英雄に捨てられた平民は王子に拾われる

工事巴

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変わってしまった英雄

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 ルーデシア王国は隣国との戦争を数か月にわたって行っており、今日やっとその戦争が終幕した。
 戦争に、向かった恋人のアレスが返ってくるのを待つため、私は門のそばで待機している。

 しばらくして、戦争に向かっていた騎士たちが国へと帰ってきた。私は門を通る騎士の中から必死に自分の恋人を探した。

 「あっ、アレス!」

 私は騎士の中から恋人を見つけ、駆け寄り抱き着く

 「よかったよぉ~、生きててよかったよぉ~」

 アレスを見つけた瞬間、今まで考えないようにしていた死というものが一気に安堵に変わり思わず涙が流れる。

 「あ、あぁフィア…ただいま」

 アレスは戸惑っているのか、質素な返事を返した。
 すると、横にいたアレスの友人であろう騎士が話しかけてきた。

 「あれ、もしかしてアレスの恋人か? こいつの戦果聞いたら驚くぜぇ! なんと敵将の首打ち取ったんだぞ! 英雄だよ英雄! この国から英雄が誕生したんだぜ!」

 「え、すごいわアレス! けど、そんな危ないことしないでいてくれた方が私は嬉しいかな」

 友人の騎士と私は軽く笑いながら戦争のことについて聞く。
 しかし、そんな中アレスは終始静かであった。



 敵将を取ったアレスは王国で多大な報酬を貰い、大きな屋敷と大金を受け取った。しかし、いきなり住むわけにもいかず、とりあえずは私と一緒に住んでいる家に帰る。

 「あんな大きなお屋敷貰っても、私一人で掃除できるかなぁ~」

 「あぁ」

 「そういえば、婚約はいつしよっか、私は両親がいないからいいけどアレスの親にはあいさつしに行った方がいいよねきっと」

 「あぁ」

 「……アレス、もしかして具合でも悪いの?なんだか元気ないけど」

 返事がずっと淡泊なアレスに、どこか具合が悪いのかと心配する。
 しかし、顔色はいたって良好だ。
 しばらくアレスの方を見ているとアレスと目が合った。

 「あのさ、迷惑なんだけど」

 「え、」

 「俺が死に目に合いながら戦果を挙げて手に入れた報酬を我が物顔で語るのやめてくれないか?」

 「え、あ、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど。」

 「はっきり、言うけど。国を救った英雄の俺と、ただの平民である君が釣り合うわけないだろ。少しは考えてくれよ」

 「そ、そんな!なんで急にそんなこと言うの!私たち戦争が終わったら婚約するって約束したじゃない!あなたがそう言ってくれたんじゃない!」

 「俺は今や貴族とも結婚できる立場なわけ、わざわざ君と婚約するわけないだろ。」

 「そ、そんな」

 「わかったなら出てってくれないか、ここは俺のお金で買った家だ」

 冷たいまなざしでこちらを見るアレスはとても先ほどの言葉が冗談でないことを表している。とっさに言われた言葉を受け入れる準備もできていないせいで、何も考えることができず、ただ言われた通り家を出ていく。

 「あぁ、私はその程度だったんだ、」
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