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16 懐かしい光
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リレランはずっと、眠るつもりだった。
懐かしい、優しい記憶だけを胸にしまって…生きる為に動き回り起きて食事をしなくても、自分の身体を保持する事くらい造作もない事。だから、ずっとここにいる…大好きなマリー…もう、君と同じ色を見ても君の命の欠片さえ見つけられない程に君がいた日から離れてしまったよ…マリーの声に、優しい歌に、懐かしいあの虹色の輝き……僕の中の宝物………僕の……
そんなリレランに突然、バチンッと衝撃が走った…!体の痛みじゃなくて、音でもなくて、一気に意図せず意識が持っていかれる、そんな感覚…
こんな事、初めてだ…!
今まで深く眠る為に外界からの刺激を遮断し、目も心も閉じていたのに一気に心の殻が強制的に破られたみたいになった。
誰?龍である、僕にこんな事をするのは…
怒り?興味?謎?自分の中にある力や魔力は相当な物だと既に自覚している。そんな僕に手を出そうとしてくる者がいるとも思えなかったのだが…?この蝶の谷の蝶達でさえ、もう何年も何年も僕の側にさえ近寄ってこなくなった。それはそれで煩わしくなくていいのだけど。ふと、目を上げた…自分の意識を持っていく物が何なのかを確かめる為に…
目を開けた瞬間、リレランは動けなくなった…!!
"嘘だ………!マリー……!?"
懐かしい…懐かしいマリーの気配…ただ同じ色なんじゃなくて、居なくなってしまったあの日の、あの時のマリーの気配と色…
"帰ってきた…?どうやって?マリー…!"
余りにも僕が落ち込んで塞ぎ込んでいるものだから、あの世から戻ってきてくれたのだろうか?そんな事はありはしないと、精霊にあの世はないと知ってはいてもそう考えてしまう程この色、気配はマリーの物……
卵の中の龍リレランはマリーの気配を追うことにしか集中しておらず、そこに他に誰がいるとかどんな状況とか知ろうともしなかった。地上最強の種族の龍なのだからそんな事は気にする必要もなかったのだろうが。マリーの気配を失わずに捕まえようと、ただその事のためだけにその光を追って全身を躍動させた。もう二度と失いたくなかった…!
あの輝き、マリーの匂い…!もう二度と自分の手から離れて消えて行くのを見たくない!!
卵は光る、今までに見た事もないくらいに輝いて…眩しさにレギル王子も、マラールも一瞬目を瞑ってしまう程、輝きは凄まじい物だった……
龍リレランはしっかりと目を見開いて、マリーを追う。正しくはマリーの気配…!もう、二度と離れない様に、もう二度と先にマリーが逝かないように!マリーをここに、自分の元に残す。これが今のリレランの悲願だ。目の前のマリーを!その為に光を放った…!
"!?………誰だ?"
リレランは自分でも驚くくらいの素っ頓狂な声が出た……目の前に居るのは?リレランの目に映るのはどう見ても見た事もない人間の姿…その一人は、今にも息絶え絶えという体でもう一人に支えられている。その、息も絶え絶えの方がマリー……だ………懐かしくて、懐かしくて…周りを見もしないで飛び出した結果がただの人間とは…実際に人間を目にするのはこれが初めてだが、世界中はリレランの手の中も同然のこの世で人間の生活を何度か観察をした事もあって大した驚きはない。が、なぜ?この死にそうな人間が、マリーの記憶と気配と色をその身に纏っているのか?
もし、龍という自分を騙し、マリーを利用してここまできたのならば、この場で一思いに消炭にしてくれようとも思ったが、この人間とマリーとの接点は無い。そんな事をしても龍に歯向かうこの人間のメリットがない。
"お前は…誰?"
死にそうになっている、嫌もう死にはしない人間に向かって話しかける。龍の言葉など人間には理解できないだろう。ここまで来たのならばここの精霊達の言葉が通じるはず…
"私は……カシュクール国、第一王子レギルと言う…"
自分の持てる以上の魔力を出した様子のレギル王子から目が離せない。自分の生命力を削ってでも魔力を流し続けたのだろう彼からは力無い言葉が返ってきた。最早一人では立てず、膝をついて卵から飛び出し空に浮いているリレランを見上げていた。
"人間の王子が?僕に何の用?"
そこは本当に疑問だ…彼の中にあるマリーの輝きを僕に返しにきたのか?僕達の事など知り様はずもないのに…
"国を…救って頂きたい……"
国?王子が言っていたカシュクールなる国の事?更に僕には関係ない事なのに?
"最早…手は無く…恥ずかしい限りだが、滅び去るのを待つばかり…頼めた義理もないのは承知しているが、祖国で起きている天変地異だけでも鎮めてもらえまいか?"
天変地異…?あれか?
自分の目で見なくても大抵のことは手に取るようにわかるリレランにカシュクールの今の様子も把握した。
"僕には関係ないことだよ。人間"
龍を叩き起こしておいて、祖国の復興とは人間とは身勝手なものなんだな。リレランは自分を見上げていたマリーと同じ輝きが一瞬揺れるのをジッと見つめていた。
"分かっている…リレラン…代償は……私の命で足るだろうか?"
命で払うといったのか?この人間は?マリーと全く同じ魂をその身に宿しながら、命を差し出すと……!?
懐かしい、優しい記憶だけを胸にしまって…生きる為に動き回り起きて食事をしなくても、自分の身体を保持する事くらい造作もない事。だから、ずっとここにいる…大好きなマリー…もう、君と同じ色を見ても君の命の欠片さえ見つけられない程に君がいた日から離れてしまったよ…マリーの声に、優しい歌に、懐かしいあの虹色の輝き……僕の中の宝物………僕の……
そんなリレランに突然、バチンッと衝撃が走った…!体の痛みじゃなくて、音でもなくて、一気に意図せず意識が持っていかれる、そんな感覚…
こんな事、初めてだ…!
今まで深く眠る為に外界からの刺激を遮断し、目も心も閉じていたのに一気に心の殻が強制的に破られたみたいになった。
誰?龍である、僕にこんな事をするのは…
怒り?興味?謎?自分の中にある力や魔力は相当な物だと既に自覚している。そんな僕に手を出そうとしてくる者がいるとも思えなかったのだが…?この蝶の谷の蝶達でさえ、もう何年も何年も僕の側にさえ近寄ってこなくなった。それはそれで煩わしくなくていいのだけど。ふと、目を上げた…自分の意識を持っていく物が何なのかを確かめる為に…
目を開けた瞬間、リレランは動けなくなった…!!
"嘘だ………!マリー……!?"
懐かしい…懐かしいマリーの気配…ただ同じ色なんじゃなくて、居なくなってしまったあの日の、あの時のマリーの気配と色…
"帰ってきた…?どうやって?マリー…!"
余りにも僕が落ち込んで塞ぎ込んでいるものだから、あの世から戻ってきてくれたのだろうか?そんな事はありはしないと、精霊にあの世はないと知ってはいてもそう考えてしまう程この色、気配はマリーの物……
卵の中の龍リレランはマリーの気配を追うことにしか集中しておらず、そこに他に誰がいるとかどんな状況とか知ろうともしなかった。地上最強の種族の龍なのだからそんな事は気にする必要もなかったのだろうが。マリーの気配を失わずに捕まえようと、ただその事のためだけにその光を追って全身を躍動させた。もう二度と失いたくなかった…!
あの輝き、マリーの匂い…!もう二度と自分の手から離れて消えて行くのを見たくない!!
卵は光る、今までに見た事もないくらいに輝いて…眩しさにレギル王子も、マラールも一瞬目を瞑ってしまう程、輝きは凄まじい物だった……
龍リレランはしっかりと目を見開いて、マリーを追う。正しくはマリーの気配…!もう、二度と離れない様に、もう二度と先にマリーが逝かないように!マリーをここに、自分の元に残す。これが今のリレランの悲願だ。目の前のマリーを!その為に光を放った…!
"!?………誰だ?"
リレランは自分でも驚くくらいの素っ頓狂な声が出た……目の前に居るのは?リレランの目に映るのはどう見ても見た事もない人間の姿…その一人は、今にも息絶え絶えという体でもう一人に支えられている。その、息も絶え絶えの方がマリー……だ………懐かしくて、懐かしくて…周りを見もしないで飛び出した結果がただの人間とは…実際に人間を目にするのはこれが初めてだが、世界中はリレランの手の中も同然のこの世で人間の生活を何度か観察をした事もあって大した驚きはない。が、なぜ?この死にそうな人間が、マリーの記憶と気配と色をその身に纏っているのか?
もし、龍という自分を騙し、マリーを利用してここまできたのならば、この場で一思いに消炭にしてくれようとも思ったが、この人間とマリーとの接点は無い。そんな事をしても龍に歯向かうこの人間のメリットがない。
"お前は…誰?"
死にそうになっている、嫌もう死にはしない人間に向かって話しかける。龍の言葉など人間には理解できないだろう。ここまで来たのならばここの精霊達の言葉が通じるはず…
"私は……カシュクール国、第一王子レギルと言う…"
自分の持てる以上の魔力を出した様子のレギル王子から目が離せない。自分の生命力を削ってでも魔力を流し続けたのだろう彼からは力無い言葉が返ってきた。最早一人では立てず、膝をついて卵から飛び出し空に浮いているリレランを見上げていた。
"人間の王子が?僕に何の用?"
そこは本当に疑問だ…彼の中にあるマリーの輝きを僕に返しにきたのか?僕達の事など知り様はずもないのに…
"国を…救って頂きたい……"
国?王子が言っていたカシュクールなる国の事?更に僕には関係ない事なのに?
"最早…手は無く…恥ずかしい限りだが、滅び去るのを待つばかり…頼めた義理もないのは承知しているが、祖国で起きている天変地異だけでも鎮めてもらえまいか?"
天変地異…?あれか?
自分の目で見なくても大抵のことは手に取るようにわかるリレランにカシュクールの今の様子も把握した。
"僕には関係ないことだよ。人間"
龍を叩き起こしておいて、祖国の復興とは人間とは身勝手なものなんだな。リレランは自分を見上げていたマリーと同じ輝きが一瞬揺れるのをジッと見つめていた。
"分かっている…リレラン…代償は……私の命で足るだろうか?"
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