[完]番Ωの空白の30分 αの手から零れ落ちたΩの落ちる先は…

小葉石

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19 Ωトーク 約束の翌日

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 重い、目蓋が……なんだか、身体まで…重い…

「羽織…?大丈夫か?」

 やっとの事で目を開けたら、心配そうな光君の顔のドアップが…!?余りにも目を覚まさないから、やり過ぎたのかと不安に思った様で目が覚めるまで側にいてくれた。

「光君…おはよう…?」

「何を言ってる?もう昼だよ?起きられる?」

 額に頬に唇に、軽いキスを落としながら光生は嬉しそうに頬擦りまでして来て… 羽織は光生の匂いと、熱、確かな存在が直ぐ近くにあって物凄い満足感に満たされているのを知って内心驚いている…

「こ、光君!近いって、ねぇ。学校は?」

 そう、昨日は体育祭……途中意識を失った羽織はそのまま光生に連れられて帰る事になった。

「羽織…今日は代休…皆んな休み…」

 チュウッと音を立ててキスを深めて来たところで、またクラリと意識を持って行かれそうな気がして、必死に止めた…

 ここ、家だよね?皆んな休みって事はまりちゃんも、松花ちゃんも勿論家にいるよね?
で、僕はまだ裸なんだけど………!?

「ちょっ、ちょっと待って光君!皆んなは?まりちゃんや松花ちゃんは?居るんでしょ?なんて、なんて説明するの?」

 どうしよう…ハッキリ言って昨日の夜は気持ちよかったとしか覚えていない……見られたらとか、声を聞かれたらとかまっったく、ひとっつも!思わなかった…それ位光君に触れられるのが嬉しくて、気持ち良くて、そして………

「ん?もう二人には話したし、直ぐそこで今見てるぞ?」

「はぁぁぁぁ??な、なんで!?」

 羽織は一瞬で茹で蛸の様になった。

「なんでって。皆んなお前の事心配してたぞ?」
 
 そぅっとドアの方に目をやれば、少し扉を開いてまりと松花が部屋の中を覗き込んでいるのがわかった。

 は、恥ずかし過ぎて……居た堪れない………今すぐ布団を被ってしまいたかったし、穴があったら入りたい………

「こ、光!ここからはΩ同士のお喋りよ!約束したでしょ?羽織から離れて?」

 何もそんなに警戒する事もないと思うのだが、松花もまりも顔を真っ赤にして羽織に直接視線を合わせてこない…二人とも恥ずかしいんだ………
 
「あぁ、約束だからな。離れたく無いけど、母屋に行って皆んなの食事の分も頼んでくる。これで良いか?」

 話しながらも光生は羽織のこめかみやら、首筋やらにキスを落とす。

 それ位でもビクッと反応してしまいそうになる羽織は必死だ。

「こ、光君!約束!約束があるから…!もうこれ以上は…!」

「あぁ、分かったまた後で…」

 やっとの事で名残惜しそうに羽織から離れて母屋の方へ行った様だ。

 部屋の中の濃厚な光生の匂いが薄れた事で昨日の様な激しさに翻弄されずに済んだと羽織はホッと息をついたが、休む間も無くまりと松花に両側を固められてしまった。

「で?で!どうだったの?」
 
 ズイッと松花が食いつく様に聞いて来る。

「凄かったねぇ……昨日…ねぇ、痛かった?噛まれるってどんな感じ?」

 まりも松花も真っ赤になりながらグイグイ聞いてくる。

「待って、待って!待ってぇ!!二人共どこまで知ってるの!?」
 
 裸のままが恥ずかしくて布団を引っ張り上げては中で丸まる。 

「えっと、ねぇ…あの…帰って来てから、光君とはお君が部屋に籠もって……それから…それから…」
 
 真っ赤な顔でもじもじしながらも時系列で話始めるまり。

「うん、バッチリ聞こえてたし、何してるか分かっちゃったし…番いになったんでしょ?」

 究極の羞恥の極み……そんな所を見られて嫌、聞かれて平気で居られる人っているの?それに、番……光君に首を噛まれた…そこまで分かっちゃったのか…順番…決めてたのにな。

 一番最初は光生の事が大好きなまりに、次が松花、最後にいつも一緒にいる事が多い羽織にしよう、と皆んなの中では決まってたのに…

「あの……ごめんね…順番、守れなかった…」

 布団から顔だけ出して、羽織は半ベソ状態。

「いいの!この際何番でも…!昨日の様子を伺ってたら、あ、これ無理だわって思ったもの。はお君我慢するの辛かったでしょ?」

「本当、身動きできなかったよね…私ら。で?どんな感じなの?痛いの?」

 いつの間にか二人ともお互いの両手と両手をつなぎ合わせてしっかりと握り合って、真剣な顔つきで羽織を見つめている。

「う…ん……痛、くはなかったよ…熱くて、力が入らなくて、身体が痺れる様に動きにくくなって……後は、ただ気持ちが、良かった。男の僕じゃ変かもしれないけど、気持ちが良かった。」

 お互い、もう顔を合わせて話せない。溶けるかと思うくらい顔を赤くして羽織は二人から視線を外す。手を握り合って聞いていた二人は羽織から目が離せなくなっていた。
それから…?それから………ジッとその先を待つ。 

「噛まれた瞬間は覚えてないんだ。今首の後ろが痛いから噛まれたのは確かだと思うし、少し光君に対する反応が今までと違う様になったと思うし…」

 うんうんうん、まりと松花は肯きつつジッと聞き入る。

「多分、噛まれた瞬間はすごく満足した感じ?幸せ、とか、言うのかな?光君しか僕の中に居ない感じで。全部が全部光君の物でそれを心の底で感じてるのが例え用もなく。」
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