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20 用心棒の仕事
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ハッと意識を取り戻す、大柄の男。まずは人攫いで間違えないだろうこの男は、我に帰ると一目散に目の前の少年?に飛びかかる。
捕まえられれば高く売れる。これだけ美しい者は非常に稀だ。こんな辺境な土地で変わり者が多い中俺達はラッキーだった!
もう既に彼の頭の中では目の前の者を捕まえて、売り払う値段交渉に入っている。これだけの美貌に色だ。まず、大台に乗るに違いない。そう考えるとにやけ顔が止まらない。
にやけながら、目をギラギラとさせて迫りくる大柄の男。これだけでもう十分に怪しくて気持ちが悪いものだ。全く自分の事が見えていない者は哀れなのか、はたまた幸せなのか…小首を傾げたくなるところだが、目の前の男はどうやらそんな時間はくれないらしい。
「嫌!逃げて!!」
捕まっている自分よりもこちらの心配をしてくれるとは、少女は更にお人好しらしい…
「おぅっ……!」
次の瞬間、息の詰まった様な低い唸り声を上げて倒れ込んだのは、飛びかかってきた男の方だった…
「……!?」
「ア、アニキ!?」
二人とも信じられないものを見たような顔で目をパチクリと瞬かせている。しかし、美しい少年の足元に沈んでいるのは見紛いようもなくアニキ………得物を持たない若者がどんな技を使ったのか、何をしたのか全く分からないうちに、アニキは沈められていた…
「まだやる?」
別に良いよ?
爽やかな笑顔と共に、小首を傾げてくる目の前の少年が一気に化け物じみて見えて来る………
「ば、ば、化け物~~~!!」
最大限の失言を残し、少女を捕まえていた男はアニキを置き去りにして、少女を放り出して逃げて行った。なんとも情けない終幕だった……
「失礼だな…」
対して怒ってもなさそうに少年はポツリと呟いた。
「あ、ありがとうございます!」
「うん。怪我は?」
「ありません!」
「君、アーランの町に行くんだろう?」
「はい。仕事を探しに…」
「じゃあさ、ついでに人攫い一味のアニキを捕まえて森の小道に転がしてあるから引き取りに来てって伝えてくれる?」
「え?ええ。分かりました。あの…」
「ん?」
「男の…方ですよね?」
「うん。そうだよ?あ、町に行ったら真っ直ぐ入ったところの正面にある食堂で声をかけてごらん?女将さんが腰を悪くしてて、代理の人を探してたから。」
「そうなんですか?ありがとうございます!行ってきます!」
少女は元気にかけて行く。そんな後ろ姿を見送りながら、人間ってつくづく分からん、と更に首をかしげたくなった。どうしていつも攫われるのはあんなに弱そうな子なんだろうか?自分の時は外見しか見ていなくて、内面でどれだけの力を持っているかなんて考えもしていなかった様で…弱い者がそう見える者が人気なの?
弱肉強食の世界では強い者こそ生き残れるし、そんな者にみんな群がるのでは?雌を求めるのにしたって体力があって健康そうな雌じゃないと丈夫な子供は産めないだろうに…?人間の世界は不思議が一杯だ………
長く生きてはいても世界中を知った気になっていても実際に目で見て耳で聴いたものはやはり違うとしばし納得するリレランだった…
------------------
「はい!物凄く綺麗な子で!物凄く強い子に助けられました!」
「あぁ!あの子かい?」
「この町の人ですよね?」
森で助けられた少女はセラと言った。町の警備も担当している人材登録紹介所の本部。屈強そうな、如何にもな男達が集う中少女セラは強面の面々に臆せず負けずに報告している。
「つい最近、フラッとこの町に立ち寄ってね…不届き者なんかをガッツリと絞めてくれるんだよな…」
なんだかみんな元気がないが…?ふぅ…と言うため息まで聞こえてきていて…
「名前は?」
「ん~リ……?リ…ラ?なんだったか?」
「あんまり町の中に入って来ないので、交流を持とうにも中々難しいんですよね~」
森の中の少年はある日フラッとこの町に現れた。あの外見だ。それはそれはここ一番の騒ぎになる程町中で騒ぎが起こったほど。そんな人々の視線も何のその。一通り町を自由に見て回っていた少年はまたフラッと消えて行った。アーランではその後数日、またその美貌の少年がならず者を捕まえて引き摺って来るまでその少年の噂話で持ちきりだったほどだ。
真珠の様な滑らかな艶と輝きを惜しみなくさらけ出す長い髪や、どこまでも透き通る水晶の様な琥珀の瞳…きめ細やかな白い肌……到底人間の物とも思えない程の美貌の持ち主と来れば一目なりとも見たいと思うのが人の常…自分よりも大柄な男を軽々と引き摺っているのにも目に入らないくらい、皆その少年の容姿に目も心も奪われていたものだ。
その少年がまたやらかしてくれた。この度この町でも騒がせていた人攫いの一味である者を捕まえた、と。
喜ばしい事ではある。そんな非道な奴らなんて捕まってこそ当然なんだから…けれどここの警備隊の顔色は暗い…今までは俺らが町の娘達にきゃぁきゃぁ言われていたのに……ぽっと出の見目麗しき少年に全部持っていってしまわれたから……
捕まえられれば高く売れる。これだけ美しい者は非常に稀だ。こんな辺境な土地で変わり者が多い中俺達はラッキーだった!
もう既に彼の頭の中では目の前の者を捕まえて、売り払う値段交渉に入っている。これだけの美貌に色だ。まず、大台に乗るに違いない。そう考えるとにやけ顔が止まらない。
にやけながら、目をギラギラとさせて迫りくる大柄の男。これだけでもう十分に怪しくて気持ちが悪いものだ。全く自分の事が見えていない者は哀れなのか、はたまた幸せなのか…小首を傾げたくなるところだが、目の前の男はどうやらそんな時間はくれないらしい。
「嫌!逃げて!!」
捕まっている自分よりもこちらの心配をしてくれるとは、少女は更にお人好しらしい…
「おぅっ……!」
次の瞬間、息の詰まった様な低い唸り声を上げて倒れ込んだのは、飛びかかってきた男の方だった…
「……!?」
「ア、アニキ!?」
二人とも信じられないものを見たような顔で目をパチクリと瞬かせている。しかし、美しい少年の足元に沈んでいるのは見紛いようもなくアニキ………得物を持たない若者がどんな技を使ったのか、何をしたのか全く分からないうちに、アニキは沈められていた…
「まだやる?」
別に良いよ?
爽やかな笑顔と共に、小首を傾げてくる目の前の少年が一気に化け物じみて見えて来る………
「ば、ば、化け物~~~!!」
最大限の失言を残し、少女を捕まえていた男はアニキを置き去りにして、少女を放り出して逃げて行った。なんとも情けない終幕だった……
「失礼だな…」
対して怒ってもなさそうに少年はポツリと呟いた。
「あ、ありがとうございます!」
「うん。怪我は?」
「ありません!」
「君、アーランの町に行くんだろう?」
「はい。仕事を探しに…」
「じゃあさ、ついでに人攫い一味のアニキを捕まえて森の小道に転がしてあるから引き取りに来てって伝えてくれる?」
「え?ええ。分かりました。あの…」
「ん?」
「男の…方ですよね?」
「うん。そうだよ?あ、町に行ったら真っ直ぐ入ったところの正面にある食堂で声をかけてごらん?女将さんが腰を悪くしてて、代理の人を探してたから。」
「そうなんですか?ありがとうございます!行ってきます!」
少女は元気にかけて行く。そんな後ろ姿を見送りながら、人間ってつくづく分からん、と更に首をかしげたくなった。どうしていつも攫われるのはあんなに弱そうな子なんだろうか?自分の時は外見しか見ていなくて、内面でどれだけの力を持っているかなんて考えもしていなかった様で…弱い者がそう見える者が人気なの?
弱肉強食の世界では強い者こそ生き残れるし、そんな者にみんな群がるのでは?雌を求めるのにしたって体力があって健康そうな雌じゃないと丈夫な子供は産めないだろうに…?人間の世界は不思議が一杯だ………
長く生きてはいても世界中を知った気になっていても実際に目で見て耳で聴いたものはやはり違うとしばし納得するリレランだった…
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「はい!物凄く綺麗な子で!物凄く強い子に助けられました!」
「あぁ!あの子かい?」
「この町の人ですよね?」
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「つい最近、フラッとこの町に立ち寄ってね…不届き者なんかをガッツリと絞めてくれるんだよな…」
なんだかみんな元気がないが…?ふぅ…と言うため息まで聞こえてきていて…
「名前は?」
「ん~リ……?リ…ラ?なんだったか?」
「あんまり町の中に入って来ないので、交流を持とうにも中々難しいんですよね~」
森の中の少年はある日フラッとこの町に現れた。あの外見だ。それはそれはここ一番の騒ぎになる程町中で騒ぎが起こったほど。そんな人々の視線も何のその。一通り町を自由に見て回っていた少年はまたフラッと消えて行った。アーランではその後数日、またその美貌の少年がならず者を捕まえて引き摺って来るまでその少年の噂話で持ちきりだったほどだ。
真珠の様な滑らかな艶と輝きを惜しみなくさらけ出す長い髪や、どこまでも透き通る水晶の様な琥珀の瞳…きめ細やかな白い肌……到底人間の物とも思えない程の美貌の持ち主と来れば一目なりとも見たいと思うのが人の常…自分よりも大柄な男を軽々と引き摺っているのにも目に入らないくらい、皆その少年の容姿に目も心も奪われていたものだ。
その少年がまたやらかしてくれた。この度この町でも騒がせていた人攫いの一味である者を捕まえた、と。
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