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気づいたら神社ごと異世界に飛ばされていた件
9話目
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クラヴィスで穴を掘りながら崖の中を進んでいたら真っ暗になってしまった。しかも水も食料もなし。普段から鍛えているお陰で、今のところそれほど疲労を感じていないが、そろそろ水くらいは欲しいと思っている。このままではまずいのは明白だった。
この場にはなにもない為自分で生み出す必要がある。
クラヴィスには得意不得意があるとメルが言っていた。
今のところ使えると確定しているのは土。風は使えるのだろうが確定ではないし、実験するのは助かってからの方が良い。
土のクラヴィスは脱出だけなら最適だと思うが、長期戦になるとそれだけでは困る。水と火が必要だ。弱くても良いから最低でも水は欲しい。
それを考えた時、欲しいものがあることに気づいた。
真横にある岩肌に触れてみると、思った通り、固い部分と、柔らかい部分がある。真っ暗で何も見えないので、感触しかわからないが。
思った通りに出来るかは分からないけれど、やってみなくては始まらない。
俺は御陵丸を構えなおして、頭にイメージを思い描いてみる。
何も見えないのでその通りになっているかはわからないが、不思議と何か重いものを引きずっているような感触がするので、うまくいっている気がする。
ある程度の所で、形を作るイメージを思い描いて、そして次が本番。これが出来るか出来ないかで今後が変わってくる。
「おお、出来た」
思わず気合を入れて振り下ろしてしまったが、イメージ通りに炎が御陵丸から飛び出して、先程形作ったものを包み込んだ。
周囲が照らされて辺りの様子が照らし出される。
役目を終えるまで消えないようになっているのか、ボウボウと燃え続けているので周囲を見渡すと、自分の後ろには長い距離の下り坂が続いているのが見えて、結構な距離を上がってきていたのが分かった。
前も後ろも見えない状態で長い時間上り坂を歩き続けたことで感じていた精神的疲労が少し和らいだ。
再び真っ暗になった、炎が燃え尽きたのだ。
次が本番。これが出来なければ意味が無いのだ。
炎が消える瞬間にちらりと見えた感じだと、イメージ通りのものが出来ているのは分かっている。
再び御陵丸を構えて、イメージをする。
真っ暗でどうなっているか分からないが、出来ているものとして先程できたものにそそぐ。
ガシャン
「え」
軽い破裂音がして、何事かと思って触ってみると。熱かった。そして濡れた感触がすることから、一応成功したことは分かった。
俺が作ったのは粘土で出来たコップだったのだが、火が消えたばかりの熱い状態で水を入れてしまった為に割れてしまったようだった。よく考えれば誰でも「そりゃそうだ」と言いたくなる。
冷静なつもりでも少々焦りが出ていたようだ。
でも、出来上がった器が冷めるまで置くのは辛い。最低でもここから1時間は必要だろう。もう喉は乾ききっているのだ。
火も水も使えたのは幸いだったが、ただ水だけがあってもそれを受け止めるものがなくては口に含むことができない。
「何しとるんお前」
「水をどうやって飲もうかと、他に器になりそうなものなんてないし……て、え!?」
振り返ると、黄緑色に光る二つの光が浮かんでいるのが見えた。点いたり消えたりするので瞬きをしているようだ。ちょうど夜に猫を見かけた時のような……。そして、人間は夜行性ではないので暗闇で目が光ったりはしない。つまりここに居るのは人間ではない。
思わず壁まで後ずさりしてしまった。
謎の生物からはのそのそと近づいてくる足音がする。
「だっだれ?」
「俺か? 俺はボスコ。ここは俺の縄張りやで! 勝手に大穴彫りよってからに!」
「か、関西弁のモグラ!?」
とりあえず、真っ暗では何がなんだかわからないので、なるべく小さな炎を身体の周りに出してあたりを照らすと、ボスコの姿が露わになった。
それは、長くて鋭そうな爪、そして触れると柔らかそうな体毛で覆われた、二足歩行のモグラだった。
この場にはなにもない為自分で生み出す必要がある。
クラヴィスには得意不得意があるとメルが言っていた。
今のところ使えると確定しているのは土。風は使えるのだろうが確定ではないし、実験するのは助かってからの方が良い。
土のクラヴィスは脱出だけなら最適だと思うが、長期戦になるとそれだけでは困る。水と火が必要だ。弱くても良いから最低でも水は欲しい。
それを考えた時、欲しいものがあることに気づいた。
真横にある岩肌に触れてみると、思った通り、固い部分と、柔らかい部分がある。真っ暗で何も見えないので、感触しかわからないが。
思った通りに出来るかは分からないけれど、やってみなくては始まらない。
俺は御陵丸を構えなおして、頭にイメージを思い描いてみる。
何も見えないのでその通りになっているかはわからないが、不思議と何か重いものを引きずっているような感触がするので、うまくいっている気がする。
ある程度の所で、形を作るイメージを思い描いて、そして次が本番。これが出来るか出来ないかで今後が変わってくる。
「おお、出来た」
思わず気合を入れて振り下ろしてしまったが、イメージ通りに炎が御陵丸から飛び出して、先程形作ったものを包み込んだ。
周囲が照らされて辺りの様子が照らし出される。
役目を終えるまで消えないようになっているのか、ボウボウと燃え続けているので周囲を見渡すと、自分の後ろには長い距離の下り坂が続いているのが見えて、結構な距離を上がってきていたのが分かった。
前も後ろも見えない状態で長い時間上り坂を歩き続けたことで感じていた精神的疲労が少し和らいだ。
再び真っ暗になった、炎が燃え尽きたのだ。
次が本番。これが出来なければ意味が無いのだ。
炎が消える瞬間にちらりと見えた感じだと、イメージ通りのものが出来ているのは分かっている。
再び御陵丸を構えて、イメージをする。
真っ暗でどうなっているか分からないが、出来ているものとして先程できたものにそそぐ。
ガシャン
「え」
軽い破裂音がして、何事かと思って触ってみると。熱かった。そして濡れた感触がすることから、一応成功したことは分かった。
俺が作ったのは粘土で出来たコップだったのだが、火が消えたばかりの熱い状態で水を入れてしまった為に割れてしまったようだった。よく考えれば誰でも「そりゃそうだ」と言いたくなる。
冷静なつもりでも少々焦りが出ていたようだ。
でも、出来上がった器が冷めるまで置くのは辛い。最低でもここから1時間は必要だろう。もう喉は乾ききっているのだ。
火も水も使えたのは幸いだったが、ただ水だけがあってもそれを受け止めるものがなくては口に含むことができない。
「何しとるんお前」
「水をどうやって飲もうかと、他に器になりそうなものなんてないし……て、え!?」
振り返ると、黄緑色に光る二つの光が浮かんでいるのが見えた。点いたり消えたりするので瞬きをしているようだ。ちょうど夜に猫を見かけた時のような……。そして、人間は夜行性ではないので暗闇で目が光ったりはしない。つまりここに居るのは人間ではない。
思わず壁まで後ずさりしてしまった。
謎の生物からはのそのそと近づいてくる足音がする。
「だっだれ?」
「俺か? 俺はボスコ。ここは俺の縄張りやで! 勝手に大穴彫りよってからに!」
「か、関西弁のモグラ!?」
とりあえず、真っ暗では何がなんだかわからないので、なるべく小さな炎を身体の周りに出してあたりを照らすと、ボスコの姿が露わになった。
それは、長くて鋭そうな爪、そして触れると柔らかそうな体毛で覆われた、二足歩行のモグラだった。
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