[完]聖石を拾った村人Aに付いてきたのが魔王の溺愛

小葉石

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天との断絶、魔王が決断いたしました

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 魔王城が地上に現れた…と言うのにここ数日至って平穏に過ごしている。案の定いつもの通りと言うべきか、魔王イグショールと俺は一緒のベッドの中にいる。

「イグショール……」

「ん?」

 流石にベッドの中ではイグショールは漆黒の羽はしまっているが、角やら尾は出しっぱなしで、一緒に寝ているとイグショールの尾の冷たさに驚いてる脚を引っ込めてしまう事もしばしばで…その度に隣で寝ているイグショールに引き戻されて絡みつかれてしまうのだけれど…今はその尾がはだけた掛け物を引き寄せてくれている。

「地上にいる魔族は…人間を襲わないよな?」

 ずっと…ずっと怖くて聞けなかった事…もし、魔族だから人間を食べるのは当たり前と言われたら…?ここを飛び出して、そんな権限は無いけれども止めに行く?それよりも前にまた女神にちょっかいを出されそうなんだけれども…

「気になっているのだろうが、我は心配は要らんと言ったぞ?」

 重量感がありそうなイグショールの尾は軽々と器用に動き、掛け物をかけ直してくれる。ウトウトと眠たくなっていた俺としてはありがたい。このまま寝てしまおう…

「心配…要らない……?そうか……」

 大丈夫なんだ…そうか……

 ホッとして力が抜ける。




「カーペ、客人だ。」

 ウトウトと気持ち良く眠ろうとしていたところで、俺を抱き抱えていたイグショールがポツリと呟く。

「はい。主人。」

 姿を見せていなかったカーペ君の声までする。
 ちょっと待って…?今俺、裸……


 ピッと言う音がしたような気がする…

 一瞬後には目の前に全身光を纏った、青い髪と瞳の人物…?が部屋の中央に立っていた……!

「!?」

 ビックリしすぎて俺は声が出ない。その人物は人間でも魔族でもない。普通の人間がと同じ様な光をに纏って光っているはずがない…

「どこから来た?お客人?」

 カーペ君が俺達寝台の前に進み出る。
 
 光のお客はスッと色白の手で上を指さす。魔王城の天井が無い……無いと言うより、その人一人分位の穴が綺麗に空いて上空にまで繋がっているようだった。その穴にはキラキラとその人が身に纏う光の残滓が付着している。

「何用できたのか?」

 ズイッとカーペ君が進み出る。イグショールもゆっくりと起き上がって、裸の肌にガウンを羽織りだす…

 え………誰?俺だけが、どうしていいのか分からずに掛けてくれた掛け物を引き上げて身を隠すように丸まる。

「……………」

 ジッと空色の青い瞳はこちらを見つめるが何も言わないのだ。

「客人?」

 カーペ君がなんとなくピリピリとしてて機嫌は悪そうだ。

「趣味の悪い側仕えだ。そんな者を天の賜物の側に置くとは……」

 綺麗な声だった。まるで空から歌が降りてくるみたいな…声は綺麗だけれども言っている事はカーペ君を
扱いしたと言う事だ。

「生憎と、我の側近ではカーペが一番腕が立つ。それに、我の伴侶も心を許している…」

 私の伴侶……また、女神では無い、俺の事をそう言った…

 何となく、くすぐったくて俺は更に丸まる。

「伴侶………?天の賜物を汚すか?」

 え………

 客人からブワッと広がるのは聖石の光で、客人を中心に光が高速で回っているように見えた。

「残念ながら、ルアンは既に我のものだ。」

 ガウンを羽織り嫌に色気を醸し出しているイグショールがそっと身動きできない俺の頭を撫で始める。

 ビリッ……!!

 俺の頭を撫でていたイグショールの手は、聖石が俺以外を弾くように弾かれた。

「え……?」

 何が起こったのかわからないけれど、何かがイグショールを弾いた事だけはわかった。

「何?」

「天の賜物を汚れからお守りしたのです。」

 俺の問いには客人が答えてくれる。

「え?賜物?…え、俺?」

「左様です。貴方は女神ルシェーラの生写し…このような事が無ければ、天界で愛られていたでしょうに……」

 待って?そのルシェーラ自身に数回ほど殺され掛けているんだけど、こんな俺が天界で愛でられることある?

 ビリリ…空気が揺れる…
 
 俺の背後でイグショールが羽を出した音がする…そして黒い靄まで漂い始めた。微笑んでいるように見えて、イグショールは決して笑ってない。

「客人、用件を聞こうか?」

 カーペ君を下がらせ、イグショールは寝台の上で俺を愛でながら……掛け物の上から腰の方に手を下ろして……最大限不遜な態度で客人と相対するようだ。

 イグショールの漆黒と客人の放つ光が部屋中を牽制し合う様に動き巡る中、イグショールの俺を愛でる手は止まらないし、カーペ君の尻尾は最大限膨れて客人を威嚇しているし、俺は寝具から出られないし……
 
「此度の件、非常に解せぬことではあるが……拳を引いては貰えまいかと……」

 イグショールの不遜な態度に負けもせず、客人は居丈高な声色で語り出す。イグショールと話すのも嫌なのか最大のため息を吐きながら。


















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