婚式だから割と面倒臭く、長たらしいものになるが、それを終えればやっと、やっっっっっと、念願の初夜を迎える事が出来る。
長かった。本っっっっっ当に長かった。
折角恋人が出来たというのに、王侯貴族の仕来りだかマナーだかの所為で俺は未だに童貞のままだった。くそぉうっ。
何が結婚前に体を繋げるのははしたないだっ。今時はやんないっつの!好きな奴目の前にして、何で第三者にお預け喰らわなきゃならないんだっ!
デイヴ大切にしたいから我慢したけどっ。
「ああ、早く初夜にならないかな」
何せ約2年も我慢したんだ。今日は遠慮はいるまい。
この日の為に日々、デイヴの体は慣らしてきた。へんっ、本番しなきゃ良いんだろっという開き直りでもあるが。実際、女体と違って自ら濡れてくれる孔は無いからな。初夜ではなるべく痛い思いをして欲しく無いという思いが大半だ。
「兄様」
全ての準備が済んで待っていると、この2年で急成長を遂げたフレディが呼びに来た。大きくなっても我が弟は相変わらずの天使である。
「ああ、行こう」
会場まではフレディに連れ添われて行く。
入場口でデイヴと待ち合わせ、そこからは二人で進む手筈になっている。
因みにデイヴは義兄さん(王太子殿下にそう呼ぶよう言われた)に連れ添われて来る。
広い廊下を歩いて行くと、ホールに出る。デイヴはまだ到着していないから先に扉の前で待つ。
フレディは扉の横で待機し、俺達が中に入り次第席に着く事になっている。
少し待つかと思ったが、俺が着いて直ぐにデイヴも反対の廊下からやって来た。
「綺麗だ」
結婚式様に着飾ったデイヴに、俺は見惚れて思わず呟いていた。
俺とはお揃いの白いタキシード。そこに互いの色をあしらった装飾を付けている以外、俺と同じ格好の筈なのに、どこか違って見えた。
「有難う。アレクも、とても惚れ惚れするよ」
ニコリと微笑まれれば、自然と俺の背筋が引き締まった。
今、これから、ここから、俺とデイヴの新しい生活がスタートする。
そう思うと俺の胸はいっぱいになった。
俺は手の平を上に向ける。その上に隣に立つデイヴの手が重なり、俺とデイヴの肩が密着しそうな程近くなる。
目の前の扉が厳かに開き、中の様子を一望させた。
会場は扇型に広く、どの席でも舞台が見える様に、奥に向かって低くなっている。天井は無く、青空の広がる中、国中の貴族、それに交流のある諸外国の要人が俺達を待っていた。
全ての目が俺とデイヴに注目している。
奥では今回の式を執り行う司祭と、左右に両者の両親が俺達の到着を待っていた。
白い空間にひかれた真っ赤な長い絨毯の上を、ゆっくり、ゆっくりと一歩一歩を踏み締めて歩いて行く。
シンと静まり返る中、俺とデイヴが司祭の前に到着する。
そして司祭による挙式が粛々と執り行われていく。長い口上を経て、一番大事な場面に入る。
「汝、デイヴィッド・ゼルクはアレクサンダー・オルティスの伴侶として、これより先、病める時も、健やかなる時も、互いに助け合い、支え合い、死が二人を別つまで生涯を共にする事を誓いますか?」
「死が私達を引き裂こうとも、永劫に愛すると誓います」
デイヴがアレンジ加えて来た。
本来ここは「誓います」の一言で済む。
それをデイヴはっ。こんなん言われたら俺だって止めらんなくなるっつーの。
「汝、アレクサンダー・オルティスは、デイヴィッド・ゼルクの伴侶として、これより先、病める時も、健やかなる時も、互いに助け合い、支え合い、死が二人を別つまで生涯を共にする事を誓いますか?」
「共に生き、共に老い、最後のその時まで愛し護り続けると誓います」
俺の返しに掌の熱が増した。
少し低い位置にあるデイヴの目をチラリと視線だけで見れば、熱に潤んだ瞳が睫毛越しに見えた。口元は緩く弧を描き、「君という人は」と俺同様に感動してくれた事がわかる。
司祭はそんな二人のアドリブにも柔軟に対応してくれた。寧ろ微笑ましく見守ってくれている。とっても良い人だ。
「では色の交換を」
司祭の合図に俺は右手に嵌めてある俺色の指輪を取る。そしてデイヴの左手を取り、その薬指に指輪を嵌めた。
デイヴも同じくデイヴ色の指輪を俺の左薬指に嵌めてくれる。
この国の結婚式は互いの色を交換する事で成立する。それは何処の何を何処に交換しても良い。
だから俺は前世の指輪交換を準える事にした。指輪なら肌身離さず持てるし。守護のアミュレットを使ってるから魔道具としても役に立つ。
「ここに新たな家族の誕生を祝福します」
司祭の宣言の元、俺達は沢山の人達に祝福されて、家族となった。
俺の一世一代の大告白から約2年が経過した。
学園も今年に無事卒業し、今日この日に目出度く結婚式を挙げる。降嫁とはいえ王族との結婚式だから割と面倒臭く、長たらしいものになるが、それを終えればやっと、やっっっっっと、念願の初夜を迎える事が出来る。
長かった。本っっっっっ当に長かった。
折角恋人が出来たというのに、王侯貴族の仕来りだかマナーだかの所為で俺は未だに童貞のままだった。くそぉうっ。
何が結婚前に体を繋げるのははしたないだっ。今時はやんないっつの!好きな奴目の前にして、何で第三者にお預け喰らわなきゃならないんだっ!
デイヴ大切にしたいから我慢したけどっ。
「ああ、早く初夜にならないかな」
何せ約2年も我慢したんだ。今日は遠慮はいるまい。
この日の為に日々、デイヴの体は慣らしてきた。へんっ、本番しなきゃ良いんだろっという開き直りでもあるが。実際、女体と違って自ら濡れてくれる孔は無いからな。初夜ではなるべく痛い思いをして欲しく無いという思いが大半だ。
「兄様」
全ての準備が済んで待っていると、この2年で急成長を遂げたフレディが呼びに来た。大きくなっても我が弟は相変わらずの天使である。
「ああ、行こう」
会場まではフレディに連れ添われて行く。
入場口でデイヴと待ち合わせ、そこからは二人で進む手筈になっている。
因みにデイヴは義兄さん(王太子殿下にそう呼ぶよう言われた)に連れ添われて来る。
広い廊下を歩いて行くと、ホールに出る。デイヴはまだ到着していないから先に扉の前で待つ。
フレディは扉の横で待機し、俺達が中に入り次第席に着く事になっている。
少し待つかと思ったが、俺が着いて直ぐにデイヴも反対の廊下からやって来た。
「綺麗だ」
結婚式様に着飾ったデイヴに、俺は見惚れて思わず呟いていた。
俺とはお揃いの白いタキシード。そこに互いの色をあしらった装飾を付けている以外、俺と同じ格好の筈なのに、どこか違って見えた。
「有難う。アレクも、とても惚れ惚れするよ」
ニコリと微笑まれれば、自然と俺の背筋が引き締まった。
今、これから、ここから、俺とデイヴの新しい生活がスタートする。
そう思うと俺の胸はいっぱいになった。
俺は手の平を上に向ける。その上に隣に立つデイヴの手が重なり、俺とデイヴの肩が密着しそうな程近くなる。
目の前の扉が厳かに開き、中の様子を一望させた。
会場は扇型に広く、どの席でも舞台が見える様に、奥に向かって低くなっている。天井は無く、青空の広がる中、国中の貴族、それに交流のある諸外国の要人が俺達を待っていた。
全ての目が俺とデイヴに注目している。
奥では今回の式を執り行う司祭と、左右に両者の両親が俺達の到着を待っていた。
白い空間にひかれた真っ赤な長い絨毯の上を、ゆっくり、ゆっくりと一歩一歩を踏み締めて歩いて行く。
シンと静まり返る中、俺とデイヴが司祭の前に到着する。
そして司祭による挙式が粛々と執り行われていく。長い口上を経て、一番大事な場面に入る。
「汝、デイヴィッド・ゼルクはアレクサンダー・オルティスの伴侶として、これより先、病める時も、健やかなる時も、互いに助け合い、支え合い、死が二人を別つまで生涯を共にする事を誓いますか?」
「死が私達を引き裂こうとも、永劫に愛すると誓います」
デイヴがアレンジ加えて来た。
本来ここは「誓います」の一言で済む。
それをデイヴはっ。こんなん言われたら俺だって止めらんなくなるっつーの。
「汝、アレクサンダー・オルティスは、デイヴィッド・ゼルクの伴侶として、これより先、病める時も、健やかなる時も、互いに助け合い、支え合い、死が二人を別つまで生涯を共にする事を誓いますか?」
「共に生き、共に老い、最後のその時まで愛し護り続けると誓います」
俺の返しに掌の熱が増した。
少し低い位置にあるデイヴの目をチラリと視線だけで見れば、熱に潤んだ瞳が睫毛越しに見えた。口元は緩く弧を描き、「君という人は」と俺同様に感動してくれた事がわかる。
司祭はそんな二人のアドリブにも柔軟に対応してくれた。寧ろ微笑ましく見守ってくれている。とっても良い人だ。
「では色の交換を」
司祭の合図に俺は右手に嵌めてある俺色の指輪を取る。そしてデイヴの左手を取り、その薬指に指輪を嵌めた。
デイヴも同じくデイヴ色の指輪を俺の左薬指に嵌めてくれる。
この国の結婚式は互いの色を交換する事で成立する。それは何処の何を何処に交換しても良い。
だから俺は前世の指輪交換を準える事にした。指輪なら肌身離さず持てるし。守護のアミュレットを使ってるから魔道具としても役に立つ。
「ここに新たな家族の誕生を祝福します」
司祭の宣言の元、俺達は沢山の人達に祝福されて、家族となった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
60
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる