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しおりを挟むまさか、まさか…………!
姉さんに限って、そんな裏切りなんて、するはずがないよね?
あ~~~!!頭の中でグルグル、グルグル同じ考えが浮かんで離れない!
いや、もしそうだとしたら、姉さんは今喜んでいるってことか?ローニス義兄さんが逝ってしまって、やっと自由にできるから?
凄く落ち込んでいる様子もないし、意外にサバサバしてるし、喜んで荷物の整理までしちゃってるし、ここを離れて遠くに越すって言ってるし……全てが肯定しているみたいじゃないか~~!
どうする?どうする?誰かに相談するか?
いや、待て待て!まだ確定したわけじゃないよな?ただの強がりで何でもない風を装っているだけかも知れないし…今頃ベッドに潜って泣いているかもしれない……姉さん……可哀想に……
よし!決めた!!姉さんの様子を伺って、とんでもない事をしそうなら止めればいいんだ!とんでもないと言っても、責めるローニス義兄さんはいないんだけど……それでも、生きている時からのことなら、やはり止めなければ!ローニス義兄さんも可哀想だ!
よし!!明日、もう一度姉さんのところに行こう。手伝うのを口実に色々と探ればいいさ、うん!
******
「にっが~~~~い………」
ウェッとなりそうな位苦い薬を何とか飲み干して……大好きな濃厚蜂蜜ミルクティーを急いで口に運ぶ。
「はぁ。毎日の事だけど、こればっかりは早めに辞めたくなるほどキツイわ~~~」
全く、先生も容赦ないのよ…慈養強壮に良いとかで、更に苦い薬までおまけしてくれちゃって…舌までビリビリ痺れてきた…
ふぅ、さあ!やっとベッドから起きれたんだから、今日やる事をやらないと!
勢いよくベッドから降りて着替えを済ます。苦くて少し涙目になってしまった目はご愛敬よね。
〈ジリリリリリ〉
玄関のベルだわ。ニールさんね!!急がなきゃ!
慌てて降りて玄関を開けると、身長の高い中年の男が大きな荷物を持って立っていた。
「やあ!奥さん、こんにちは!お品物を持ってきましたよ?今時女性でこれに興味を持ってくれる人が中々居なくてね。旦那さんも嬉しいでしょうよ。」
「こんにちはニールさん。ふふ。喜んでもらえると良いんだけど。さ、どうぞ?」
ニールは町一番の釣竿職人。釣り好きのローニスが注文していた品が、今日届いたのだ。
「奥さんには、これかな?」
なる程、女性が持っても違和感ないくらいの重さに、握り心地ね。造りもしっかりしているし…
「やっぱりお目が高いね、奥さん。大物を釣るんじゃ無ければそれ位で十分さ。旦那さんのはこっちだから、大物は旦那さんに任せときな。」
黒塗りの光沢が美しく、スッと竿先まで真っ直ぐ。力を加えれば柔軟にしなり、ある程度の力には負けない程の強度もある。
「これ、本当に良い物なのね。出来る事なら、私もこれで魚を釣り上げてみたいものだわ。」
「いゃ~これで釣るには力がいるからね。ただでさえ女性の腕では難しいよ。」
そうなの?それは残念。大物を釣り上げたらきっとみんなびっくりするでしょうに~。
う~ん、と悔しがっている私の背中からカインの声がした。
「姉さん?釣竿を買うの?」
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