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人妻になった元担任の口唇に 1
【2】
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サトルは、小林先生と呼んだ女性に導かれるまま、彼女が予約していたという個室へと案内された。
外の喧騒が僅かに遠のいた静かな空間で、向かい合うように腰を下ろす。
柔らかな照明に照らされた卓の上には、すでに用意されたグラスが二つ並んでいる。
かつて教壇の上に立っていた人と、同じ目線で、同じ酒を前にして座っている――その事実が、胸の奥に微かなざわめきを生む。
「それじゃあ……本当に久しぶりの再会を祝して、ね」
小林先生はそう言って、昔と変わらぬ穏やかな声でグラスを掲げた。その仕草に、反射的にサトルも応じる。
「「カンパーイ」」
グラス同士が軽く触れ合い、澄んだ音が小さく響く。
二人は示し合わせたわけでもないのに、そのまま一息に酒を飲み干し、喉を通り過ぎていく熱に、同時に息をついた。
「ぷはー……やっぱり、誰かと一緒に飲むお酒は美味しいわね」
そう言って微笑む彼女の横顔を見て、サトルはふと、過去の記憶が静かに呼び覚まされるのを感じた。
小林先生――小学生の頃、副担任として教室を支え、若く、親しみやすく、それでいて生徒一人ひとりをよく見てくれる先生だった。
男女問わず人気があり、困ったときには必ず味方になってくれる存在だったことを、今でもはっきりと覚えている。
六年生の夏が終わる頃、結婚と同時に産休、育休へと入られ、そのまま会えずに卒業してしまった。
きちんとした別れも言えなかったその出来事は、成長した今になっても、どこか胸の奥に残る小さな寂しさとして息づいている。
「ふふ……担当していた生徒と、こうしてお酒を飲む日が来るなんて、本当に不思議な気分だわ」
「俺もです。でも……覚えていてもらえたのは、正直うれしいです」
そう言うと、小林先生は少しだけ目を細め、懐かしむような表情を浮かべた。
「もちろん覚えているわよ。顔に面影も残っているし……それに、サトルくんは昔から、ちょっと印象に残る子だったもの」
「印象、ですか?」
問い返すと、彼女は小さく笑い、遠い記憶を辿るように視線を宙へ向けた。
「ほら、サトルくんがプールの授業があった日の時に、ラップタオル(ポンチョのように頭が出せて身体を隠すように着替えことができるタオル)の姿のままで、突然廊下に飛び出して、バッとすっぽんぽんの裸を見せて、変質者ごっこしていたことがあるでしょう」
「あっ‥‥」
言われた瞬間、すっかり忘れていたはずの記憶が、アルコールに後押しされるように蘇る。恥ずかしさが遅れて込み上げ、サトルの頬は先ほどよりもさらに熱を帯びた。
「その時に見てしまった小学生とは思えない大人顔負けの大きさのアソコが目に焼き付いちゃってね。だから、サトルくんのことはよ~く覚えているのよ。あっ! まさか大人になっても、そんなことをしていないわよね?」
「す、する訳ないよ!! そんなことしたら、捕まるし!?」
慌てて答えると、彼女は安心したように微笑んだ。
「あらあら、ちゃんと羞恥心と常識を身に着けてくれているのね、サトルくんも大人になったのね‥‥。今だから言うとね、サトルくんの立派なアソコを見て、すっごく興奮しちゃったのね。息子のムスコも、いつかあんな風に立派になるのかな‥‥」
その一言に、教師としての視点と、年上の女性としての視線とが、微妙に重なっているのをサトルは感じ取る。酔いのせいか、彼女の言葉もどこか柔らかく、距離が近づいたように思えた。
「……あ、今の言い方は、ちょっと教師っぽすぎたかしら」
そう言って苦笑する彼女に、サトルは思わず首を振る。
「いえ……そんなふうに覚えてもらっていたって思うと、なんだか光栄です」
口にしてから、自分でも少し踏み込みすぎたかと思う。だが、今夜は酒の勢いもあり、言葉が素直に外へ流れ出てしまう。
「ふふ……本当に、もう」
小林先生はそう言って、軽く受け流すように笑い、グラスに新しい酒を注いだ。その仕草は、かつての「先生」と、今目の前にいる「一人の女性」との境界を、静かに曖昧にしていくようだった。
外の喧騒が僅かに遠のいた静かな空間で、向かい合うように腰を下ろす。
柔らかな照明に照らされた卓の上には、すでに用意されたグラスが二つ並んでいる。
かつて教壇の上に立っていた人と、同じ目線で、同じ酒を前にして座っている――その事実が、胸の奥に微かなざわめきを生む。
「それじゃあ……本当に久しぶりの再会を祝して、ね」
小林先生はそう言って、昔と変わらぬ穏やかな声でグラスを掲げた。その仕草に、反射的にサトルも応じる。
「「カンパーイ」」
グラス同士が軽く触れ合い、澄んだ音が小さく響く。
二人は示し合わせたわけでもないのに、そのまま一息に酒を飲み干し、喉を通り過ぎていく熱に、同時に息をついた。
「ぷはー……やっぱり、誰かと一緒に飲むお酒は美味しいわね」
そう言って微笑む彼女の横顔を見て、サトルはふと、過去の記憶が静かに呼び覚まされるのを感じた。
小林先生――小学生の頃、副担任として教室を支え、若く、親しみやすく、それでいて生徒一人ひとりをよく見てくれる先生だった。
男女問わず人気があり、困ったときには必ず味方になってくれる存在だったことを、今でもはっきりと覚えている。
六年生の夏が終わる頃、結婚と同時に産休、育休へと入られ、そのまま会えずに卒業してしまった。
きちんとした別れも言えなかったその出来事は、成長した今になっても、どこか胸の奥に残る小さな寂しさとして息づいている。
「ふふ……担当していた生徒と、こうしてお酒を飲む日が来るなんて、本当に不思議な気分だわ」
「俺もです。でも……覚えていてもらえたのは、正直うれしいです」
そう言うと、小林先生は少しだけ目を細め、懐かしむような表情を浮かべた。
「もちろん覚えているわよ。顔に面影も残っているし……それに、サトルくんは昔から、ちょっと印象に残る子だったもの」
「印象、ですか?」
問い返すと、彼女は小さく笑い、遠い記憶を辿るように視線を宙へ向けた。
「ほら、サトルくんがプールの授業があった日の時に、ラップタオル(ポンチョのように頭が出せて身体を隠すように着替えことができるタオル)の姿のままで、突然廊下に飛び出して、バッとすっぽんぽんの裸を見せて、変質者ごっこしていたことがあるでしょう」
「あっ‥‥」
言われた瞬間、すっかり忘れていたはずの記憶が、アルコールに後押しされるように蘇る。恥ずかしさが遅れて込み上げ、サトルの頬は先ほどよりもさらに熱を帯びた。
「その時に見てしまった小学生とは思えない大人顔負けの大きさのアソコが目に焼き付いちゃってね。だから、サトルくんのことはよ~く覚えているのよ。あっ! まさか大人になっても、そんなことをしていないわよね?」
「す、する訳ないよ!! そんなことしたら、捕まるし!?」
慌てて答えると、彼女は安心したように微笑んだ。
「あらあら、ちゃんと羞恥心と常識を身に着けてくれているのね、サトルくんも大人になったのね‥‥。今だから言うとね、サトルくんの立派なアソコを見て、すっごく興奮しちゃったのね。息子のムスコも、いつかあんな風に立派になるのかな‥‥」
その一言に、教師としての視点と、年上の女性としての視線とが、微妙に重なっているのをサトルは感じ取る。酔いのせいか、彼女の言葉もどこか柔らかく、距離が近づいたように思えた。
「……あ、今の言い方は、ちょっと教師っぽすぎたかしら」
そう言って苦笑する彼女に、サトルは思わず首を振る。
「いえ……そんなふうに覚えてもらっていたって思うと、なんだか光栄です」
口にしてから、自分でも少し踏み込みすぎたかと思う。だが、今夜は酒の勢いもあり、言葉が素直に外へ流れ出てしまう。
「ふふ……本当に、もう」
小林先生はそう言って、軽く受け流すように笑い、グラスに新しい酒を注いだ。その仕草は、かつての「先生」と、今目の前にいる「一人の女性」との境界を、静かに曖昧にしていくようだった。
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