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58 ここでもですか?
しおりを挟むまたもや、失態をしてしまった。旦那様に不意を突かれたとはいえ、主人の前で泣くなんて…執事なのに………
しかし、執事として王城に来たものの、殆ど1日中する事もなし。王城には王城に勤める専属メイドやら侍従が山の様にいるので、私は今は用無し。主人に付き添い、ほぼ一日中のんびりと日向ぼっこ。
只今も日向ぼっこ真っ最中ですが、私は日差しの温かさに負けてカウチで横になって夢の中……
******
………譲れぬ、その様な事受け入れられるはずが無いだろう………
………何を言う、受け入れてもらわねば。各自回って受け持つ習いであっただろう?………
………次は我らの番か。待ちどうしいの………
サラサラサラサラと葉擦れの音と共に木々の声が聞こえて来る。
この時期になると何処の森でも起こり得る順番争いが今年もこの森でも繰り広げられている。
……いつも、同じね………
………かわらないね、飽きない?………
小さい精霊達がクルクル回りながら呆れた声を出している。
……でも、大切なんだよ?森を大きくする為に必要だものね………
新しい種や芽吹きが多ければ仲間も増える。森がそれだけ豊かになるんだ。
……新しい子、うれしい、たくさん?……
……なかま、ふえる、たくさん………
小さな精霊達も仲間は歓迎してくれるんだ。ウキウキとした声があちこちから聞こえてくる。
花がほころび咲く頃には、大きな立派な大木が立ち並ぶこの深い森ならではの迫力あるシーンが今から楽しみで仕方ない。
新しい命が生まれる事は、精一杯生き終えた小さな子達を讃えるのと同じ位祝福に満ちている事だから…
キラキラと輝きながら舞い上がる羽虫の精が、大きな風の季節が来る事を告げてくれてる。
その様子をシェインはうっとりと下から見上げるように見つめ続けていた。
………あの方にも、見せてあげたい………
命豊かな森の風景をこんな風に一緒に見続けて入られたら、物凄く幸せだと思う。
きっと、他には何も要らない…
*****
「やぁっ……!」
ビクッと身体が跳ねるくらいの感覚にびっくりして目を覚ました…!
「旦那様……?」
目の前の旦那様、は分かる。けれどどうしてお互い横になっているのか?自分が何処にいて、何をしていたっけ?頭の中の記憶を引っ張り出しても一緒に寝ていたわけではないとの結論をシェインは導き出した。
「バルコニーで寝入ってしまった其方を此処まで運んだのだ。起きるまで待とうかとも思ったが、此処に其方の分の晩餐も運ばせたのでな。」
怪訝そうに見上げているシェインの髪を愛しそうに梳きながらガラット王子は答える。
「旦那様、お願いですから普通に起こしてくださいませ。」
ほぅ、と息を吐きながら石を押される事で思い出される恥ずかしさが前面に出てしまって、気持ちを鎮めるのに大変そう。
「其方は私の物だと言っただろう?これを私に託したのも其方だ。呼びたい時に押させて貰うつもりだが?」
一人楽しそうにクスリと笑い、頬に口付けをしてくる旦那様が酷く愛しく思えて、シェインはそれ以上苦言を言う事が出来なかった。
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