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3、そこはフワフワの花畑の様でした 1
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「さ、こちらにいらして…」
数日後、整えた身だしなみに新調した衣装でめかしこんでエリザ叔母に連れられてきたところは何と王城だ……
「叔母様……」
「あら嫌だわウリート…ここではエリザと呼んでくれなくては…私、これでも未亡人なのよ?」
そう、エリザ叔母は数年前大恋愛結婚をした夫君を亡くしてしまっている。残念な事に子供には恵まれなかった夫婦だったが、その分ウリート達兄弟を自分の子供の様にも可愛がってくれたものだった。
兄弟……そう言えばここに来るまでに、準備をしているのか兄弟を説得しているのか…一瞬どちらが目的だったのかと思わされるほど兄弟の干渉を受けてきたっけ……
「疲れたならすぐに帰ってきなさい!」
「いえ、座って話をするだけと聞きました。」
兄、アランドはウリートが立っていると直ぐに手を引いて椅子に座らせ側に控えているものに温かい飲み物を持ってくる様に言いつけてはエリザ叔母と行こうとしている婦人会について上記の会話を繰り返す。
弟のセージュときたら座ったウリートの足元に跪いて掛け物をかけながら、
「やっぱり俺もついていこう。」
と言い出すものだから、侍女のマリエッテはその都度淑女の集まりですよ、と嗜めるまで一向に自分の意見を取り下げなかったっけ………
「ウリート?」
「…はっ…!」
いけない…すっかり兄弟を説き伏せるのが大変で思わず記憶の中の疲労感を再現してしまってた……
「どうかなさったの?」
心配そうなエリザ叔母。
「すみません。少し、緊張しております。」
「まぁ…初めての所ですものね?初心な反応は返ってお可愛らしくてよ?大丈夫!今日のあなたはとても素敵ですから。安心なさって胸を張りましょうね?」
母に比べると生き生きとした快活なエリザ叔母だが、根元のところでは母と同じ様に温かく優しいのだ。
緊張が和らいでいく…
「ありがとうございます。エリザ。」
お礼を言いつつ、紳士としてエリザ叔母をエスコートする。
「そうよ。お上手だわ。」
ちょっとした事をしても褒めてくれる家族達。これはウリートが生死の境を何度も超えてやっと命を繋いできた様な危機から少し脱してきたから、家族一同それを喜んで何でも認めて何でも褒めてくれる。ウリートも誉められれば嬉しくなって更には家族達のために役に立とうとここに来る決心もついた。
ニコニコと見つめあって微笑みあって、周囲から見たらどんな二人に見えるのか…しばらくホンワリとした雰囲気が二人の周囲を暖かくしていた。
「まあ!エリザ!!お久しぶりだわ!」
そこに聞こえてきたのは華やかなソプラノの声だ。
「まあ、やはり来ていたのね!メリール!」
旧知の仲なのだろう。二人は名前で呼び合って近づいてハグをする。
「うふふ。エリザがこられると聞いて領地から急いで帰ってきましたのよ?」
「あら、まあ!それはそれは急がせてしまったかしら?ゆっくり出来て?」
「ええ、勿論!向こうは何も変わりなくて……あら?そちらは?」
花の様な婦人が二人そろえば何と賑やかになるのだろう…今まで家庭内でしか淑女たる女性と関わってこなかったウリートには挨拶するタイミングすら掴めないでいる。
「ふふふ…紹介しなくてはならないわね?こちらは、私の可愛い甥っ子になるの。名はウリート。アクロース侯爵家の次男になるわ。」
「まあ!あなたが…?アクロース侯爵家に関しては今はもう幻の様な噂が立っていてよ?こんなに素敵なご子息がおいでだったとは…ご長男のアランド様には何度かご挨拶だけしたことがありますけれど、少し面影が似てらっしゃるわ。」
「ええ、そうでしょう?私のお姉様の自慢の子ですもの。見目麗しくて鼻が高いですわ。」
「本当に羨ましいわ!さ、皆様にもご紹介しましょう?きっと気に入っていただけるわ!」
ウリートはペコリと頭を下げて挨拶しただけである。本来ならばしっかりと自分で名乗りを上げるべき所、婦人達の勢いにすっかりと飲まれてしまった様だ。
「まあ、アクロース家の?」
「幻と言われていますわよね?」
「あんなに素敵な方なのね?」
何故か周囲が騒がしいのはきっと女性達特有でおしゃべり好きだからだろう。
「ご紹介いたしますわ。」
エリザ叔母からメリールと呼ばれていた淑女はエリザと同じく未亡人という。エリザよりも歳は若いが同じ境遇から仲良くなったのだとか。メリール未亡人は非常に顔が広くこの貴婦人会に来ている参加者のテーブルを次々回ってウリートを紹介していく。各テーブルでは反応はそれぞれだが、なぜか皆ソワソワと話し出すところは同じであった。
今日の集まりは貴婦人会の茶会だ。要は集まってお茶を飲みながらおしゃべりしましょうと言うものらしい。皆年齢も様々、父や主人の職種まではわからないが年齢に関係なく好き好きに発言して会話が活発に花開いている、そんな印象を受ける。女性達の声の華やかさもさることながら、色とりどりのドレスに揺れるレースにリボン、帽子には複雑な飾りや花々が咲き乱れていてまるで座っている貴婦人達その者が花束の様にも見えてくる。
数日後、整えた身だしなみに新調した衣装でめかしこんでエリザ叔母に連れられてきたところは何と王城だ……
「叔母様……」
「あら嫌だわウリート…ここではエリザと呼んでくれなくては…私、これでも未亡人なのよ?」
そう、エリザ叔母は数年前大恋愛結婚をした夫君を亡くしてしまっている。残念な事に子供には恵まれなかった夫婦だったが、その分ウリート達兄弟を自分の子供の様にも可愛がってくれたものだった。
兄弟……そう言えばここに来るまでに、準備をしているのか兄弟を説得しているのか…一瞬どちらが目的だったのかと思わされるほど兄弟の干渉を受けてきたっけ……
「疲れたならすぐに帰ってきなさい!」
「いえ、座って話をするだけと聞きました。」
兄、アランドはウリートが立っていると直ぐに手を引いて椅子に座らせ側に控えているものに温かい飲み物を持ってくる様に言いつけてはエリザ叔母と行こうとしている婦人会について上記の会話を繰り返す。
弟のセージュときたら座ったウリートの足元に跪いて掛け物をかけながら、
「やっぱり俺もついていこう。」
と言い出すものだから、侍女のマリエッテはその都度淑女の集まりですよ、と嗜めるまで一向に自分の意見を取り下げなかったっけ………
「ウリート?」
「…はっ…!」
いけない…すっかり兄弟を説き伏せるのが大変で思わず記憶の中の疲労感を再現してしまってた……
「どうかなさったの?」
心配そうなエリザ叔母。
「すみません。少し、緊張しております。」
「まぁ…初めての所ですものね?初心な反応は返ってお可愛らしくてよ?大丈夫!今日のあなたはとても素敵ですから。安心なさって胸を張りましょうね?」
母に比べると生き生きとした快活なエリザ叔母だが、根元のところでは母と同じ様に温かく優しいのだ。
緊張が和らいでいく…
「ありがとうございます。エリザ。」
お礼を言いつつ、紳士としてエリザ叔母をエスコートする。
「そうよ。お上手だわ。」
ちょっとした事をしても褒めてくれる家族達。これはウリートが生死の境を何度も超えてやっと命を繋いできた様な危機から少し脱してきたから、家族一同それを喜んで何でも認めて何でも褒めてくれる。ウリートも誉められれば嬉しくなって更には家族達のために役に立とうとここに来る決心もついた。
ニコニコと見つめあって微笑みあって、周囲から見たらどんな二人に見えるのか…しばらくホンワリとした雰囲気が二人の周囲を暖かくしていた。
「まあ!エリザ!!お久しぶりだわ!」
そこに聞こえてきたのは華やかなソプラノの声だ。
「まあ、やはり来ていたのね!メリール!」
旧知の仲なのだろう。二人は名前で呼び合って近づいてハグをする。
「うふふ。エリザがこられると聞いて領地から急いで帰ってきましたのよ?」
「あら、まあ!それはそれは急がせてしまったかしら?ゆっくり出来て?」
「ええ、勿論!向こうは何も変わりなくて……あら?そちらは?」
花の様な婦人が二人そろえば何と賑やかになるのだろう…今まで家庭内でしか淑女たる女性と関わってこなかったウリートには挨拶するタイミングすら掴めないでいる。
「ふふふ…紹介しなくてはならないわね?こちらは、私の可愛い甥っ子になるの。名はウリート。アクロース侯爵家の次男になるわ。」
「まあ!あなたが…?アクロース侯爵家に関しては今はもう幻の様な噂が立っていてよ?こんなに素敵なご子息がおいでだったとは…ご長男のアランド様には何度かご挨拶だけしたことがありますけれど、少し面影が似てらっしゃるわ。」
「ええ、そうでしょう?私のお姉様の自慢の子ですもの。見目麗しくて鼻が高いですわ。」
「本当に羨ましいわ!さ、皆様にもご紹介しましょう?きっと気に入っていただけるわ!」
ウリートはペコリと頭を下げて挨拶しただけである。本来ならばしっかりと自分で名乗りを上げるべき所、婦人達の勢いにすっかりと飲まれてしまった様だ。
「まあ、アクロース家の?」
「幻と言われていますわよね?」
「あんなに素敵な方なのね?」
何故か周囲が騒がしいのはきっと女性達特有でおしゃべり好きだからだろう。
「ご紹介いたしますわ。」
エリザ叔母からメリールと呼ばれていた淑女はエリザと同じく未亡人という。エリザよりも歳は若いが同じ境遇から仲良くなったのだとか。メリール未亡人は非常に顔が広くこの貴婦人会に来ている参加者のテーブルを次々回ってウリートを紹介していく。各テーブルでは反応はそれぞれだが、なぜか皆ソワソワと話し出すところは同じであった。
今日の集まりは貴婦人会の茶会だ。要は集まってお茶を飲みながらおしゃべりしましょうと言うものらしい。皆年齢も様々、父や主人の職種まではわからないが年齢に関係なく好き好きに発言して会話が活発に花開いている、そんな印象を受ける。女性達の声の華やかさもさることながら、色とりどりのドレスに揺れるレースにリボン、帽子には複雑な飾りや花々が咲き乱れていてまるで座っている貴婦人達その者が花束の様にも見えてくる。
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