58 / 143
58 赤い石
しおりを挟む
バート、ガイ、ソウの組が北東結界領境界付近近隣の村を警邏中に、住民から近ごろ魔物が多いと訴えられた。
村に沿う様に有る森の中は見通しも良く、大型獣の住処ではないらしいのだが、この所大型の魔物が増え領主に嘆願書を出す準備をしていたとか。
何か情報を聞き込もうとした所にフードをしっかり被った男が怪しい動きをする。村人の目に着かない様に森の方へ移動しているのだ。
情報を得たいならば少しの変化も逃さない目と勘も必要だろう。
バート、ガイは静かに男の後方へ、ソウが男の前に出て声をかける。
「ここから先は危ないです。まさか今から森の中に入るのですか?」
見たところ30代位の男である。目元まで灰色のフードでしっかりと覆っており視界は悪かろう。
昼間でも魔物は活動するし、例え魔物狩りであったとしても流石に一人では行かないものだ。
「いやぁ、この森には慣れてましてね、いつものことなんで心配いらんですよ。」
「慣れているのなら、貴方もあの村の方でしょう?今魔物の話で持ちきりでしたから、僕らが一度警邏してきます。その後に入られては?」
ソウ達は長いロングマントの下に揃いの黒の隊服だ。腰に帯剣しているのをマントから覗かせて見せれば騎士と分かるだろう。
剣を見せた所で男の顔色が変わる。ソウは顔色を変えずに一歩小さく後ろに足を引く。それを見た後ろのバートは剣に手を置き、ガイは腰の後ろの縄に手をかける。
男は胸元に手を入れる。
「いえ、お守りが有るんですよ、こういう日の為に。魔物除けにもなるやつでしてね。」
バッとソウの顔面に何かかかった。
シュウシュウ、辺りに霧の様な煙が立ち込め、独特の鼻に突く臭いが立ち込めた。
「酸か!!」
バートが叫び、剣を抜く。
「ハハハハハハハッバカな坊やだ!
のこのこと前を塞ぐからこうなるんだ!
それは骨をも溶かす強酸だぞ!
俺の相手をするよりも早く水でも掛けてやるんだな。」
言うなり懐剣を抜き放ちソウに斬りかかる。
が、ドンと顔を押さえたままのソウに胸元を蹴り返され後ろへ飛ばされ倒れ込んだ。その拍子に手に持つ懐剣はバートが蹴り飛ばす。
男が体を起こそうとうつ伏せになった所で、ガイが風魔法で上から圧をかけて押さえ込んだ。
「ぐっうっ」
身動き一つ出来ない程押さえつけガイは有無を言わさず頭部に一撃、男の意識を奪う。
「ありったけの水を持ってきてくれ!!」
バートが村人に向かって叫ぶ。
未だモウモウとけぶっているソウに向かって次から次に水がかけられる。
"毒物や薬は試したことがない"
って言ってなかったか?
焦る、自分のこと以上に焦るバートが必死に水を掛け酸を流す。
「騎士様大丈夫かい?」
水瓶を持って駆けつけてくれた村人が恐る恐るソウに話しかけている。
「まず、凄い不味い!」
いきなりソウは、ガッと瓶を掴んで口に運び嗽をし、そのままバシャバシャと水を飛ばして、ガシガシ洗い流していく。
「うぇ、不味い…口に入った…」
ホ~~~、バートの力が抜けていく。どうやら酸も大丈夫らしい。
被害はソウのマントと上着に当たる衣類のみ。ボロボロになった物をパッパッと払っている。見える肌には傷はない。
嫌、いや、いや、いや、これはこれで色々まずい!
バッとバートはマントを脱ぐとソウに放り投げる。
頼むからガッチリ着ておけ、と。まだ、自分は死にたくはないんだ。
「ガイ、その人胸に何か隠してる。後ろに飛ぶ時に胸を庇ってたんだ。」
グッタリ疲れているバートからマントを借りると、プルプルと頭の水気を飛ばしながら、上半身を隠す様に着直す。
ガイが男の胸を探ると、真赤な小石?宝石?の様な物を見つける。魔法石なのか?強い魔力を感じるが、でも今まで見た事あるものより異質な魔力だ。
石を見ているバートもガイもこれは見たことがないらしい。村人に聞いても誰も知らないばかりか、今捕まえたこの男はここの村人でさえないと言う。
ガイが風魔法でソウの身体を乾かす内にバートは男に猿ぐつわを噛ませ手足を縛り上げる。
魔法石の事ならプロに聞くべき、と男の身柄と共に王城に帰る判断をした。
「騎士様良かったらこれを。」
帰りの馬に男を縛り上げて固定し、荷物を積み込む。ソウは流石に上半身裸に近い状態で疾走する訳には行かず、親切な村人に茶色の上着を分けてもらって着替えている所だ。
口直しに、と盛大に不味いを繰り返していたので気の利く村の娘が果実水を持ってきてくれる。
「ありがとう、生き返ります。」
丁寧にお礼を言って飲んでいる様を見ながら、陛下のライバル(違う意味での)増えてるな、とバートが呟く。
何にしても、結界が崩れていない所でこれだ。ゴアラの手の者か分からないが、大方はずれてはいないだろう。
村に沿う様に有る森の中は見通しも良く、大型獣の住処ではないらしいのだが、この所大型の魔物が増え領主に嘆願書を出す準備をしていたとか。
何か情報を聞き込もうとした所にフードをしっかり被った男が怪しい動きをする。村人の目に着かない様に森の方へ移動しているのだ。
情報を得たいならば少しの変化も逃さない目と勘も必要だろう。
バート、ガイは静かに男の後方へ、ソウが男の前に出て声をかける。
「ここから先は危ないです。まさか今から森の中に入るのですか?」
見たところ30代位の男である。目元まで灰色のフードでしっかりと覆っており視界は悪かろう。
昼間でも魔物は活動するし、例え魔物狩りであったとしても流石に一人では行かないものだ。
「いやぁ、この森には慣れてましてね、いつものことなんで心配いらんですよ。」
「慣れているのなら、貴方もあの村の方でしょう?今魔物の話で持ちきりでしたから、僕らが一度警邏してきます。その後に入られては?」
ソウ達は長いロングマントの下に揃いの黒の隊服だ。腰に帯剣しているのをマントから覗かせて見せれば騎士と分かるだろう。
剣を見せた所で男の顔色が変わる。ソウは顔色を変えずに一歩小さく後ろに足を引く。それを見た後ろのバートは剣に手を置き、ガイは腰の後ろの縄に手をかける。
男は胸元に手を入れる。
「いえ、お守りが有るんですよ、こういう日の為に。魔物除けにもなるやつでしてね。」
バッとソウの顔面に何かかかった。
シュウシュウ、辺りに霧の様な煙が立ち込め、独特の鼻に突く臭いが立ち込めた。
「酸か!!」
バートが叫び、剣を抜く。
「ハハハハハハハッバカな坊やだ!
のこのこと前を塞ぐからこうなるんだ!
それは骨をも溶かす強酸だぞ!
俺の相手をするよりも早く水でも掛けてやるんだな。」
言うなり懐剣を抜き放ちソウに斬りかかる。
が、ドンと顔を押さえたままのソウに胸元を蹴り返され後ろへ飛ばされ倒れ込んだ。その拍子に手に持つ懐剣はバートが蹴り飛ばす。
男が体を起こそうとうつ伏せになった所で、ガイが風魔法で上から圧をかけて押さえ込んだ。
「ぐっうっ」
身動き一つ出来ない程押さえつけガイは有無を言わさず頭部に一撃、男の意識を奪う。
「ありったけの水を持ってきてくれ!!」
バートが村人に向かって叫ぶ。
未だモウモウとけぶっているソウに向かって次から次に水がかけられる。
"毒物や薬は試したことがない"
って言ってなかったか?
焦る、自分のこと以上に焦るバートが必死に水を掛け酸を流す。
「騎士様大丈夫かい?」
水瓶を持って駆けつけてくれた村人が恐る恐るソウに話しかけている。
「まず、凄い不味い!」
いきなりソウは、ガッと瓶を掴んで口に運び嗽をし、そのままバシャバシャと水を飛ばして、ガシガシ洗い流していく。
「うぇ、不味い…口に入った…」
ホ~~~、バートの力が抜けていく。どうやら酸も大丈夫らしい。
被害はソウのマントと上着に当たる衣類のみ。ボロボロになった物をパッパッと払っている。見える肌には傷はない。
嫌、いや、いや、いや、これはこれで色々まずい!
バッとバートはマントを脱ぐとソウに放り投げる。
頼むからガッチリ着ておけ、と。まだ、自分は死にたくはないんだ。
「ガイ、その人胸に何か隠してる。後ろに飛ぶ時に胸を庇ってたんだ。」
グッタリ疲れているバートからマントを借りると、プルプルと頭の水気を飛ばしながら、上半身を隠す様に着直す。
ガイが男の胸を探ると、真赤な小石?宝石?の様な物を見つける。魔法石なのか?強い魔力を感じるが、でも今まで見た事あるものより異質な魔力だ。
石を見ているバートもガイもこれは見たことがないらしい。村人に聞いても誰も知らないばかりか、今捕まえたこの男はここの村人でさえないと言う。
ガイが風魔法でソウの身体を乾かす内にバートは男に猿ぐつわを噛ませ手足を縛り上げる。
魔法石の事ならプロに聞くべき、と男の身柄と共に王城に帰る判断をした。
「騎士様良かったらこれを。」
帰りの馬に男を縛り上げて固定し、荷物を積み込む。ソウは流石に上半身裸に近い状態で疾走する訳には行かず、親切な村人に茶色の上着を分けてもらって着替えている所だ。
口直しに、と盛大に不味いを繰り返していたので気の利く村の娘が果実水を持ってきてくれる。
「ありがとう、生き返ります。」
丁寧にお礼を言って飲んでいる様を見ながら、陛下のライバル(違う意味での)増えてるな、とバートが呟く。
何にしても、結界が崩れていない所でこれだ。ゴアラの手の者か分からないが、大方はずれてはいないだろう。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる