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68 リレランの巣作り 2
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「構わん、入れ…」
レギル王子の許可と共にリレランが部屋へと入ってきた。
「レギル…」
寝起きだとは思うのだが、昼間の様な様子はなく少しばかりレギル王子はほっとする。
「殿下……その方は……?」
「信じられない程に綺麗な方………」
今、リレランは瞳の色を変えてはいない。龍の時であった瞳の色とその容姿では当然の反応だろう。
「…ご紹介しましょう。未来の王妃殿…こちらはラン…私が選んだ私の伴侶で、龍の種族にあたります。」
ゆっくりとリレランに差し出されたレギル王子の手を当然の如くにリレランは取り、そしてレギル王子の元に引き寄せられる。そっとレギル王子はリレランに耳打ちした。
「…いいの?」
ちょっと驚いた様にリレランがレギル王子を見返すのと同時に、スルジー男爵はガタンと音を立てて立ち上がる。
「な…りゅ、龍、ですと?」
ルアナ嬢は事態が飲み込めないのか又はリレランのその美しさにあてられているのか、ポカンとただリレランを見つめていた。
「ああ、ラン構わない…父上達は知っておろう?ここで未来の家族が知らないのは、良い結果にはならないと思うのだ。」
出来ればリレランを他人に見せたくはない。けれど、どんな人にでも見せて自慢したい気持ちもあり、レギル王子の心の中は複雑だ。
この地ならば、大丈夫……この方ならば……
何故か不思議と確信に近いものがレギル王子の中にはあった。もしかしたら叔父オレイン公もこんな感覚を感じ取っていたのかもしれない………
「分かった…」
レギル王子の少しの心配を他所に、リレランはなぜか清々しく笑って見せて、一瞬の間に成人男性位の大きさの、龍となった。
レギル王子も久しぶりに目にするリレランの本当の姿。パールの様に輝き艶めく滑らかな表皮はしなやかな鱗で覆われて……目を細めてずっと見ていたくなる程リレランは美しい。
「………!?」
「………!!」
スルジー男爵親子に最早声はなかった……
「これが、私が王位を退く本当の理由です。私は人ならざる者と共に生きる決意をいたしました。ルアナ嬢……」
「………はい………」
魂を抜かれた様になっているルアナ嬢は消え入りそうな声でやっと返事をする。
「この地に滞在したのはまだ少しですが、貴方様やこの地の人々が、人以外のものに格別な愛情を注がれているのかが分かるほどでございました。それはこのランも感じている事でございましょう。ルアナ嬢、我がカシュクールを率いてくださる王族に貴方が必要だと私も感じております。」
そう言いながらレギル王子はそっとリレランの首を撫でる。甘える様にそれに応えてリレランもレギル王子の腕に擦り寄った。
「ルアナ……心しておきなさい……!身分云々と言う問題ではない…お前は自らの全てを持ってオレイン公に……いや、カシュクール国に尽くさねばならん!精霊の加護あるカシュクールに、龍までとは…………なんという暁光であろうか……」
先程まで、ブルブルと震えそうになっていたスルジー男爵は真摯な表情でルアナ嬢に向かって刻み込む様に一言一言しっかりと言い諭した。
今晩の事を、忘れてはならんぞ、と。
やはり、気のせいではなく聞こえて来る。この地に入ってから囁きの様な、呟きの様な微かな精霊達の声……領地を周り視察をしている間も耳をかすめる様に囁いては消えていく精霊の声が……
"いらせられませ…龍のお子…"
"ようこそ、おいで下さいました"
"この地は、人と我らが、育て上げた"
"貴方様の地ですから…"
姿は見えずも外からか、中からかこれらの声は聞こえて来る。大歓迎で迎え入れられているリレランにとっては随分と居心地がいいのも肯けた。この地にはリレランが言う様に精霊へと流れる人からの精気がどこへ行っても溢れんばかりにあるらしい。それだけこの地の人々が土地を守り、感謝し、語りかけ、愛してきた証拠だと、リレランはうっとりとしながら語った。
"ゆっくりと、お休みください"
"この地で、育まれませ…"
"貴方様の………"
父王に早急に差し出す報告書を書きつつもレギル王子は気になる事をふと、口にしてみた。
「ラン…精霊達が言っている、育むとはなんだ?」
レギル王子が仕事をしている間は大人しく外を見ているか、寝台でゴロゴロとしていてリレランもマッタリと寛いでいるらしい。
「ん~~~……」
リレランは大きく一伸びして、よいしょっと起き上がった。
「うん。卵だよ?レギルにも、あの子達が言ったの?」
「卵…?鳥か何かの?…非常に小さくではあるが、何度も話しかけて来るものがいるのだが。」
「そう…その子達が喜んで迎えてくれる精霊達だね…ここの人間は良い精霊使いになると思う…うん、適任だろうね…」
「…そうかもしれないな。ルアナ嬢とまだ深く話したことはないが精霊と話ができると知ったら喜んでくれるだろうと思う。」
龍リレランの姿を見ても悲鳴一つあげなかった。恐ろしく驚いたとは思うのだが、その後も目に焼きつける様にリレランの姿をじっと見つめていたのだ。どうやら嫌悪感は無かった様で一安心なのだが。
「で、ラン。卵とは何の卵だ?」
書類を書き終わり封を閉じるために折り畳みながらもう一度レギル王子は聞いてみた。
「あぁ、それは僕の卵だよレギル…」
リレランが人型になっているからすっかり忘れていた様だが、リレランは龍だった………
レギル王子の許可と共にリレランが部屋へと入ってきた。
「レギル…」
寝起きだとは思うのだが、昼間の様な様子はなく少しばかりレギル王子はほっとする。
「殿下……その方は……?」
「信じられない程に綺麗な方………」
今、リレランは瞳の色を変えてはいない。龍の時であった瞳の色とその容姿では当然の反応だろう。
「…ご紹介しましょう。未来の王妃殿…こちらはラン…私が選んだ私の伴侶で、龍の種族にあたります。」
ゆっくりとリレランに差し出されたレギル王子の手を当然の如くにリレランは取り、そしてレギル王子の元に引き寄せられる。そっとレギル王子はリレランに耳打ちした。
「…いいの?」
ちょっと驚いた様にリレランがレギル王子を見返すのと同時に、スルジー男爵はガタンと音を立てて立ち上がる。
「な…りゅ、龍、ですと?」
ルアナ嬢は事態が飲み込めないのか又はリレランのその美しさにあてられているのか、ポカンとただリレランを見つめていた。
「ああ、ラン構わない…父上達は知っておろう?ここで未来の家族が知らないのは、良い結果にはならないと思うのだ。」
出来ればリレランを他人に見せたくはない。けれど、どんな人にでも見せて自慢したい気持ちもあり、レギル王子の心の中は複雑だ。
この地ならば、大丈夫……この方ならば……
何故か不思議と確信に近いものがレギル王子の中にはあった。もしかしたら叔父オレイン公もこんな感覚を感じ取っていたのかもしれない………
「分かった…」
レギル王子の少しの心配を他所に、リレランはなぜか清々しく笑って見せて、一瞬の間に成人男性位の大きさの、龍となった。
レギル王子も久しぶりに目にするリレランの本当の姿。パールの様に輝き艶めく滑らかな表皮はしなやかな鱗で覆われて……目を細めてずっと見ていたくなる程リレランは美しい。
「………!?」
「………!!」
スルジー男爵親子に最早声はなかった……
「これが、私が王位を退く本当の理由です。私は人ならざる者と共に生きる決意をいたしました。ルアナ嬢……」
「………はい………」
魂を抜かれた様になっているルアナ嬢は消え入りそうな声でやっと返事をする。
「この地に滞在したのはまだ少しですが、貴方様やこの地の人々が、人以外のものに格別な愛情を注がれているのかが分かるほどでございました。それはこのランも感じている事でございましょう。ルアナ嬢、我がカシュクールを率いてくださる王族に貴方が必要だと私も感じております。」
そう言いながらレギル王子はそっとリレランの首を撫でる。甘える様にそれに応えてリレランもレギル王子の腕に擦り寄った。
「ルアナ……心しておきなさい……!身分云々と言う問題ではない…お前は自らの全てを持ってオレイン公に……いや、カシュクール国に尽くさねばならん!精霊の加護あるカシュクールに、龍までとは…………なんという暁光であろうか……」
先程まで、ブルブルと震えそうになっていたスルジー男爵は真摯な表情でルアナ嬢に向かって刻み込む様に一言一言しっかりと言い諭した。
今晩の事を、忘れてはならんぞ、と。
やはり、気のせいではなく聞こえて来る。この地に入ってから囁きの様な、呟きの様な微かな精霊達の声……領地を周り視察をしている間も耳をかすめる様に囁いては消えていく精霊の声が……
"いらせられませ…龍のお子…"
"ようこそ、おいで下さいました"
"この地は、人と我らが、育て上げた"
"貴方様の地ですから…"
姿は見えずも外からか、中からかこれらの声は聞こえて来る。大歓迎で迎え入れられているリレランにとっては随分と居心地がいいのも肯けた。この地にはリレランが言う様に精霊へと流れる人からの精気がどこへ行っても溢れんばかりにあるらしい。それだけこの地の人々が土地を守り、感謝し、語りかけ、愛してきた証拠だと、リレランはうっとりとしながら語った。
"ゆっくりと、お休みください"
"この地で、育まれませ…"
"貴方様の………"
父王に早急に差し出す報告書を書きつつもレギル王子は気になる事をふと、口にしてみた。
「ラン…精霊達が言っている、育むとはなんだ?」
レギル王子が仕事をしている間は大人しく外を見ているか、寝台でゴロゴロとしていてリレランもマッタリと寛いでいるらしい。
「ん~~~……」
リレランは大きく一伸びして、よいしょっと起き上がった。
「うん。卵だよ?レギルにも、あの子達が言ったの?」
「卵…?鳥か何かの?…非常に小さくではあるが、何度も話しかけて来るものがいるのだが。」
「そう…その子達が喜んで迎えてくれる精霊達だね…ここの人間は良い精霊使いになると思う…うん、適任だろうね…」
「…そうかもしれないな。ルアナ嬢とまだ深く話したことはないが精霊と話ができると知ったら喜んでくれるだろうと思う。」
龍リレランの姿を見ても悲鳴一つあげなかった。恐ろしく驚いたとは思うのだが、その後も目に焼きつける様にリレランの姿をじっと見つめていたのだ。どうやら嫌悪感は無かった様で一安心なのだが。
「で、ラン。卵とは何の卵だ?」
書類を書き終わり封を閉じるために折り畳みながらもう一度レギル王子は聞いてみた。
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