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第16章:「アーサー」
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「2つめはね、この組織のことなんだ」
サラがどこからかコーヒーとオレンジジュースを運んできてくれた。
「あぁ、喜多嶋さんは「地球連邦軍地球財産保護部」って例えてましたけど・・・本当は何なんですか?」
レオンはサラに出されたコーヒーを含みながらゆっくりそれを言葉にした。
「この組織の正式名称は・・・・「ARTHUR(アルトゥール)」。通称「アーサー」って呼ばれてる」
「どういう意味なんですか?何かの略ですか?」
「「アーサー」は元々・・・うんまぁ、それを話し始めると途方もなく長い話になるからまた今度にしようか。サラにも時間を無駄にしてるって怒られそうだし。くく」
「え?」
「だからおおまかな話を先にするよ。言い方はいろいろだけど、「アーサー」は所謂アンダーグラウンドな組織でね」
アンダーグラウンド?
って、なんだ?
俺がよくわかってないのがレオンにもサラにもわかったようで。
2人は顔を見合わせて、どこからどう説明しようか無言で相談してるのが俺にもわかる。
この2人、サイキックかなんかか?
すると美和が隣から俺のシャツの裾をくぃっとひっぱった。
「杏」
「ん?」
「「アーサー」に関わって行けば、次第にいろいろと細かいこともわかってくるから大丈夫。全てをここで説明するのはムリだから、徐々に、ね?」
「ん―――、まぁ、美和がそういうなら」
「ただね、いまちゃんと説明しておかないといけないことが確実にひとつあって・・・それは「アーサー」の存在意義に関わることだから」
存在意義?
レオンとサラは静かに美和の話に耳を傾けている。
きっと美和が「アーサー」をどう俺に説明するのか、興味深いんだろう。
「私たちが住んでるこの地球にはね・・・二つの世界・・・わかりやすく言うと、表と裏の世界があるの」
?
「杏が今まで住んできた世界、見てきた世界は全て「表」」
「うん」
「普段目にするニュースも会話も、全部「表」」
「うん」
「「表」っていうか・・・「表面的な世界」、かな?」
「そうね、その表現が適切かも」
サラがそう言って頷いた。
「でもね・・・それが全てだと思う?」
「それはつまり・・・俺が見えてるモノは嘘かもしれないってこと?「表向き」ってこと、を言いたいの?」
「その通りだよ」
レオンがそう答えた。
「全てが嘘だとは言わないわ。キョウの周囲で起こっていること・・・例えば学校のこと、勉強のこと、一緒に住んでる人達のこと、それは全て事実で、本当のことよ」
サラはちょっと緊張したここの雰囲気を和ますかのごとく、そう言ってほほ笑んだ。
「でもね」
再び、美和に注目が行く。
「それが全てじゃないの・・・一般の人達が知らされない事実もたくさんあるんだよ」
「例えば?」
「いい質問だ」
レオンはそう言うと、テーブルに置いてあったリモートコントロールのスイッチを押した。
「これをみてごらん」
真っ白な壁に映し出された地球。
星の点在する真っ黒な宇宙空間でゆっくり回転する。
「この地球上にいま、何カ国存在するか知ってる?」
そんなの簡単。
パラパラめくる地理の教科書に書いてあった。
「国連加盟国は193だけど、承認されてない国も入れると206」
「さすがだね。その通りだよ。まぁ細かく見ていくともっと多いんだけど・・・でね、この国々は政治や市場の面で協力関係を結んでるところもあるし、敵対してるところもあるよね?」
そこまで聞いて俺は、喜多嶋さんが言うところの「地球連邦軍」という単語を再び思い出した。
「連邦」―――それはつまり。
2つ以上の国や州が1つの主権の下に結合して形成する国家のこと。
これもまた、パラパラめくってる教科書のどこかに書いてあった。
ってことは。
「つまり「アーサー」は地球上にある全ての国家をまとめてる、ってことですか?」
するとレオンはニヤリと笑った。
正解か?
「ブブ―。違うよ~。くくっ」
「え?違うんですか?!」
「いい線いってたわ!」
サラは俺にウィンクした。
「もういいじゃないですか。答え、教えてください。俺にはわかんないですよ、そんな難しいこと」
「じゃ、もうひとつ質問」
「はい」
「さっき、「地球上」には約200の国々が存在すると言ったけど・・・」
「はい」
「「地球内」にはいくつあると思う?」
は?
「地球内」?
「それって最大のヒントじゃない?」
美和が隣で爆笑してる。
「いくつって・・・いくつもあるんですか?」
「ないよ」
へ?
「ひとつしかない・・・それが「アーサー」」
「・・・」
「正確にいうと「地球上」にある国々と同等じゃないけど・・・ま、そこは方便として。分かりやすかったでしょ、この説明?」
「・・・じゃ、国じゃないとしたら・・・なんなんですか「アーサー」って」
「なんで「アーサー」が国じゃないのか・・・それはね」
美和がそれに続けた言葉は驚くべきものだった。
「「アーサー」が「未来の地球」のために存在する組織・・・だからだよ」
「ううん・・・違う。「アーサー」は・・・「新しい地球」になるために生まれた組織、集団なの」
サラがどこからかコーヒーとオレンジジュースを運んできてくれた。
「あぁ、喜多嶋さんは「地球連邦軍地球財産保護部」って例えてましたけど・・・本当は何なんですか?」
レオンはサラに出されたコーヒーを含みながらゆっくりそれを言葉にした。
「この組織の正式名称は・・・・「ARTHUR(アルトゥール)」。通称「アーサー」って呼ばれてる」
「どういう意味なんですか?何かの略ですか?」
「「アーサー」は元々・・・うんまぁ、それを話し始めると途方もなく長い話になるからまた今度にしようか。サラにも時間を無駄にしてるって怒られそうだし。くく」
「え?」
「だからおおまかな話を先にするよ。言い方はいろいろだけど、「アーサー」は所謂アンダーグラウンドな組織でね」
アンダーグラウンド?
って、なんだ?
俺がよくわかってないのがレオンにもサラにもわかったようで。
2人は顔を見合わせて、どこからどう説明しようか無言で相談してるのが俺にもわかる。
この2人、サイキックかなんかか?
すると美和が隣から俺のシャツの裾をくぃっとひっぱった。
「杏」
「ん?」
「「アーサー」に関わって行けば、次第にいろいろと細かいこともわかってくるから大丈夫。全てをここで説明するのはムリだから、徐々に、ね?」
「ん―――、まぁ、美和がそういうなら」
「ただね、いまちゃんと説明しておかないといけないことが確実にひとつあって・・・それは「アーサー」の存在意義に関わることだから」
存在意義?
レオンとサラは静かに美和の話に耳を傾けている。
きっと美和が「アーサー」をどう俺に説明するのか、興味深いんだろう。
「私たちが住んでるこの地球にはね・・・二つの世界・・・わかりやすく言うと、表と裏の世界があるの」
?
「杏が今まで住んできた世界、見てきた世界は全て「表」」
「うん」
「普段目にするニュースも会話も、全部「表」」
「うん」
「「表」っていうか・・・「表面的な世界」、かな?」
「そうね、その表現が適切かも」
サラがそう言って頷いた。
「でもね・・・それが全てだと思う?」
「それはつまり・・・俺が見えてるモノは嘘かもしれないってこと?「表向き」ってこと、を言いたいの?」
「その通りだよ」
レオンがそう答えた。
「全てが嘘だとは言わないわ。キョウの周囲で起こっていること・・・例えば学校のこと、勉強のこと、一緒に住んでる人達のこと、それは全て事実で、本当のことよ」
サラはちょっと緊張したここの雰囲気を和ますかのごとく、そう言ってほほ笑んだ。
「でもね」
再び、美和に注目が行く。
「それが全てじゃないの・・・一般の人達が知らされない事実もたくさんあるんだよ」
「例えば?」
「いい質問だ」
レオンはそう言うと、テーブルに置いてあったリモートコントロールのスイッチを押した。
「これをみてごらん」
真っ白な壁に映し出された地球。
星の点在する真っ黒な宇宙空間でゆっくり回転する。
「この地球上にいま、何カ国存在するか知ってる?」
そんなの簡単。
パラパラめくる地理の教科書に書いてあった。
「国連加盟国は193だけど、承認されてない国も入れると206」
「さすがだね。その通りだよ。まぁ細かく見ていくともっと多いんだけど・・・でね、この国々は政治や市場の面で協力関係を結んでるところもあるし、敵対してるところもあるよね?」
そこまで聞いて俺は、喜多嶋さんが言うところの「地球連邦軍」という単語を再び思い出した。
「連邦」―――それはつまり。
2つ以上の国や州が1つの主権の下に結合して形成する国家のこと。
これもまた、パラパラめくってる教科書のどこかに書いてあった。
ってことは。
「つまり「アーサー」は地球上にある全ての国家をまとめてる、ってことですか?」
するとレオンはニヤリと笑った。
正解か?
「ブブ―。違うよ~。くくっ」
「え?違うんですか?!」
「いい線いってたわ!」
サラは俺にウィンクした。
「もういいじゃないですか。答え、教えてください。俺にはわかんないですよ、そんな難しいこと」
「じゃ、もうひとつ質問」
「はい」
「さっき、「地球上」には約200の国々が存在すると言ったけど・・・」
「はい」
「「地球内」にはいくつあると思う?」
は?
「地球内」?
「それって最大のヒントじゃない?」
美和が隣で爆笑してる。
「いくつって・・・いくつもあるんですか?」
「ないよ」
へ?
「ひとつしかない・・・それが「アーサー」」
「・・・」
「正確にいうと「地球上」にある国々と同等じゃないけど・・・ま、そこは方便として。分かりやすかったでしょ、この説明?」
「・・・じゃ、国じゃないとしたら・・・なんなんですか「アーサー」って」
「なんで「アーサー」が国じゃないのか・・・それはね」
美和がそれに続けた言葉は驚くべきものだった。
「「アーサー」が「未来の地球」のために存在する組織・・・だからだよ」
「ううん・・・違う。「アーサー」は・・・「新しい地球」になるために生まれた組織、集団なの」
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