21 / 21
御馳走
【透明エイリアン来襲、女子高生ハンターいただきます】
果林はJK制服姿で住宅街の路上を歩いていた。背中には、ギターケースを抱えて。学校帰りの軽音楽部といういでたちだ。
「ぎゃああああああっ!」
曲がり角の向こうから、悲鳴が聞こえた。果林は駆け出して、十字路まで来ると左手を向いた。
スーツ姿の男性がアスファルト上に倒れている。白目を剥いたまま、こと切れていた。
「……!」
何かがいる。果林は気配を察知して、今来た道を急いで戻り始めた。どこへ行くべきか、見回す。人家はまずい。公園のような開けた場所も。ちょうどいいところに、町工場の倉庫があった。
鍵のない鉄製のドアが横にスライドした。中に入ると、無人。即座に閉めた。
準備をし、物陰から様子をうかがいながら、じっと待つ。
ドアが開いた。外には誰もいない。ドアが閉まり、足音だけが響く。姿の見えない誰かが歩いているのだ。まるで透明人間のように。
やつらは人間を刈る。我々は獲物。果林も先ほどの死体の男性も、餌なのだ。
空のかなたから飛来し、地上に舞い降りてくる。特殊なシールドを全身に装着しており、人類には、やつらの姿は目視できない。
床上五センチに張った横一本のピアノ線に、何かが引っかかった。やつの足だ。
果林は虚空に向かって、白い粉を盛大に撒いた。
小麦粉にまみれた人間大の生物が浮き彫りになった。二足歩行の巨大バッタのような気色悪い害虫。
「くたばれ!」
果林はギターケースの中から日本刀を取り出し、鞘を投げ捨てると、白塗りモンスターに向かって刃を振り下ろした。やつはハンティング用の大剣で受け止めた。
火花が散る。
果林が何度も打って出るが、地球上にはない物質で作られた剣には歯が立たなかった。逆に果林の日本刀が根元から折れてしまった。
「クソ!」
丸腰でひざまずいた果林は見返した。やつらのご馳走になるのか。
モンスターが振り下ろしてくる。果林はよけることなく、両の手のひらでパッと挟んで受け止めた。
真剣白刃取り。
「やあっ!」
挟んだままねじり伏せ、相手を横転させた。そして、モンスターの大剣を奪い取る。
「いただき!」
大剣を横に薙ぎ払った。化け物の首が撥ね飛び、胴体が崩れ落ちた。
「本日の食材、ゲット……」
果林は満足そうな笑みを浮かべ、白い粉まみれの死骸を見下ろした。
このモンスターは美味である。カニやエビのような味わい。これがグルメ通で話題になり、高値で売れた。しかも、やつらは次々とこの地球へとやってくる。我々の食糧になることも知らずに。
倉庫の外へ出た果林は、視線を空へ向けた。
「さあ、もっと来い!」
ハンターの瞳は、きらきらと輝いていた。
(了)
果林はJK制服姿で住宅街の路上を歩いていた。背中には、ギターケースを抱えて。学校帰りの軽音楽部といういでたちだ。
「ぎゃああああああっ!」
曲がり角の向こうから、悲鳴が聞こえた。果林は駆け出して、十字路まで来ると左手を向いた。
スーツ姿の男性がアスファルト上に倒れている。白目を剥いたまま、こと切れていた。
「……!」
何かがいる。果林は気配を察知して、今来た道を急いで戻り始めた。どこへ行くべきか、見回す。人家はまずい。公園のような開けた場所も。ちょうどいいところに、町工場の倉庫があった。
鍵のない鉄製のドアが横にスライドした。中に入ると、無人。即座に閉めた。
準備をし、物陰から様子をうかがいながら、じっと待つ。
ドアが開いた。外には誰もいない。ドアが閉まり、足音だけが響く。姿の見えない誰かが歩いているのだ。まるで透明人間のように。
やつらは人間を刈る。我々は獲物。果林も先ほどの死体の男性も、餌なのだ。
空のかなたから飛来し、地上に舞い降りてくる。特殊なシールドを全身に装着しており、人類には、やつらの姿は目視できない。
床上五センチに張った横一本のピアノ線に、何かが引っかかった。やつの足だ。
果林は虚空に向かって、白い粉を盛大に撒いた。
小麦粉にまみれた人間大の生物が浮き彫りになった。二足歩行の巨大バッタのような気色悪い害虫。
「くたばれ!」
果林はギターケースの中から日本刀を取り出し、鞘を投げ捨てると、白塗りモンスターに向かって刃を振り下ろした。やつはハンティング用の大剣で受け止めた。
火花が散る。
果林が何度も打って出るが、地球上にはない物質で作られた剣には歯が立たなかった。逆に果林の日本刀が根元から折れてしまった。
「クソ!」
丸腰でひざまずいた果林は見返した。やつらのご馳走になるのか。
モンスターが振り下ろしてくる。果林はよけることなく、両の手のひらでパッと挟んで受け止めた。
真剣白刃取り。
「やあっ!」
挟んだままねじり伏せ、相手を横転させた。そして、モンスターの大剣を奪い取る。
「いただき!」
大剣を横に薙ぎ払った。化け物の首が撥ね飛び、胴体が崩れ落ちた。
「本日の食材、ゲット……」
果林は満足そうな笑みを浮かべ、白い粉まみれの死骸を見下ろした。
このモンスターは美味である。カニやエビのような味わい。これがグルメ通で話題になり、高値で売れた。しかも、やつらは次々とこの地球へとやってくる。我々の食糧になることも知らずに。
倉庫の外へ出た果林は、視線を空へ向けた。
「さあ、もっと来い!」
ハンターの瞳は、きらきらと輝いていた。
(了)
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
