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たいけみお

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第70章:「フローチャートII:扉を開く鍵」

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TRRRRRRRRRRRRRRRRR


「スティーブ?」

「あぁ、そっちは大丈夫か?」



そう聞かれたけれど、

もちろん今自分に起こっていることを

「今」スティーブに話すつもりはない。



「大丈夫。その確認で電話くれたの?」

「それもあるけど・・・実は急に出かけなきゃいけなくなったんだ。今、空港に向かってる」



それは、今の俺には都合がいい。

だけど、なんか変だ。

どうしたんだ、急に。



俺達のマンションからすぐの場所にあるこの大学。

それなのに、顔も出せないくらい急いでる、ってこと、だよな?



「仕事?探してる人が見つかったの?」

「いや、そういう訳じゃないんだけど・・・たぶん2-3日で戻れるから」



アーサーの人間は嘘は吐かない。

だけど、言えないことは言わない。

そう言っていた。

それはきっと。



―――信頼してるから、敢えて言いたくないこと、言えないことを

ムリに聞くようなこともしない。

相手を尊重する、ってことでもあるんだと、

俺は思う。




「心配しなくても俺は大丈夫。また連絡入れてよ」

「あぁ。オマエの食事のこととかはデイヴィッドに言っておくから。現金もカードも持ってるな?」

「あはは。大丈夫だよ。食事なんてサプリメントあるからいらないし、他になんか食べたくなったら買いに行くから」


「あぁ。なんかあったらすぐに連絡しろよ」

「わかった。気を付けて」

「ん、じゃあな」



何が起こったんだ?

でも、とりあえず今は。

このサーバーの解読に成功しなければ。

―――スティーブがいないうちに。



俺はインストールしたソフトウェアを立ち上げ、

作業を再開した。





―――2時間後。

まだ、解読できない。



―――5時間後。

自分で作ったとはいえ、よく出来てるなと感心する。





俺の記憶が正しければトレーニングでは、

一般的なものであれば、俺は1時間あればセキュリティを突破していた。

なのに、まだ、解読できていない。



―――10時間後。

例の、数字2つと9つの単語のコンビネーションは既に全てトライした。

でもまだ、突破できていない。




おそらく・・・

何かを見落としている。




―――24時間後。


その間、デイヴィッドが一度連絡をくれたけど、

作業中だからと言って、一人にさせてもらった。



天井を見ると、たまにエネルギーの塊が見える。

アーサーメンバーもたまに俺のチェックに来てる・・・

スティーブと一緒の時には見えなかった影。



まぁ、俺の無事だけを確認しに来てるのだろうし、

何をしてるのか具体的にはわからないだろう。



というか、絶対に何をしてるのかまでは、チェックしてないだろうけどな。

そんなことを俺にしてたら、

レオンの信用、丸つぶれだ。




はぁ。


一度休憩入れるか。

俺はランニングマシーンに向かった。




スピードを上げ、無の境地に入る。

しばらく走り続け・・・そして、ふと思い浮かんだのは。




「もしかしたら・・・」

俺はゆっくり足を止めた。



天井を見上げたけど、影は見えない。




だから俺は・・・

左腕の絆創膏を外し・・・

そして呟いた。





「ミワ」





すると。




再び・・・

今度は青ではなく、黄色の光が点滅しはじめた。


「やっぱり・・・」





「ミワ」は

全てのキーワードなんだ。

きっと。




そこでまた、俺は疑問に思う。





なぜ突然、「3月25日の午前0時過ぎ」に点滅し始めたのか。

明らかに俺がこれを俺の腕に仕組んだのは「事故」に遭う前。

俺はその「事故」に遭うなんて知らなかったはず。

ましてやパルドゥルースに来るなんて想像もしなかったと思う。



その「事故」に遭わなくても、

「3月25日の午前0時過ぎ」になれば点滅するようにしてたのか?

毎年その日、その時間になったら?

時差があっても?

―――わからない。



でも。

俺はとりあえず、俺の左腕で光る黄色の点滅をカウントしはじめた。

前の、青い点滅とは明らかに違う回数。





そして。





それは突然、赤の点滅に変わる―――。





そして、しばらくしてまた。





それは突然、白の点滅に変わった―――。




それらを記憶しながら点滅を見つめ続ける俺。

すると点滅は再び、黄色に戻った。





「なるほど、な・・・」





思うに。

これが3つのキーワード。





そしておそらく。

これは完全にランダム。



どういう風にそれを設定したのかは覚えてないが、

そのランダムなコンビネーションに俺のサーバーはきっと対応できてる。



だから、次回またサーバーに入りたいときや、

ログインに失敗した時には、

また新たに光を点滅させなければならない・・・

と、思う。


そして俺は、再びその3種類の点滅を確認してから呟いた。


「ミワ」





予想通り、

点滅は止まった。




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