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プロローグ
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「ひぇえええええええ!? 星が喋ってる!?」
「なんだい? 驚き過ぎじゃないかな? 星だって喋る事ぐらいあるでしょ?」
古臭い書庫の奥の整理をしていたら、とても珍しい装飾が施された宝箱を見つけた。大叔母様の遺産の一部である。
膨れ上がった借金を何とか抑えるため、こうして埃まみれになりながら懸命に作業をしている最中だったのだが、少しの好奇心を働かせてしまったのがきっかけだ。
「ふふふ普通じゃないよ!? そんな金属の塊が喋ったりするもんか!」
床に尻餅を着きながら指を刺し、空中に浮かんでる星に向かって声を上げた。
大叔母様は収集家としてもずば抜けた審美眼を持っているため、普段ならお目にかかれないような希少なアイテムを蓄えていたのだが、流石にこれは予想外過ぎたのだ。
「うーん、といっても喋れるから仕方がないじゃないか。っていうかここはどこなの? あれ? そういえば私は誰? なんだかおぼろげで何も思い出せないなぁ」
何だそれ、スーパー胡散臭いにも程がある。
「ええい! さては悪魔のアイテムだな! ここで成敗してくれる!」
近くにある魔法の杖を手に取り、全力で星に向かって振りかぶった。
ペコチーン!☆
見事にクリーンヒット、ホームラン級の当たりである。
「痛ったーーい! なんて事するんだ君は!? 普通常識的に考えていきなり殴りかかってくる奴がいるもんか! もっと冷静に立ち回りたまえよ、まずは話し合いと相場が決まってるんじゃないのかい? さあ杖を置いて、真正面の椅子に座って、目を見るんだ。いいかい? それなら私が悪魔じゃないことくらい分かるって物さ」
謎の星型金属に常識や理性を問われるとは、世も末である。
「うるさい! 大体あんた目どこにあんのよ!? 私の事が見えてるのがおかしいのよ! ていうか口は? 耳は? 人間に必要な器官が全然ないじゃないのよ! これのどこが悪魔じゃ無いっていうの? 何か弁明はある?」
うっわー、確かにそう言われると言い返せない。記憶が無いってのは本当なんだけどなぁ。信じてくれそうにないな、はてさてどうしたことやら。
「叩いても壊れないのなら、ここは魔法で……!!」
少女の手に炎の球が精製され始めていた。魔法である。
「うわちょ待って待って! ここで魔法はやばいって! 本に燃え移るじゃないか!」
「は! 記憶喪失とか言っちゃってさ、きっちりこれが魔法だって分かるんじゃないの。この悪魔め~! 騙そうとしたな!?」
くそ! だめだこいつただのバーサーカーじゃないか! ええと何か止める手段止める手段止める手段……。 ああ! これは!
「おい待て! 私が入ってた宝箱に手紙が置いてあるぞ! エーフィーへって書いてある、これ貴方の事じゃないの!?」
星の鋭角の先っちょで紙を摘み、目の前の少女に投げた。
「なにを……ああ! これって大叔母様の字じゃない! 私宛てって……」
良かった、何とか思い留まってくれたみたいだ。こんな所で黒焦げになるなんてまっぴらごめんなのだ。
「ちょっと、動くんじゃないわよ」
「はいはーい、どこにも行きませんよーだ」
憎まれ口を叩く星にもう一発打ち込みたいのを我慢し、丁寧に、ゆっくりと封を開封する。どうやら紙が劣化しないように防腐の魔法をかけてあるみたいだ。つまり、よっぽど大事な事が書いてあるらしい。
親愛なる、愛しのエーフィーへ。
お元気ですか? この手紙を開いてるという事は、恐らく私はこの世にいないでしょう。もっと貴方の成長した姿が見たかったのだけれど、それはもう叶わない。でもきっと、将来は素敵な女性になっているに違いないわ。
ここで本題、いつも貴方に宿題を出していたのを覚えてるかしら? 魔術学院に行き始めてからめっきりその機会は無くなりましたよね。少し寂しかったですが、貴方の成長の為、仕方のない事です。
でも、これは私からの最後の願い、宿題よ。
そのお星様を、解放してあげて。
マーフィーより
涙がポロポロとこぼれ落ちる。
大好きだった大叔母様、いつも綺麗で、どんな時も私の味方をしてくれた大叔母様。
最後に託された願い。私は流れ星になれるのかな?
「ほら、近くにタオルがあったから、これでも使いな」
星形の金属が先っちょの鋭角でタオルを引きずりながら持ってきていた。これが、大叔母様の宿題。
「ぐす、ぐすん、貴方、案外いいやつね」
「案外って何だい案外って! 失礼だなんもう」
鋭角が手となっているのだろう、人みたいに腰に手を当てているポーズを決め、ふんすと鼻を鳴らしている様に見える。
「金属の癖に柔らかいんだね!」
「あ! また余計なことを言ったなぁ~ ふんす! まあいいや。所でエーフィー? だよね。君はここで何をしているんだい?」
「ああ、あのね、借金返済の為、大叔母様の遺産をお金に変えなきゃいけないんだ。本当は嫌なんだけど、仕方ないよ。お金が無いんだもん」
お金、お金は知っている。無いと生きられない必需品だ。
「えーっと、それって結構やばい?」
「うん、やばい」
「どのくらい?」
「えっと、それは換金してみないと分からないんだけど、多分圧倒的に足りない」
基準は分からないが、ここにある金銀財宝を売り払っても足りないとなると、相当な額なのだろう。
「うーん、どうしてそうなったの?」
「それはね––––」
一人の少女と、一個のお星様が出会いを果たす。
それは、夜空に煌く流れ星の様に、人々の願いを叶えていく旅の始まりであった––––––––。
「なんだい? 驚き過ぎじゃないかな? 星だって喋る事ぐらいあるでしょ?」
古臭い書庫の奥の整理をしていたら、とても珍しい装飾が施された宝箱を見つけた。大叔母様の遺産の一部である。
膨れ上がった借金を何とか抑えるため、こうして埃まみれになりながら懸命に作業をしている最中だったのだが、少しの好奇心を働かせてしまったのがきっかけだ。
「ふふふ普通じゃないよ!? そんな金属の塊が喋ったりするもんか!」
床に尻餅を着きながら指を刺し、空中に浮かんでる星に向かって声を上げた。
大叔母様は収集家としてもずば抜けた審美眼を持っているため、普段ならお目にかかれないような希少なアイテムを蓄えていたのだが、流石にこれは予想外過ぎたのだ。
「うーん、といっても喋れるから仕方がないじゃないか。っていうかここはどこなの? あれ? そういえば私は誰? なんだかおぼろげで何も思い出せないなぁ」
何だそれ、スーパー胡散臭いにも程がある。
「ええい! さては悪魔のアイテムだな! ここで成敗してくれる!」
近くにある魔法の杖を手に取り、全力で星に向かって振りかぶった。
ペコチーン!☆
見事にクリーンヒット、ホームラン級の当たりである。
「痛ったーーい! なんて事するんだ君は!? 普通常識的に考えていきなり殴りかかってくる奴がいるもんか! もっと冷静に立ち回りたまえよ、まずは話し合いと相場が決まってるんじゃないのかい? さあ杖を置いて、真正面の椅子に座って、目を見るんだ。いいかい? それなら私が悪魔じゃないことくらい分かるって物さ」
謎の星型金属に常識や理性を問われるとは、世も末である。
「うるさい! 大体あんた目どこにあんのよ!? 私の事が見えてるのがおかしいのよ! ていうか口は? 耳は? 人間に必要な器官が全然ないじゃないのよ! これのどこが悪魔じゃ無いっていうの? 何か弁明はある?」
うっわー、確かにそう言われると言い返せない。記憶が無いってのは本当なんだけどなぁ。信じてくれそうにないな、はてさてどうしたことやら。
「叩いても壊れないのなら、ここは魔法で……!!」
少女の手に炎の球が精製され始めていた。魔法である。
「うわちょ待って待って! ここで魔法はやばいって! 本に燃え移るじゃないか!」
「は! 記憶喪失とか言っちゃってさ、きっちりこれが魔法だって分かるんじゃないの。この悪魔め~! 騙そうとしたな!?」
くそ! だめだこいつただのバーサーカーじゃないか! ええと何か止める手段止める手段止める手段……。 ああ! これは!
「おい待て! 私が入ってた宝箱に手紙が置いてあるぞ! エーフィーへって書いてある、これ貴方の事じゃないの!?」
星の鋭角の先っちょで紙を摘み、目の前の少女に投げた。
「なにを……ああ! これって大叔母様の字じゃない! 私宛てって……」
良かった、何とか思い留まってくれたみたいだ。こんな所で黒焦げになるなんてまっぴらごめんなのだ。
「ちょっと、動くんじゃないわよ」
「はいはーい、どこにも行きませんよーだ」
憎まれ口を叩く星にもう一発打ち込みたいのを我慢し、丁寧に、ゆっくりと封を開封する。どうやら紙が劣化しないように防腐の魔法をかけてあるみたいだ。つまり、よっぽど大事な事が書いてあるらしい。
親愛なる、愛しのエーフィーへ。
お元気ですか? この手紙を開いてるという事は、恐らく私はこの世にいないでしょう。もっと貴方の成長した姿が見たかったのだけれど、それはもう叶わない。でもきっと、将来は素敵な女性になっているに違いないわ。
ここで本題、いつも貴方に宿題を出していたのを覚えてるかしら? 魔術学院に行き始めてからめっきりその機会は無くなりましたよね。少し寂しかったですが、貴方の成長の為、仕方のない事です。
でも、これは私からの最後の願い、宿題よ。
そのお星様を、解放してあげて。
マーフィーより
涙がポロポロとこぼれ落ちる。
大好きだった大叔母様、いつも綺麗で、どんな時も私の味方をしてくれた大叔母様。
最後に託された願い。私は流れ星になれるのかな?
「ほら、近くにタオルがあったから、これでも使いな」
星形の金属が先っちょの鋭角でタオルを引きずりながら持ってきていた。これが、大叔母様の宿題。
「ぐす、ぐすん、貴方、案外いいやつね」
「案外って何だい案外って! 失礼だなんもう」
鋭角が手となっているのだろう、人みたいに腰に手を当てているポーズを決め、ふんすと鼻を鳴らしている様に見える。
「金属の癖に柔らかいんだね!」
「あ! また余計なことを言ったなぁ~ ふんす! まあいいや。所でエーフィー? だよね。君はここで何をしているんだい?」
「ああ、あのね、借金返済の為、大叔母様の遺産をお金に変えなきゃいけないんだ。本当は嫌なんだけど、仕方ないよ。お金が無いんだもん」
お金、お金は知っている。無いと生きられない必需品だ。
「えーっと、それって結構やばい?」
「うん、やばい」
「どのくらい?」
「えっと、それは換金してみないと分からないんだけど、多分圧倒的に足りない」
基準は分からないが、ここにある金銀財宝を売り払っても足りないとなると、相当な額なのだろう。
「うーん、どうしてそうなったの?」
「それはね––––」
一人の少女と、一個のお星様が出会いを果たす。
それは、夜空に煌く流れ星の様に、人々の願いを叶えていく旅の始まりであった––––––––。
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