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5 求める姿
しおりを挟む「フフ、フフフフフフフ……。」
寝言ならぬ、怪しい寝笑いをしているのは未だに夢の中のシェイン。
一日に一度、目の前で見ることが出来るそのお姿は、やはり一番心惹かれる。今、シェインの一番憧れの推しの人。
闇をはらい光を纏いながら近づいてくる、燃える様な赤い瞳に、一度は写してもらいたいと持てる限りの声を張っていたのは懐かしい思い出…
その光に夜動いていた物は鎮まり、夜が明けた事を知った物達は起き出すんだ。その瞬間がとても好きだった。
時折、あの方の燃える様な赤い瞳がその様をジッと見ていてくれている様にも感じて、嬉しくて嬉しくて思い切り枝葉を広げていたっけ……
会いたいなぁ…………また、一目でも………
*******
「うんにゃあぁぁ!!!」
深い眠りから、いきなり自分の身体が強制的に目覚めさせられてビックリして跳ね起きた!
まだまだ眠って夢の中にいたかったのに、この感覚は無視できない、自分自身を刺激された感覚だ。
途中で起こされてしまっては、最後のデザートを食べずに食事を強制終了させられたみたいで欲求不満!
まだ体内時計では休みの時間のはずなのに、如何やら旦那様がアレを押したらしい……
…恨みますよ……旦那様…食べ物(夢の)の恨みは…根深いですからね…!
その日のシェインは、ぬぼ~っという擬音が聞こえてきそうなほどの容姿と動きで、小屋?からゆっくりと顔を出してきた。
「あ、出てきたね?」
「おはよう?ございます。お食事をどうぞ?」
フワッと鼻をくすぐる良い匂い…
何故か、この部屋に居るはずのない旦那様とメアリーさんが見える…
「何の…………御用です?私はまだ……休み中では?」
小屋にかじり付きジッと使用人部屋にいるこの2人を見つめている様は警戒している小動物のようだ。
「クククッ………出ておいで?休み前の君とは打って変わって警戒心丸出しだね?」
「ガラット様お行儀が悪いですよ?お食事の時には静かに召し上がるものです。」
「フフッ今は無礼講でいいだろう?どうせ私達3人しか居ないのだから。」
何故にか、使用人部屋には似つかわしくないテーブルセットが置かれているし、何故かそのテーブルには彩り豊かな食事が所狭しと並べてある。
「さ、出ておいで?昨日から何も食べていないだろう?」
「いえ、要りません……水は飲んでますし休みの日にはそれで充分なんで……」
「シェイン……人の体はね、しっかりと口からご飯を食べなければ健康で居られないんだよ?さぁ、おいで?明日からまたここで働くんだろう?」
この姿を見られては嫌がられ、この小屋を見られては気味悪がられ、幾つものお屋敷を追われてきたっけ……
で、行き着く先は使用人にすこぶる評判の悪いここ、だった訳だが、何を隠そうこの2人ちっとも嫌がっている様子もない。
何故に?と疑問が飛ぶが、ニコニコと嬉しそうにしか笑っていない旦那様の表情は、珍しいもの見たさとか、馬鹿にした様なものがない。
わかった!とてつもなく人が良いんだ!疑う事も知らないから、危なっかしくてあんな噂が流れたんだ……。
「ええと?どんな噂かな?」
ふぇ!!口に出てた!ばっと口を押さえてしまう。
「何でもすると言ったよね?自分の身体を整える事も仕事のうちだよ?ちゃんと出来る様になったら特別休暇を考えてあげても良いからね。」
「…?!行きます!直ぐに出ます!着替えますのでしばしお待ちを!」
特別休暇の魅力は非常に強かった…給料上げる、よりシェインには威力がある。
小屋の中にもう一度ゴソゴソと入っていこうとすると、パシッと手をつかまれてしまった…
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