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4 森を進めば
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生き残りたかった俺は、へばりつく翔を足蹴にして握りやすい木の棒をゲットした。
どんどん暗くなる周囲の様子に警戒しながら身を隠す所を探そうとするが、建物なんて見当たらないし洞窟みたいな物も無い。まばらに生えてる木々の間に道らしき物もなくて一歩一歩探りながら歩いていくしかなかった。日が落ちて月明かりが照らしてくれていたのだけが救いだったな……
「おい、翔……もう何も言わないから、すがりつくのだけは良せ…いざという時に俺もお前も身動きできないだろ?」
こっちが必死になってるっていうのに、未だにくっつきスタイルを解こうとしない翔に辟易としてくる。動きにくいし、足元が良く見えない状況下でもう何度も転びそうにもなっている。
「晴と離れたく無い…」
知るか!!………くそぅ……!!
「だったらほら!!手を繋げ!これだったら離れた事にならんだろうが!このままじゃ転んで怪我するぞ!?」
ほら!と棒を持っていない方の手を差し出す。
「手…晴と手をつなげるのか…?おれは幸せ者だな…」
「おい…大丈夫か……?本気で何言ってんの?」
自分から手をつなぐ提案をしたにもかかわらず、翔の言動が理解不能……誰が男の幼馴染と手を繋いではにかみ笑顔で喜ぶ奴がいるんだよ?
あ、目の前にいたわ………完全に冷めた目で見てたけど、ガサリッと背後でなった草を踏み締める音で一気に現実に引き戻された。
「おい……何かいねぇ?」
ヤバイ…本気で足が震えるかも……
「俺には晴が居てくれればそれでいい。」
お前……もう黙れ…………
ガサッ…カサッ…カササッ…
背後でしている音は軽くて、いても小型の何かだ…
片手に持っている棒をグッと握り直す。
何でガタイの良い翔を庇いつつ道を行かなきゃならんのだ!守ってもらいたいわけじゃないが、翔よ、しっかりしてくれよ~……!
パキッ!ガサガサ!!
急に音が近くなる…!
情けない事に、自然とビクッと身体が跳ね上がってしまった………くそ!バッと音の方を向いた時にフワリと身体が宙に浮く…
「え……?」
気がついたら、目線が高い…え?自分の状況がイマイチ良く分からない……
「晴…大丈夫か?」
翔の声がすぐ側で聞こえる…がっしりとした腕が俺の身体に回ってる…
抱っこ…?翔に抱っこされてんの………?
下半身に腕が回ってしっかりと抱え込まれてるのが分かった。必然的に俺の上半身は翔の肩に預ける形になってるし。
「おま…本当に……何?」
もう脱力さえ感じてしまう…
「晴が怖がってた様だったから…あれ、ウサギみたいだ…まだ怖い?」
「ウサギ…!?」
茂みから出て来たと思われた物は、月明かりにも白ってわかる可愛らしいウサギだった。
「なんだ…ウサギ、か…」
さっきまでの緊張がどっと疲れを誘って思わず翔の肩に自分から腕を回してしまった。
「晴……このまま、抱いて行こうか?」
「あぁ?」
何を言ってやがるんだ?
「降ろせ…!」
喧嘩じゃあ絶対に勝てないの分かってるのに、何で喧嘩越しになっちゃうのか……俺を見上げている翔の顔はうっすらと微笑みさえ湛えていて本当に調子が狂う。
「月の光の中でも、晴は綺麗だな……」
「……………!?」
ゾワッと背筋に寒気が走る……
幼馴染にそれも男にそんな事は言われた事ない…どうしたの?本気で翔の頭を心配してみる。
「さっき、どっか打ったか?痛い所ない…?」
「晴…優しいな…」
満面の、整った顔の笑顔って結構な見ものだな。こんなに間近で見ることなかったから気がつかなかったけど、一見の価値がある事だけは分かった…
「翔…悪い事は言わない…ここから出たら、一番最初に病院に行くぞ………」
じゃなきゃこいつの両親に合わせる顔がない…一緒に居合わせただけだけど、こんなのを返すって申し訳ないしかもう出てこなかった……
どんどん暗くなる周囲の様子に警戒しながら身を隠す所を探そうとするが、建物なんて見当たらないし洞窟みたいな物も無い。まばらに生えてる木々の間に道らしき物もなくて一歩一歩探りながら歩いていくしかなかった。日が落ちて月明かりが照らしてくれていたのだけが救いだったな……
「おい、翔……もう何も言わないから、すがりつくのだけは良せ…いざという時に俺もお前も身動きできないだろ?」
こっちが必死になってるっていうのに、未だにくっつきスタイルを解こうとしない翔に辟易としてくる。動きにくいし、足元が良く見えない状況下でもう何度も転びそうにもなっている。
「晴と離れたく無い…」
知るか!!………くそぅ……!!
「だったらほら!!手を繋げ!これだったら離れた事にならんだろうが!このままじゃ転んで怪我するぞ!?」
ほら!と棒を持っていない方の手を差し出す。
「手…晴と手をつなげるのか…?おれは幸せ者だな…」
「おい…大丈夫か……?本気で何言ってんの?」
自分から手をつなぐ提案をしたにもかかわらず、翔の言動が理解不能……誰が男の幼馴染と手を繋いではにかみ笑顔で喜ぶ奴がいるんだよ?
あ、目の前にいたわ………完全に冷めた目で見てたけど、ガサリッと背後でなった草を踏み締める音で一気に現実に引き戻された。
「おい……何かいねぇ?」
ヤバイ…本気で足が震えるかも……
「俺には晴が居てくれればそれでいい。」
お前……もう黙れ…………
ガサッ…カサッ…カササッ…
背後でしている音は軽くて、いても小型の何かだ…
片手に持っている棒をグッと握り直す。
何でガタイの良い翔を庇いつつ道を行かなきゃならんのだ!守ってもらいたいわけじゃないが、翔よ、しっかりしてくれよ~……!
パキッ!ガサガサ!!
急に音が近くなる…!
情けない事に、自然とビクッと身体が跳ね上がってしまった………くそ!バッと音の方を向いた時にフワリと身体が宙に浮く…
「え……?」
気がついたら、目線が高い…え?自分の状況がイマイチ良く分からない……
「晴…大丈夫か?」
翔の声がすぐ側で聞こえる…がっしりとした腕が俺の身体に回ってる…
抱っこ…?翔に抱っこされてんの………?
下半身に腕が回ってしっかりと抱え込まれてるのが分かった。必然的に俺の上半身は翔の肩に預ける形になってるし。
「おま…本当に……何?」
もう脱力さえ感じてしまう…
「晴が怖がってた様だったから…あれ、ウサギみたいだ…まだ怖い?」
「ウサギ…!?」
茂みから出て来たと思われた物は、月明かりにも白ってわかる可愛らしいウサギだった。
「なんだ…ウサギ、か…」
さっきまでの緊張がどっと疲れを誘って思わず翔の肩に自分から腕を回してしまった。
「晴……このまま、抱いて行こうか?」
「あぁ?」
何を言ってやがるんだ?
「降ろせ…!」
喧嘩じゃあ絶対に勝てないの分かってるのに、何で喧嘩越しになっちゃうのか……俺を見上げている翔の顔はうっすらと微笑みさえ湛えていて本当に調子が狂う。
「月の光の中でも、晴は綺麗だな……」
「……………!?」
ゾワッと背筋に寒気が走る……
幼馴染にそれも男にそんな事は言われた事ない…どうしたの?本気で翔の頭を心配してみる。
「さっき、どっか打ったか?痛い所ない…?」
「晴…優しいな…」
満面の、整った顔の笑顔って結構な見ものだな。こんなに間近で見ることなかったから気がつかなかったけど、一見の価値がある事だけは分かった…
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