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57 大切な君
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大切で特別な人……レギル王子が言った、これならばよく分かる。リレランの最初の大切な存在はマリーアンヌだった。誰かと一緒にいて、楽しい事を嬉しい事をそれがとても大切に感じる事を、いなくなった時にはもうこの世の全てが嫌になる程悲しい事もマリーは教えてくれた。
そして、マリーからは得られなかった喜びをレギル王子は与えてくれる。共に居られる事の、離されもせず共に生きられる事の喜びはこれまたなんと大きなことか……暖かい腕の中に収まって、まるで卵の中にいる様に眠っても一人きりにならないなんて……安心して眠る事のできた卵の中でさえ一人でしか居られなかったのに。
レギル王子はリレランが一人では知り様も無かった沢山の喜びをくれる。ただ一人のリレランだけの人間だから……今はこの腕の中にいる事だけで良しとしよう…………
「………レギル、おはよう………」
いつもなら、夜半に寝台から出て行ってしまっていたレギル王子は、あの日以来いつも朝まで共に居てくれる。だからリレランは無理にレギル王子を交尾に誘うことはなくなった。レギル王子にとってリレランは大切な特別な存在と言われたから、なんだか心が一杯になってしまって。ずっと一緒に居てくれるはずのこの腕の中に収まることで満足してしまった。
「…おはよう、ラン………」
上から覗き込んで来たリレランの頬を両手で包み込んで、レギル王子は近付くリレランのキスを受ける。一度してしまった後はリレランの蟠りもなくなった様でレギル王子は毎朝リレランのキスで目覚めている。
朝だけではなくて、事あるごとにリレランはスキンシップを求めて来るようになった。人の前でやるものではないと話してあるからか、侍女達の前ではして来ないが…これは嬉しい反面、未だにレギル王子の悩みの種……
「レギル、今日は遠出をするんだろう?」
そう今日からオレイン公の依頼を受けて、カシュクール国国境周辺の視察にレギル王子は出向く予定だ。各地から復興の状況は上がってきてはいるが、為政者の目で実際に見る事もまた大切な職務の一つ。レギル王子は次期国王の座を退く身分ではあるが、後を継ぐオレイン公の為に王城から離れなければ出来ぬ職務全般を今受け持っている。次期国王は現王の弟にあたるオレイン公だ。レギル王子はその補佐役となっている。
「では、レギル頼んだよ?」
幼き頃には余り共に過ごした記憶がないオレイン公だが、会えば可愛がってもらっていた記憶もある。国王にも目鼻立ちがよく似ているレギル王子だからだろうか、オレイン公もレギル王子の事を可愛く思っていたのだろう。
兄、国王の事になると周りが見えなくなると言う少々困った癖がある叔父ではあるが、為政の事には十二分の手腕を発揮し、周囲の重鎮を納得させてしまうほどの実力者だ。
「心得ました。叔父上もお忙しい身でありますので無理はなさいませんよう…」
「ふふ、レギルは優しいね。流石は兄上の子だ。出来る事なら私の手元で育ててみたかった。」
それであれば、呪われた王子などと不名誉な名前を浴びせられずに、離れた領地で伸び伸びと育つ事も出来ただろうに…オレイン公とて愛しの兄の子供が臣下共からその様な言われ方をするのは不愉快どころでは無かったのだ。
「叔父上のお心には感謝いたしますが、私が城に居たからこそシェルツェインに精霊について叩き込まれる事ができたのです。これが無ければ、この国を立ち直せることが出来なかったでしょう。ですから、わたしの忌み名も無駄では無かったと今では思っております。」
「そうか…うむ。いい答えだね、レギル。それに、ラン様も共に行かれるおつもりとか。ならば、其方の事は心配ないな…」
何と言っても、龍が一緒に居てくれるのだから。よろしくお願いします、とオレイン公はレギル王子と共に出発せんとするリレランに頭を下げた。
「大丈夫だよ。レギルはそんなにやわじゃ無いから。」
大抵のことじゃ死なないよ、と言いたくなる所をリレランはグッと我慢した。それに、いつもベッタリとひっついていなくても良いのだが、リレランが一緒に居たくてレギル王子と共に行く事を決めた。リレランにとってはレギル王子の側が卵の中の様に居心地がいいから。
「誠にラン様には感謝しています。レギルを選んでくださって…どうかいつまでも共に居てやってください。」
リレランが共にいる事で、カシュクール国の重鎮からは王よりも一目置かれる様な存在となったレギル王子。志半ばで王位継承からは抜けるが、その為にオレイン公はまた城に呼び戻された。オレイン公にとっては再度兄王の元で手腕をふるえる日が来るなんて夢にも思ってもいない事だったのだ。カシュクール国には精霊の加護に龍の手助けがある。兄王の時代は今後いつまでも物語の様に語り継がれる事だろう…愛しい者が何時迄も民に慕われる王となって語り継がれる様を想像するだけでオレイン公は幸せを感じる。彼の中は今もカシュクール国王ギルダインで一杯だった。
そして、マリーからは得られなかった喜びをレギル王子は与えてくれる。共に居られる事の、離されもせず共に生きられる事の喜びはこれまたなんと大きなことか……暖かい腕の中に収まって、まるで卵の中にいる様に眠っても一人きりにならないなんて……安心して眠る事のできた卵の中でさえ一人でしか居られなかったのに。
レギル王子はリレランが一人では知り様も無かった沢山の喜びをくれる。ただ一人のリレランだけの人間だから……今はこの腕の中にいる事だけで良しとしよう…………
「………レギル、おはよう………」
いつもなら、夜半に寝台から出て行ってしまっていたレギル王子は、あの日以来いつも朝まで共に居てくれる。だからリレランは無理にレギル王子を交尾に誘うことはなくなった。レギル王子にとってリレランは大切な特別な存在と言われたから、なんだか心が一杯になってしまって。ずっと一緒に居てくれるはずのこの腕の中に収まることで満足してしまった。
「…おはよう、ラン………」
上から覗き込んで来たリレランの頬を両手で包み込んで、レギル王子は近付くリレランのキスを受ける。一度してしまった後はリレランの蟠りもなくなった様でレギル王子は毎朝リレランのキスで目覚めている。
朝だけではなくて、事あるごとにリレランはスキンシップを求めて来るようになった。人の前でやるものではないと話してあるからか、侍女達の前ではして来ないが…これは嬉しい反面、未だにレギル王子の悩みの種……
「レギル、今日は遠出をするんだろう?」
そう今日からオレイン公の依頼を受けて、カシュクール国国境周辺の視察にレギル王子は出向く予定だ。各地から復興の状況は上がってきてはいるが、為政者の目で実際に見る事もまた大切な職務の一つ。レギル王子は次期国王の座を退く身分ではあるが、後を継ぐオレイン公の為に王城から離れなければ出来ぬ職務全般を今受け持っている。次期国王は現王の弟にあたるオレイン公だ。レギル王子はその補佐役となっている。
「では、レギル頼んだよ?」
幼き頃には余り共に過ごした記憶がないオレイン公だが、会えば可愛がってもらっていた記憶もある。国王にも目鼻立ちがよく似ているレギル王子だからだろうか、オレイン公もレギル王子の事を可愛く思っていたのだろう。
兄、国王の事になると周りが見えなくなると言う少々困った癖がある叔父ではあるが、為政の事には十二分の手腕を発揮し、周囲の重鎮を納得させてしまうほどの実力者だ。
「心得ました。叔父上もお忙しい身でありますので無理はなさいませんよう…」
「ふふ、レギルは優しいね。流石は兄上の子だ。出来る事なら私の手元で育ててみたかった。」
それであれば、呪われた王子などと不名誉な名前を浴びせられずに、離れた領地で伸び伸びと育つ事も出来ただろうに…オレイン公とて愛しの兄の子供が臣下共からその様な言われ方をするのは不愉快どころでは無かったのだ。
「叔父上のお心には感謝いたしますが、私が城に居たからこそシェルツェインに精霊について叩き込まれる事ができたのです。これが無ければ、この国を立ち直せることが出来なかったでしょう。ですから、わたしの忌み名も無駄では無かったと今では思っております。」
「そうか…うむ。いい答えだね、レギル。それに、ラン様も共に行かれるおつもりとか。ならば、其方の事は心配ないな…」
何と言っても、龍が一緒に居てくれるのだから。よろしくお願いします、とオレイン公はレギル王子と共に出発せんとするリレランに頭を下げた。
「大丈夫だよ。レギルはそんなにやわじゃ無いから。」
大抵のことじゃ死なないよ、と言いたくなる所をリレランはグッと我慢した。それに、いつもベッタリとひっついていなくても良いのだが、リレランが一緒に居たくてレギル王子と共に行く事を決めた。リレランにとってはレギル王子の側が卵の中の様に居心地がいいから。
「誠にラン様には感謝しています。レギルを選んでくださって…どうかいつまでも共に居てやってください。」
リレランが共にいる事で、カシュクール国の重鎮からは王よりも一目置かれる様な存在となったレギル王子。志半ばで王位継承からは抜けるが、その為にオレイン公はまた城に呼び戻された。オレイン公にとっては再度兄王の元で手腕をふるえる日が来るなんて夢にも思ってもいない事だったのだ。カシュクール国には精霊の加護に龍の手助けがある。兄王の時代は今後いつまでも物語の様に語り継がれる事だろう…愛しい者が何時迄も民に慕われる王となって語り継がれる様を想像するだけでオレイン公は幸せを感じる。彼の中は今もカシュクール国王ギルダインで一杯だった。
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