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21 用心棒の仕事 2
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「嫌、助かってますよ!」
商人の親父はホクホクと道を行く。アーランを拠点に南にある国々を相手にとって商売をしている商人だ。あのアーランの街から南に向かい人攫いの多発している森の道をガタゴトと、馬車に揺られて荷を運ぶ。
「人攫いどころか、奴らはなんでもやってた。追い剥ぎ並みに積荷だけじゃなくて身ぐるみ全て剥ぎ取られて森に捨てられた商人も居るくらいだったからね。」
「ふ~ん?」
同じく馬車に揺られるリレランは対して興味はない様子…アーランを辺境に持つ国ソラリスは貿易業も盛んで北の大地特有の農作物やら毛皮やら織物なんかは世界中へ輸出している位の大国。今回は南の国々を経由しながらそれらの商品を売り捌こうとしている商人の護衛の為に一緒に馬車に乗っている。馬に乗って並走する方法がポピュラーな護衛だが、何分馬には嫌われている様で…寄っていくだけで暴れられてしまうと言う始末…よって馬から見えない所の荷台に乗せてもらっていたりする。
「君が居てくれるだけで襲われる心配もないし、辛くて厳しい行商がこんなにワクワクする事なんてなかったね!」
商人との約束はこの森を出てから次の国まで。あまりカシュクール国の側にまで行く気は無い。
「そうそう!あのカシュクールがね、どうやら持ち直したらしいよ?」
「へ~~?干魃が凄かったとか?」
「そうだね…一時は国が、大国が一つ無くなると思っていたよ?昔はいい取引先だったんだ。活気もあってね…ここらでは珍しく精霊の神託がある国だったとかなんとか、言ってたかな?」
精霊との関わりがある国はもうほとんどない様だ…人間の国、ソラリスに来てからもその辺は良く感じていた…物は溢れていても、何というか精気の循環がない…?生き生きとした生命力が作物から人へと上手く伝わっていないそんな一方通行の変な感覚…その微妙な感覚がちょっと苦手でリレランは町中で過ごさない様になったのだが…良く人間は変にならないものだ。精霊とのコンタクトが取れない所はみんなこうなのだろうか…?それなら、カシュクールは?精霊の加護ある国…ならばもっと居心地良いものか?一瞬の居心地だけを求めてしまえばカシュクールほど適した場所はない様に思えるが、何にしろあの人間の王子の国…わざわざ自分から飛び込んで行くことはない。
「それが、先日!もう国が滅びるって所で大雨が降ったんだってさ!凄いね、流石は加護がある国は違うよ!」
カシュクールに余程いい思い出でもあるんだろう商人は、先日長らく干魃が続いた西と東の山に泉が一杯になる程の大雨が降ったと喜び話してくれる。
「祝福だか、呪いだか…あそこの王子も大変だなぁ…でもこれで国は滅びなくなったんだ。うん。良かったよ。」
「呪い?」
「おや、知らなかったかい?あの王子が生まれた時にね。精霊の祝福だか呪いだかを受けたそうで。あの長い干魃も王子の所為とか何とか言われて一時は酷い叩かれ様だったんだよ。」
ほう、その人間の王子が自分の命を投げ出す覚悟で僕の所にきたんだが?
「それで、今は?」
何でだかムカムカする……
「さぁねぇ?何か善行をしても叩かれる時は叩かれるもんさね…王族に産まれるのだって自分では選べないのにねぇ…幼い時からこの噂はあるもんだからほかの国のこととは言え少しは同情もしたくなるよね。」
「そうか………」
小さい頃から疎まれることもあったんだな…懐かしい、マリーの輝き…また見れて会えてどれ程僕が嬉しかったか…あれの価値なんてきっとあの人間にも他の人間にも分からなかったろう…だから自分の命なんてすんなり投げ出そうとしたんだ。馬鹿な、人間………
「きっと、その王子はお人好しが過ぎるんだよ、主人…」
そう言って、勢い良くゴロンと寝転がった。何かあったら起こしてくれと言付けて……
その日の夕方遅く、すっかり日も落ちてから南の町カタンナに着いた。先日人攫い一味のアニキを捕まえたからだろうか?何事も無くすんなりと森の道を通り抜けることができた様だ。多分龍の自分がここにいる為に野生の獣も寄って来ることはない…用心棒ってただそこにいるだけの仕事だとリレランは勘違いしそうになる程簡単だと思わざるを得ない…
「あぁ、ありがとうね。リラ君?これ、約束のお礼だよ…さて、明日から忙しくなりそうだ!今回はね、カシュクールにまで足を伸ばそうと思っているんだ…何かと物入りだろうと思うからね。じゃあ!気をつけて帰っておくれよ!」
商人の主人は馬車をずっと走らせていたにもかかわらず活力に溢れている。タフな親父だ。でもリレランは嫌いではなかった。余りにも雑多な人混みには疲れてしまうが、生命力に溢れて生き生きとしている者を見るのはいつでも気持ちの良いものだから。
「主人も気をつけて!カシュクールから帰ったらまた土産話でも聞かせて!」
そう言って別れるとリレランは踵を返して森の方へかけて行く…
「やれやれ…今から森に入るのかい…?あの子は本当に物好きさね…獣にでも襲われなければいいが…」
主人の心配なんて微塵も必要もないリレランは人のいない事を確認して、上空に舞い上がる。龍の姿ならば、馬車で半日の距離も一度の羽ばたきで着いてしまう…つくづく人間は面倒だと感じつつ森の奥へと静かに舞い降りて…ゆっくりと身体を丸めてうずくまる…まるで卵の中にいた頃の様に…
商人の親父はホクホクと道を行く。アーランを拠点に南にある国々を相手にとって商売をしている商人だ。あのアーランの街から南に向かい人攫いの多発している森の道をガタゴトと、馬車に揺られて荷を運ぶ。
「人攫いどころか、奴らはなんでもやってた。追い剥ぎ並みに積荷だけじゃなくて身ぐるみ全て剥ぎ取られて森に捨てられた商人も居るくらいだったからね。」
「ふ~ん?」
同じく馬車に揺られるリレランは対して興味はない様子…アーランを辺境に持つ国ソラリスは貿易業も盛んで北の大地特有の農作物やら毛皮やら織物なんかは世界中へ輸出している位の大国。今回は南の国々を経由しながらそれらの商品を売り捌こうとしている商人の護衛の為に一緒に馬車に乗っている。馬に乗って並走する方法がポピュラーな護衛だが、何分馬には嫌われている様で…寄っていくだけで暴れられてしまうと言う始末…よって馬から見えない所の荷台に乗せてもらっていたりする。
「君が居てくれるだけで襲われる心配もないし、辛くて厳しい行商がこんなにワクワクする事なんてなかったね!」
商人との約束はこの森を出てから次の国まで。あまりカシュクール国の側にまで行く気は無い。
「そうそう!あのカシュクールがね、どうやら持ち直したらしいよ?」
「へ~~?干魃が凄かったとか?」
「そうだね…一時は国が、大国が一つ無くなると思っていたよ?昔はいい取引先だったんだ。活気もあってね…ここらでは珍しく精霊の神託がある国だったとかなんとか、言ってたかな?」
精霊との関わりがある国はもうほとんどない様だ…人間の国、ソラリスに来てからもその辺は良く感じていた…物は溢れていても、何というか精気の循環がない…?生き生きとした生命力が作物から人へと上手く伝わっていないそんな一方通行の変な感覚…その微妙な感覚がちょっと苦手でリレランは町中で過ごさない様になったのだが…良く人間は変にならないものだ。精霊とのコンタクトが取れない所はみんなこうなのだろうか…?それなら、カシュクールは?精霊の加護ある国…ならばもっと居心地良いものか?一瞬の居心地だけを求めてしまえばカシュクールほど適した場所はない様に思えるが、何にしろあの人間の王子の国…わざわざ自分から飛び込んで行くことはない。
「それが、先日!もう国が滅びるって所で大雨が降ったんだってさ!凄いね、流石は加護がある国は違うよ!」
カシュクールに余程いい思い出でもあるんだろう商人は、先日長らく干魃が続いた西と東の山に泉が一杯になる程の大雨が降ったと喜び話してくれる。
「祝福だか、呪いだか…あそこの王子も大変だなぁ…でもこれで国は滅びなくなったんだ。うん。良かったよ。」
「呪い?」
「おや、知らなかったかい?あの王子が生まれた時にね。精霊の祝福だか呪いだかを受けたそうで。あの長い干魃も王子の所為とか何とか言われて一時は酷い叩かれ様だったんだよ。」
ほう、その人間の王子が自分の命を投げ出す覚悟で僕の所にきたんだが?
「それで、今は?」
何でだかムカムカする……
「さぁねぇ?何か善行をしても叩かれる時は叩かれるもんさね…王族に産まれるのだって自分では選べないのにねぇ…幼い時からこの噂はあるもんだからほかの国のこととは言え少しは同情もしたくなるよね。」
「そうか………」
小さい頃から疎まれることもあったんだな…懐かしい、マリーの輝き…また見れて会えてどれ程僕が嬉しかったか…あれの価値なんてきっとあの人間にも他の人間にも分からなかったろう…だから自分の命なんてすんなり投げ出そうとしたんだ。馬鹿な、人間………
「きっと、その王子はお人好しが過ぎるんだよ、主人…」
そう言って、勢い良くゴロンと寝転がった。何かあったら起こしてくれと言付けて……
その日の夕方遅く、すっかり日も落ちてから南の町カタンナに着いた。先日人攫い一味のアニキを捕まえたからだろうか?何事も無くすんなりと森の道を通り抜けることができた様だ。多分龍の自分がここにいる為に野生の獣も寄って来ることはない…用心棒ってただそこにいるだけの仕事だとリレランは勘違いしそうになる程簡単だと思わざるを得ない…
「あぁ、ありがとうね。リラ君?これ、約束のお礼だよ…さて、明日から忙しくなりそうだ!今回はね、カシュクールにまで足を伸ばそうと思っているんだ…何かと物入りだろうと思うからね。じゃあ!気をつけて帰っておくれよ!」
商人の主人は馬車をずっと走らせていたにもかかわらず活力に溢れている。タフな親父だ。でもリレランは嫌いではなかった。余りにも雑多な人混みには疲れてしまうが、生命力に溢れて生き生きとしている者を見るのはいつでも気持ちの良いものだから。
「主人も気をつけて!カシュクールから帰ったらまた土産話でも聞かせて!」
そう言って別れるとリレランは踵を返して森の方へかけて行く…
「やれやれ…今から森に入るのかい…?あの子は本当に物好きさね…獣にでも襲われなければいいが…」
主人の心配なんて微塵も必要もないリレランは人のいない事を確認して、上空に舞い上がる。龍の姿ならば、馬車で半日の距離も一度の羽ばたきで着いてしまう…つくづく人間は面倒だと感じつつ森の奥へと静かに舞い降りて…ゆっくりと身体を丸めてうずくまる…まるで卵の中にいた頃の様に…
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