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淋しい婚姻の果てに
1 一人きりの夜 1
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バルビス公国の現状を一通り話終わり、食事が粗方終了した時点で、バルビス公主トライトスは妃シャイリーに触れることなく部屋を出て行った。
(初夜という事をすっかりお忘れのようですわね…)
出かける、その旨を聞いた時から部屋を共にする気がないのだというのは分かるのだが、一刻ほども共にいられないとは思ってもいなかったのだ…
「これはこれで、気が楽なのかもしれませんわね…」
誰に聞かせるでもなくため息と共にポツリと呟く。
(お兄様と義姉上は…?ちゃんとしたご夫婦だったのかしら?)
今はもう会えないだろう兄王と義姉に聞きたくてもそれも叶わず、シャイリーは1人寂しく寝室へと向かう。
まだ寝るには早い時間だが、シャイリーは疲れていたのだ。そして我慢してはいてもやはり室内が寒いのだった。湯浴みした身体が熱っている間はまだしも、熱が冷めれば手足が冷たくなって来るほどである。屋敷の中に入った時は外の冷気の方が鋭いほどに冷えていたから温かく感じもしたのだろう。が、そろそろ耐え難い。
「お休みになられますか?」
侍女達の怪訝そうな顔にもシャイリーは笑顔で答えた。
「ええ、そうなの、疲れてしまって。良いかしら?」
シャイリーは既にこの屋敷の女主であるのだから、わざわざ断りなど要らないのだが、ついつい確認を取ってしまう。
「構いませんわ妃殿下。私共は貴方様にお過ごし易くいてもらう為に居るのですから。さ、こちらへベッドは温めてございます。」
ローニーとは共に過ごす時間があったからか打ち解けていない他の侍女達より接するのが楽だった。それを知ってか、ローニーも積極的にシャイリーに尽くしてくれている。
「ありがとう。嬉しいわ。」
これで、やっと休めるのだ。温かな寝具に包まれて何もかも今だけは忘れて寝てしまおう……
(初夜という事をすっかりお忘れのようですわね…)
出かける、その旨を聞いた時から部屋を共にする気がないのだというのは分かるのだが、一刻ほども共にいられないとは思ってもいなかったのだ…
「これはこれで、気が楽なのかもしれませんわね…」
誰に聞かせるでもなくため息と共にポツリと呟く。
(お兄様と義姉上は…?ちゃんとしたご夫婦だったのかしら?)
今はもう会えないだろう兄王と義姉に聞きたくてもそれも叶わず、シャイリーは1人寂しく寝室へと向かう。
まだ寝るには早い時間だが、シャイリーは疲れていたのだ。そして我慢してはいてもやはり室内が寒いのだった。湯浴みした身体が熱っている間はまだしも、熱が冷めれば手足が冷たくなって来るほどである。屋敷の中に入った時は外の冷気の方が鋭いほどに冷えていたから温かく感じもしたのだろう。が、そろそろ耐え難い。
「お休みになられますか?」
侍女達の怪訝そうな顔にもシャイリーは笑顔で答えた。
「ええ、そうなの、疲れてしまって。良いかしら?」
シャイリーは既にこの屋敷の女主であるのだから、わざわざ断りなど要らないのだが、ついつい確認を取ってしまう。
「構いませんわ妃殿下。私共は貴方様にお過ごし易くいてもらう為に居るのですから。さ、こちらへベッドは温めてございます。」
ローニーとは共に過ごす時間があったからか打ち解けていない他の侍女達より接するのが楽だった。それを知ってか、ローニーも積極的にシャイリーに尽くしてくれている。
「ありがとう。嬉しいわ。」
これで、やっと休めるのだ。温かな寝具に包まれて何もかも今だけは忘れて寝てしまおう……
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