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異世界転生ー私は騎士になりますー
23 地下への道のり
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先程の会場は2階にあった為、今居るのは1階だ。
2階に人が集中している為、多少騒いだ所で誰も気づかないだろうと、今は走って地下への階段を目指している。地下には食糧庫等しか無い為とても辺鄙な場所にあるのだ。
ちなみに扇子は扇子状態に収納したままで手に持っている。服に収納しようとすると重みで落ちてしまうからだ。
「ゼビル様、主に何も言わずに出てきてしまってよかったのですか?」
「相方に向けた書き置きをしておいたので大丈夫ですよ。我々ではどちみち会場には入れませんから」
「確かに」
共に走っているゼビルに問うと、あっさりとした返答が返ってきた。
警備上の問題から、会場内には主催者である王宮から連れてこられた使用人と、警備の騎士団員、楽団員しか入れないことになっている。主が不意に部屋に戻ってくるような事が無い限り自家から連れてきた使用人に仕事は無いのだ。
「事後承諾になりますが、王女様の救出が目的ですから、主も分かって下さるでしょう」
「もし何か問題があれば私からセイムリーア伯爵に説明させて頂きますから安心して協力して下さい」
「ありがとうございます」
「しっ、隠れて下さい。誰かいます」
私達がポソポソと話していると、先行していたカーラが足を止めた。
近くにあった柱の影に身を隠しながら伺うと、地下へ通じる通路を持っている厨房の入り口が封鎖されているようだった。
「厨房が制圧されてしまっているの? 従業員たちは大丈夫なのかな」
「いえ、この夜会では王宮から直接食材が運び込まれ、2階の厨房で調理されて振る舞われてますから、この厨房は使われていない筈です」
この屋敷は夜会でしか使用されない為、一階の厨房も、地下の食料庫も本来の役目を果たしていないらしい。ワインも実は王宮から持ち込まれたもので、分かってはいたけれどあの昇降機の移動はイレギュラーな出来事のようだ。
「どうする? ここしか地下に入れる通路は無いんだよね」
「あ、誰か来ますよ」
建物内のマップを頭に浮かべながら考えていると、今度はゼビルが気づいて奥の通路を指さした。
使用人服を着こんだ壮年の男だ。
「おい、例の計画はどうなってる?」
「守備良く王女は確保したが、もう一人がまだだ。会場から消えたらしい」
もう一人?
狙われていたのはレイチェルだけじゃないってことか。誰のことだろう。
ウィルではないことは確かだ、王族が二人も会場から消えれば何事も無く夜会が進んでいる筈がない。
今も呑気に奏でられているダンス曲がそれを教えてくれている。
「あと、ここに来る途中に女を二人見た。紋章からしてヴィラント侯爵家のものだ。ネギト達に上手く時間稼ぎをして貰っているが、実力行使に出られたら勝ち目は無い」
「たかだか女二人だろ!?」
「騎士団員10人とでも互角に戦う女が二人だぞ」
「……」
どうやらミンネ達は足止めを喰らっているらしい。ヴィラント侯爵家って有名なのかな、あの男達に怯えられているようだ。騎士団員10人とか大げさだな。
大げさかな……。
さて、この状況をどうするか。彼等を倒すのは簡単そうだけど、レイチェルの状況がまだはっきりしていない。それに見つかっていないというもう一人のターゲットのことも気になる。
「うっ」
「カーラ!?」
眼の前の状況に夢中になっていると、背後からガツンという音がして、慌てて振り返ると、気絶しているカーラを横脇に抱えて首筋に火かき棒を添えたゼビルが居た。
「これは、どういうこと!?」
「簡単なことですよ。俺も、彼らの仲間だということと、俺らの目的は貴方だったということです」
「わた、し?」
そうか、もう一人って私の事だったのだ。私はウィルの現婚約者。私を亡き者にした場合に後釜に収まりたい人物は沢山いる筈だ。
くそっ油断していた。
「思った以上にカーラさんに隙が出来なくて時間がかかってしまいましたが。大人しくついてきてください」
2階に人が集中している為、多少騒いだ所で誰も気づかないだろうと、今は走って地下への階段を目指している。地下には食糧庫等しか無い為とても辺鄙な場所にあるのだ。
ちなみに扇子は扇子状態に収納したままで手に持っている。服に収納しようとすると重みで落ちてしまうからだ。
「ゼビル様、主に何も言わずに出てきてしまってよかったのですか?」
「相方に向けた書き置きをしておいたので大丈夫ですよ。我々ではどちみち会場には入れませんから」
「確かに」
共に走っているゼビルに問うと、あっさりとした返答が返ってきた。
警備上の問題から、会場内には主催者である王宮から連れてこられた使用人と、警備の騎士団員、楽団員しか入れないことになっている。主が不意に部屋に戻ってくるような事が無い限り自家から連れてきた使用人に仕事は無いのだ。
「事後承諾になりますが、王女様の救出が目的ですから、主も分かって下さるでしょう」
「もし何か問題があれば私からセイムリーア伯爵に説明させて頂きますから安心して協力して下さい」
「ありがとうございます」
「しっ、隠れて下さい。誰かいます」
私達がポソポソと話していると、先行していたカーラが足を止めた。
近くにあった柱の影に身を隠しながら伺うと、地下へ通じる通路を持っている厨房の入り口が封鎖されているようだった。
「厨房が制圧されてしまっているの? 従業員たちは大丈夫なのかな」
「いえ、この夜会では王宮から直接食材が運び込まれ、2階の厨房で調理されて振る舞われてますから、この厨房は使われていない筈です」
この屋敷は夜会でしか使用されない為、一階の厨房も、地下の食料庫も本来の役目を果たしていないらしい。ワインも実は王宮から持ち込まれたもので、分かってはいたけれどあの昇降機の移動はイレギュラーな出来事のようだ。
「どうする? ここしか地下に入れる通路は無いんだよね」
「あ、誰か来ますよ」
建物内のマップを頭に浮かべながら考えていると、今度はゼビルが気づいて奥の通路を指さした。
使用人服を着こんだ壮年の男だ。
「おい、例の計画はどうなってる?」
「守備良く王女は確保したが、もう一人がまだだ。会場から消えたらしい」
もう一人?
狙われていたのはレイチェルだけじゃないってことか。誰のことだろう。
ウィルではないことは確かだ、王族が二人も会場から消えれば何事も無く夜会が進んでいる筈がない。
今も呑気に奏でられているダンス曲がそれを教えてくれている。
「あと、ここに来る途中に女を二人見た。紋章からしてヴィラント侯爵家のものだ。ネギト達に上手く時間稼ぎをして貰っているが、実力行使に出られたら勝ち目は無い」
「たかだか女二人だろ!?」
「騎士団員10人とでも互角に戦う女が二人だぞ」
「……」
どうやらミンネ達は足止めを喰らっているらしい。ヴィラント侯爵家って有名なのかな、あの男達に怯えられているようだ。騎士団員10人とか大げさだな。
大げさかな……。
さて、この状況をどうするか。彼等を倒すのは簡単そうだけど、レイチェルの状況がまだはっきりしていない。それに見つかっていないというもう一人のターゲットのことも気になる。
「うっ」
「カーラ!?」
眼の前の状況に夢中になっていると、背後からガツンという音がして、慌てて振り返ると、気絶しているカーラを横脇に抱えて首筋に火かき棒を添えたゼビルが居た。
「これは、どういうこと!?」
「簡単なことですよ。俺も、彼らの仲間だということと、俺らの目的は貴方だったということです」
「わた、し?」
そうか、もう一人って私の事だったのだ。私はウィルの現婚約者。私を亡き者にした場合に後釜に収まりたい人物は沢山いる筈だ。
くそっ油断していた。
「思った以上にカーラさんに隙が出来なくて時間がかかってしまいましたが。大人しくついてきてください」
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