62 / 80
天との断絶、魔王が決断いたしました
4、訪問者 1
しおりを挟む
魔王城が地上に現れた…と言うのにここ数日至って平穏に過ごしている。案の定いつもの通りと言うべきか、魔王イグショールと俺は一緒のベッドの中にいる。
「イグショール……」
「ん?」
流石にベッドの中ではイグショールは漆黒の羽はしまっているが、角やら尾は出しっぱなしで、一緒に寝ているとイグショールの尾の冷たさに驚いてる脚を引っ込めてしまう事もしばしばで…その度に隣で寝ているイグショールに引き戻されて絡みつかれてしまうのだけれど…今はその尾がはだけた掛け物を引き寄せてくれている。
「地上にいる魔族は…人間を襲わないよな?」
ずっと…ずっと怖くて聞けなかった事…もし、魔族だから人間を食べるのは当たり前と言われたら…?ここを飛び出して、そんな権限は無いけれども止めに行く?それよりも前にまた女神にちょっかいを出されそうなんだけれども…
「気になっているのだろうが、我は心配は要らんと言ったぞ?」
重量感がありそうなイグショールの尾は軽々と器用に動き、掛け物をかけ直してくれる。ウトウトと眠たくなっていた俺としてはありがたい。このまま寝てしまおう…
「心配…要らない……?そうか……」
大丈夫なんだ…そうか……
ホッとして力が抜ける。
「カーペ、客人だ。」
ウトウトと気持ち良く眠ろうとしていたところで、俺を抱き抱えていたイグショールがポツリと呟く。
「はい。主人。」
姿を見せていなかったカーペ君の声までする。
ちょっと待って…?今俺、裸……
ピッと言う音がしたような気がする…
一瞬後には目の前に全身光を纏った、青い髪と瞳の人物…?が部屋の中央に立っていた……!
「!?」
ビックリしすぎて俺は声が出ない。その人物は人間でも魔族でもない。普通の人間が聖石と同じ様な光を全身に纏って光っているはずがない…
「どこから来た?お客人?」
カーペ君が俺達寝台の前に進み出る。
光のお客はスッと色白の手で上を指さす。魔王城の天井が無い……無いと言うより、その人一人分位の穴が綺麗に空いて上空にまで繋がっているようだった。その穴にはキラキラとその人が身に纏う光の残滓が付着している。
「何用できたのか?」
ズイッとカーペ君が進み出る。イグショールもゆっくりと起き上がって、裸の肌にガウンを羽織りだす…
え………誰?俺だけが、どうしていいのか分からずに掛けてくれた掛け物を引き上げて身を隠すように丸まる。
「……………」
ジッと空色の青い瞳はこちらを見つめるが何も言わないのだ。
「客人?」
カーペ君がなんとなくピリピリとしてて機嫌は悪そうだ。
「趣味の悪い側仕えだ。そんな者を天の賜物の側に置くとは……」
綺麗な声だった。まるで空から歌が降りてくるみたいな…声は綺麗だけれども言っている事はカーペ君をそんな者
扱いしたと言う事だ。
「生憎と、我の側近ではカーペが一番腕が立つ。それに、我の伴侶も心を許している…」
私の伴侶……また、女神では無い、俺の事をそう言った…
何となく、くすぐったくて俺は更に丸まる。
「伴侶………?天の賜物を汚すか?」
え………
客人からブワッと広がるのは聖石の光で、客人を中心に光が高速で回っているように見えた。
「残念ながら、ルアンは既に我のものだ。」
ガウンを羽織り嫌に色気を醸し出しているイグショールがそっと身動きできない俺の頭を撫で始める。
ビリッ……!!
俺の頭を撫でていたイグショールの手は、聖石が俺以外を弾くように弾かれた。
「え……?」
何が起こったのかわからないけれど、何かがイグショールを弾いた事だけはわかった。
「何?」
「天の賜物を汚れからお守りしたのです。」
俺の問いには客人が答えてくれる。
「え?賜物?…え、俺?」
「左様です。貴方は女神ルシェーラの生写し…このような事が無ければ、天界で愛られていたでしょうに……」
待って?そのルシェーラ自身に数回ほど殺され掛けているんだけど、こんな俺が天界で愛でられることある?
ビリリ…空気が揺れる…
俺の背後でイグショールが羽を出した音がする…そして黒い靄まで漂い始めた。微笑んでいるように見えて、イグショールは決して笑ってない。
「客人、用件を聞こうか?」
カーペ君を下がらせ、イグショールは寝台の上で俺を愛でながら……掛け物の上から腰の方に手を下ろして……最大限不遜な態度で客人と相対するようだ。
イグショールの漆黒と客人の放つ光が部屋中を牽制し合う様に動き巡る中、イグショールの俺を愛でる手は止まらないし、カーペ君の尻尾は最大限膨れて客人を威嚇しているし、俺は寝具から出られないし……
「此度の件、非常に解せぬことではあるが……拳を引いては貰えまいかと……」
イグショールの不遜な態度に負けもせず、客人は居丈高な声色で語り出す。イグショールと話すのも嫌なのか最大のため息を吐きながら。
「イグショール……」
「ん?」
流石にベッドの中ではイグショールは漆黒の羽はしまっているが、角やら尾は出しっぱなしで、一緒に寝ているとイグショールの尾の冷たさに驚いてる脚を引っ込めてしまう事もしばしばで…その度に隣で寝ているイグショールに引き戻されて絡みつかれてしまうのだけれど…今はその尾がはだけた掛け物を引き寄せてくれている。
「地上にいる魔族は…人間を襲わないよな?」
ずっと…ずっと怖くて聞けなかった事…もし、魔族だから人間を食べるのは当たり前と言われたら…?ここを飛び出して、そんな権限は無いけれども止めに行く?それよりも前にまた女神にちょっかいを出されそうなんだけれども…
「気になっているのだろうが、我は心配は要らんと言ったぞ?」
重量感がありそうなイグショールの尾は軽々と器用に動き、掛け物をかけ直してくれる。ウトウトと眠たくなっていた俺としてはありがたい。このまま寝てしまおう…
「心配…要らない……?そうか……」
大丈夫なんだ…そうか……
ホッとして力が抜ける。
「カーペ、客人だ。」
ウトウトと気持ち良く眠ろうとしていたところで、俺を抱き抱えていたイグショールがポツリと呟く。
「はい。主人。」
姿を見せていなかったカーペ君の声までする。
ちょっと待って…?今俺、裸……
ピッと言う音がしたような気がする…
一瞬後には目の前に全身光を纏った、青い髪と瞳の人物…?が部屋の中央に立っていた……!
「!?」
ビックリしすぎて俺は声が出ない。その人物は人間でも魔族でもない。普通の人間が聖石と同じ様な光を全身に纏って光っているはずがない…
「どこから来た?お客人?」
カーペ君が俺達寝台の前に進み出る。
光のお客はスッと色白の手で上を指さす。魔王城の天井が無い……無いと言うより、その人一人分位の穴が綺麗に空いて上空にまで繋がっているようだった。その穴にはキラキラとその人が身に纏う光の残滓が付着している。
「何用できたのか?」
ズイッとカーペ君が進み出る。イグショールもゆっくりと起き上がって、裸の肌にガウンを羽織りだす…
え………誰?俺だけが、どうしていいのか分からずに掛けてくれた掛け物を引き上げて身を隠すように丸まる。
「……………」
ジッと空色の青い瞳はこちらを見つめるが何も言わないのだ。
「客人?」
カーペ君がなんとなくピリピリとしてて機嫌は悪そうだ。
「趣味の悪い側仕えだ。そんな者を天の賜物の側に置くとは……」
綺麗な声だった。まるで空から歌が降りてくるみたいな…声は綺麗だけれども言っている事はカーペ君をそんな者
扱いしたと言う事だ。
「生憎と、我の側近ではカーペが一番腕が立つ。それに、我の伴侶も心を許している…」
私の伴侶……また、女神では無い、俺の事をそう言った…
何となく、くすぐったくて俺は更に丸まる。
「伴侶………?天の賜物を汚すか?」
え………
客人からブワッと広がるのは聖石の光で、客人を中心に光が高速で回っているように見えた。
「残念ながら、ルアンは既に我のものだ。」
ガウンを羽織り嫌に色気を醸し出しているイグショールがそっと身動きできない俺の頭を撫で始める。
ビリッ……!!
俺の頭を撫でていたイグショールの手は、聖石が俺以外を弾くように弾かれた。
「え……?」
何が起こったのかわからないけれど、何かがイグショールを弾いた事だけはわかった。
「何?」
「天の賜物を汚れからお守りしたのです。」
俺の問いには客人が答えてくれる。
「え?賜物?…え、俺?」
「左様です。貴方は女神ルシェーラの生写し…このような事が無ければ、天界で愛られていたでしょうに……」
待って?そのルシェーラ自身に数回ほど殺され掛けているんだけど、こんな俺が天界で愛でられることある?
ビリリ…空気が揺れる…
俺の背後でイグショールが羽を出した音がする…そして黒い靄まで漂い始めた。微笑んでいるように見えて、イグショールは決して笑ってない。
「客人、用件を聞こうか?」
カーペ君を下がらせ、イグショールは寝台の上で俺を愛でながら……掛け物の上から腰の方に手を下ろして……最大限不遜な態度で客人と相対するようだ。
イグショールの漆黒と客人の放つ光が部屋中を牽制し合う様に動き巡る中、イグショールの俺を愛でる手は止まらないし、カーペ君の尻尾は最大限膨れて客人を威嚇しているし、俺は寝具から出られないし……
「此度の件、非常に解せぬことではあるが……拳を引いては貰えまいかと……」
イグショールの不遜な態度に負けもせず、客人は居丈高な声色で語り出す。イグショールと話すのも嫌なのか最大のため息を吐きながら。
2
あなたにおすすめの小説
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。
明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。
新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。
しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…?
冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。
騎士様、お菓子でなんとか勘弁してください
東院さち
BL
ラズは城で仕える下級使用人の一人だ。竜を追い払った騎士団がもどってきた祝賀会のために少ない魔力を駆使して仕事をしていた。
突然襲ってきた魔力枯渇による具合の悪いところをその英雄の一人が助けてくれた。魔力を分け与えるためにキスされて、お礼にラズの作ったクッキーを欲しがる変わり者の団長と、やはりお菓子に目のない副団長の二人はラズのお菓子を目的に騎士団に勧誘する。
貴族を嫌うラズだったが、恩人二人にせっせとお菓子を作るはめになった。
お菓子が目的だったと思っていたけれど、それだけではないらしい。
やがて二人はラズにとってかけがえのない人になっていく。のかもしれない。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
歪の中のTrust
光海 流星
BL
人にはあまり言えない性癖を持つ健。
職場の友達に知られてしまいショックから記憶をなくす。
そして友達を好きになるが自分の性癖と葛藤する。
SM表現が含まれますので苦手な方は注意してください。
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました
ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。
タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる