[完結]そうきましたか。分かりました、最後まで愛し抜きます!

小葉石

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 絶対に、おかしい!

 家を売るだって?ローニス義兄さんとの思い出の家だろう?今までだったら絶対に手放そうとはしなかったはず…

 それよりも、自分の物を売って手放したとてもローニス義兄さんから貰ったものや、好きな物は手元に残そうとして来たじゃないか!

 男爵家と言っても決して裕福ではなかった我が家だ。少しばかり、懇意にしている商人に借金をしているのも大人達の会話から何となくは知ってしまった。初め、姉さんとローニス義兄さんの婚姻も借金の形に渋々しているのと思ったくらいだし。

 でもあの二人、仲良かったんだよなぁ…今更だけど。絶対に噛み合わない二人だと思っていたけどその裏では両想いだったみたいだし。早くにローニス義兄さんが逝ってしまって残念だけど、正直羨ましいと思っていたんだ。

 姉さんなんか、文句言いながらも子供の頃のローニス義兄さんが部屋に投げ入れて来た花壇の花を丁寧に拾ってはちゃんと生けてたじゃないか!子供の頃から好きだって事だろう?

 そんな二人の家を売る?誰が信じられるかっていうんだ!彼方のご両親だって…ローニス義兄さんの形見みたいな物だろうし……


 考え事をしながら黙々と歩いていたら我が家に着いた…姉さんの好きな、よくローニス義兄さんがこっそり抜き取っては姉さんの部屋に投げ入れていた花が、今も花壇に咲き誇っている。母さんが丹精込めて育てているのを、一体どんな気持ちで抜き取って投げ入れていたのさ?ローニス義兄さん…今となってはもう聞けないけど…


「あら、カイン?帰っていたのね?リンカはどうだった?此方へ帰って来るって?」

 今日も変わらず、花壇の手入れを忘れない…母さん、悲しむかな…

「やだ、カイン。なんて顔してるのよ?で、リンカは?体調はどうなの?良くないようなら私たちが行って連れ帰って来るわよ?」

「いやいや、元気そうだったよ?家の片付けを頑張ってるみたいだった。」

「片付けって言ったって……まだ、一週間じゃないの……」

 気を落としそうになる母の肩をそっと抱く。

 そう、まだ一週間。故人を忍んで泣き暮らしていても良いと思うし、誰も責めたりはしない。
 姉さん。まだ、ローニス義兄さんが逝ってから一週間しか経ってないんだよ?なのになんで貴方はそんなにやる気に満ちているのさ?ローニス義兄さんが急逝して、まさか喜んでいる?それとも…


 まさか、まさか、ね……


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