異世界来たけど神のやろうが頼りない

ひろまさ

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第一話 勇者になる

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 ある日、宅急便が届いた。
 ・・勇者の剣(つるぎ)・・

 俺の名前はタク。ろくに仕事が長続きしない、実家暮らしのフリーターだ。
 そんなある日、宅急便が届き、箱を開けると妙にリアルな剣が入っていた。ゲームやアニメが好きなタクは剣の完成度の高さに興奮して、剣を手に取った。
 すると、どこからか声が聞こえてきた。
 「お帰り、勇者よ。早速冒険に出るかな?」
 その声と同時に、俺の目の前の
 ・・出るor出ない・・の文字が映し出された。
 「まさかこれは、異世界行ったら何とやらっていう、アニメでよくあるやつか?」
 なんて冗談を言いながらも、ノリで「出る」を押してみた。すると次の瞬間、急に意識が飛んだ。


 目が覚めると、知らない天井が見えた。
 「起きたのね、クラトス」
 クラトス?
 起き上がり、声のした方へ視線を向けると、そこには金髪で青い目をした美女が立っていた。
 「お、俺の名前はタクだ」
 「なに寝ぼけたこと言ってるの。あなたは勇者なのよ。そんな変な名前なわけないでしょ」
 変な名前って。てか、本当に異世界に来ちゃったのか?
 ところでこの美女は誰んだろう。会話の感じだと俺の身内か友達ってところか。聞いてみるしかないな。
 「俺とお前は友達だよな?」
 「何言ってるの。あんたまだ寝ぼけているの?ていうか、姉の私にお前っていわないで」
 姉なのか。でもなんて呼べばいいのか。姉さん?お姉ちゃん?それとも名前?名前知らないし。
 「ごめんごめん。姉さん」
 「なんで今日は姉さんなのよ。いつもはクレアって呼び捨てにするくせに」
 ないす。クレアっていうのか。
 「そろそろ神様からお告げの時間よ」
 神がお告げ?俺にか?
 「早く水晶に手を置いて」
 言われるがままに、テーブルにある水晶に手を置くと、聞き覚えのある声が聞こえてきたのと同時に、見るからにおっさんの神様が現れた。

 「勇者クラトスよ。おはよう。早速だが、西の洞窟に邪悪な気を宿した鍵はあるとの情報が入った。それを取りに行くのだ」
 邪悪な、鍵?
 展開が急すぎて理解ができない。
 「その鍵とはいったい何なんですか?」
 「お、そうか説明しとらんな。鍵はだな、この世に蔓延る魔物を封印するために後々使うことになる。しかしその鍵は7つ必要だ。そして、えー、あ、しかも、あ、そして、その7つがどこにあるかの情報が来るのは不定期だ。だからといって歩みを止めれば、魔王の手下に先を越されるかもしれない」
 「しかし神様、それを持ち帰った後はどうすればよいのでしょうか」
 「うむ、それはだな。えーっと、え?なに?ああ、そうだそうだ」
 「ちょ、神様、誰と話しているのですか」
 「気にするな。いいか、クラトスよ。鍵を持ち帰った後は、この村に流れている川の上流に、えー、流れている聖水に浸ければ邪悪な気は消える。そうだ」
 その情報、誰発信?本当にあってるのか?
 「急ぐのだ。魔王の手下はもうすぐそこまで来ている。頼んだぞ勇者よ。健闘を祈る!」
 心配だな。この神大丈夫なのか。
 「神様、なんて仰ってた?」
なるほど、神の声はクレアには聞こえないのか。
 「ああ、西の洞窟にある邪悪な気?をした鍵を取ってきて、この村の聖水で洗えってさ」
 「そう。じゃあこれから冒険に出るのね。魔物に気をつけるのよ」
 そうか、やっぱり魔物とか出るんだ。
 「ああ、気をつけるよ」

 勇者クラトスは悪霊の鍵を求めて冒険に出た。この旅がどれほど過酷な旅なのか、この時は知るよしもなかった。 
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