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50 誰の腕にいるのだと?
しおりを挟む「おはよう、シェインリーフ…」
輝くばかりの笑顔を見せて、殻の入り口からひょっこりと旦那様が覗き込んでいる。
「あれ?ここ…小鮒達は?あれ?なんで、旦那様が此処に?」
ホヤンとした目をしたままキョロキョロと周囲を見渡せば、ここは良く見知ったシェインの自室。
「…?旦那様……?扉を開けられたのですか?」
狭いシェインの空間に、ガラット王子はゆっくりと入って来た。
スルリと伸ばされた腕はさも当然とばかりにシェインをスッポリ包み込み、さらに全身で密着する。
「え?えぇ?旦那様?如何して?」
やっと頭がはっきりとして来たのか、シェインは、目をパチパチさせながら抱きしめてくるガラット王子を仰ぐ。
「其方の精霊石を持っているからな?これが望めば開けられるだろう?」
チュウ、と額に柔らかくて暖かい旦那様の唇が…
ガラット王子に瞳を覗き込まれて見つめ返せば、どんどんそれは赤く染まり輝きを増してくる。
あぁ、レーン様…
寝ていた心が一気に揺さぶられる。抱き込まれた身体から、暖かさと、香りと、肉体の躍動も感じて、どこに自分が居るのか叩き込まれる様に心に刺さり、嬉しい悲鳴をあげている。
ぎゅう、シェインも堪らず抱きしめ返す。
思えば、もうどれだけこの方の気配すら感じていなかったことか……
「其方のこの狭い城も時には悪くはないな?」
「??」
「この様に共に寄り添うには悪くない。」
「………」
優しく、サワサワと体の線をゆっくりと辿られる。
「凄い寝言だったが、どの様な夢を見ていたのだ?」
そうだった…旦那様は私が大きな兄弟の元に行けたのは旦那様の配慮だって事を私が知っている事を知らないんだ。
「…森の中の池の夢でした。」
「池?」
「そうです。底にはザリガニ達が住んでいるのですが、池のザリガニ達の頂点に立ったボスザリガニが、遊泳権を主張している小鮒に挑んでいたんです。あぁ!今頃は小鮒対ザリガニの頂上決戦だったのに…!」
「ちょ、頂上決戦?」
「はい!どちらが勝ったか気になるところですね!」
シェインの顔はワクワクと笑顔溢れ生き生きとしている。
そんな笑顔を見せられたなら、ガラット王子の表情もふわりと崩れるというものだ。
「アハハハハハ!!」
「だ、旦那様!?」
大きな声で笑ってる姿なんて見たことない…!どうしよう、可愛いかも……?素敵なものは一つも変わらず、可愛い姿も見れるなんて、凄い幸せ…
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