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この世界で生きるということは…
しおりを挟む「これって、本当の人間の戦いなのよね?」
剣と魔法を駆使した戦い。初めて見たけど引くわー。掌から炎は出るわ、氷は出るわ、風が出て人は吹っ飛ぶわ。壁に勢いよくブチ当たっても死にゃーしない。強化魔法を使ってるんだろうけど、マトモになんて見てられない。ソフィア様は見慣れてるのかしら?二人の動きをずっと目で追ってる。凄いわ。
「聖女様、お願いがあるのですが…。もしレオ様が来られない時には、ルイベルト様の治療をしてあげてくださいませんか?アレクシス様は大丈夫そうなので。やはりシリウス様でないと互角には戦えないのですわ。」
そう、さっきからルイベルト様が被弾するほうが圧倒的に多い。
「あっ…ルイベルト様もお強いのですよ。上級騎士と互角に戦えるくらいには。あのお二人…いえ三人が異常なだけで。」
「三人?あと一人は、レオ様ですか?」
「いいえ、ルナお姉様ですわ。」
ソフィア様は目を輝かせながら、驚愕の言葉の爆弾を落とした。クラスが別だから全く気にもしてなかった。
「私達、国境や魔の森を監視する役目を担う地を守るものにとって、強くなることは当たり前の事なのですわ。勿論、王となる者にとっても。」
前世でも戦争をしている国はほぼ絶えずにあった。けれど、私はそれとは無縁の地で過ごしていたから、自分が戦うなど実感が無い。この世界は、乙女ゲームと似ているけれど、ゲームの中では無いのだわ。
「もう終わりか?ルイ。」
いつの間にか辺りは瓦礫の山、空は学園を囲むように灰色に染まっている。アレクシス様が床に伏せているルイベルト様に声をかけた。
「くっ…悪魔め。」
「ふふっ、ははははっ…。自分の未熟さを相手のせいにするか。まぁ良い。器の無い者は、いつまでもそうやって這いつくばっていれば良いのだ。さて…聖女よ…ん?ふふっ…命拾いしたな。」
アレクシス様は、一瞬目を伏せ、視線を遠くに移した。
「ひゃぁー、これはまた派手にやりやがったなぁ。休暇中に直せるのか?アレク、お前やり過ぎだ。」
「フン、俺では無い。実力の無い者が出しゃばってきたからだ。」
「だ~から言わんこっちゃない。ルイベルト様、ルナの言うこと聞いてりゃもっと強くなれるのに。聖女さん、ルイベルト様を頼むわ。」
「は、はいっ!!」
シリウス様が、私のもとにルイベルト様を背負ってきて、目の前に横たえた。私は、軽くルイベルト様の体の様子を窺い、聖魔法を行使した。少し休んでいたのでマリー様の時より上手く施術出来たと思う。
シリウス様は、アレクシス様のもとへ戻っていく。
「さぁて、アレク。手っ取り早く魔力放出しちゃってくれよ。いくぞ。」
二人が互いに片手を前に出し、掌に魔力を込めてから、同時に魔法を放つ。中央でぶつかり合い爆音が鳴り響いた。
「ドーン!!ドーン!!ズドーン!!」
「キャーッ!!」
ちょっと、アレクシス様さっきより威力が上がってるんですけど?手を抜いてたってこと?バリアがビリビリ言ってて破れそうなんだけど。ソフィア様は動じること無く二人の様子を見てるけど、私は思わず頭を抱えて伏せてしまった。
どのくらい経ったのだろう暫くすると爆音が止み、視界が開けてきた。
「もう終わりか?私の勝ちだな。」
「否、俺の勝ちだろ。」
「お前との前に、私はルイと戦ってる…か…ら…」
「へっ、バケモ…ン…が…」
とりあえず終わったみたい。二人が同時に床に倒れ込んだ。ソフィア様と私は、顔を見合わせてふーっと息を吐いた。
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