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16・期待と不安と
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「聖女さん助かったよ。ありがとう」
シリウス様が近づいてくる。皆でフェイクローズを倒した後、私は、調査資料を採取したり後片付けをする皆を待っていた。
「いいえ、ただの偶然ですので。私自身は、攻撃魔法も使えませんし」
シリウス様が、ちょっと考える素振りをしてから提案をしてくる。
「レオに少し魔法について相談してみると良いよ。魔力が少なくても身を守る手段は必要だからね」
「はい。お話ししてみます」
シリウス様は、一つ頷いてルイベルト様の方へ歩いていく。この後の事を相談しているのだろう。私は、明日の夜までに教会に戻らなければならない。暫く待っていると、ルイベルト様とユニさんが話しかけて来た。
「聖女様、シリウスとも話したんだが、ユニ殿と一緒に先にエディントン家に戻ってくれないか?時間が惜しい」
「あ、はい。エルザさんも一緒で良いですか?」
「構わない。そうしてやってくれ」
私はルイベルト様の申し出を有り難く受け取り、直ぐにエディントン家の屋敷に向かった。
ユニさんの背に乗るのは怖かったけど、エルザさんが乗り慣れていたので助かった。日が沈みかけ、やや薄暗くなって来た頃、屋敷が見えてきた。ユニさんは、あまり人に見られるわけにはいかないと言うので、私達は魔の森の出口で降りた。
エルザさんの案内で街中を通り、エディントン家に着いた時には、空に星が輝いていた。
エディントン辺境伯様と奥様に迎えられ、ご挨拶をした後に食事を勧められたけれど、兎に角その前に、マリー様の薬を作らせて欲しいとお願いした。
ユニさんは大丈夫と言ってくれたけれど、本当に効果があるのか不安で不安でたまらない。マリー様が目覚めなければ今回の事、全てが無駄になってしまう。だから、皆の想いを込めるように丁寧に作業を進めた。
「よしっ、出来た!!」
私が言うと同時に背中の方から歓声が上がる。私は驚いて、危うく器を落としそうになった。いつの間にか屋敷で働いている人達が、後ろで私を見守っていたらしい。マリー様が、沢山の人に好かれていると言うことがわかった。
器を台車に乗せてエルザさんとマリー様の部屋に向かう。扉をノックして中に入ると、マリー様のご両親が待っていた。
私は、マリー様の寝ているベッドの側の椅子に座り、マリー様に薬を飲ませ、暫く待った。三分、五分……何も反応が無い。
どうして……思わずベッドに肘をつき、頭を抱える。
何が足りなかったのだろう?何がいけなかったのだろう?何か間違えた?何か足らなかった?ああ、駄目だったのかぁ……
思わずそのまま突っ伏してしまった。自分の力不足が悔しくて……でも、私より辛い想いをしているであろう、マリー様のご家族の前で泣くのは違う。
「ごめんなさい、ごめんなさい、マリー様」
私は、涙を堪えながら謝罪の言葉を絞り出した。
「……貴女が謝ることではないわ」
「でも、でっ……ん?……えっ?」
あ……あれ?今の声……って。
弾かれたように、私は顔を上げた。
「ああーっ!!」
「ふふふっ。おはようございます。聖女様」
マリー様はゆっくりと目を開けて、ぎこちない笑みを浮かべる。私はその様子を見て、思わず椅子から滑り落ちてしまった。
「良かったぁ……」
もう全身の力が抜けて床に座り込む私の頭を、マリー様はゆっくりとした動作で撫でてくれる。
「ごめんなさいね。まだ、なかなか頭が働かなくて。お父様、お母様も、ご心配お掛けして申し訳ございません」
すっかり周囲の状況を忘れていた私は、慌てて立ち上がってベッドから離れた。マリー様のご両親が、マリー様に話しかけている。私は、ホッと息を吐き、胸を撫で下ろした。
シリウス様が近づいてくる。皆でフェイクローズを倒した後、私は、調査資料を採取したり後片付けをする皆を待っていた。
「いいえ、ただの偶然ですので。私自身は、攻撃魔法も使えませんし」
シリウス様が、ちょっと考える素振りをしてから提案をしてくる。
「レオに少し魔法について相談してみると良いよ。魔力が少なくても身を守る手段は必要だからね」
「はい。お話ししてみます」
シリウス様は、一つ頷いてルイベルト様の方へ歩いていく。この後の事を相談しているのだろう。私は、明日の夜までに教会に戻らなければならない。暫く待っていると、ルイベルト様とユニさんが話しかけて来た。
「聖女様、シリウスとも話したんだが、ユニ殿と一緒に先にエディントン家に戻ってくれないか?時間が惜しい」
「あ、はい。エルザさんも一緒で良いですか?」
「構わない。そうしてやってくれ」
私はルイベルト様の申し出を有り難く受け取り、直ぐにエディントン家の屋敷に向かった。
ユニさんの背に乗るのは怖かったけど、エルザさんが乗り慣れていたので助かった。日が沈みかけ、やや薄暗くなって来た頃、屋敷が見えてきた。ユニさんは、あまり人に見られるわけにはいかないと言うので、私達は魔の森の出口で降りた。
エルザさんの案内で街中を通り、エディントン家に着いた時には、空に星が輝いていた。
エディントン辺境伯様と奥様に迎えられ、ご挨拶をした後に食事を勧められたけれど、兎に角その前に、マリー様の薬を作らせて欲しいとお願いした。
ユニさんは大丈夫と言ってくれたけれど、本当に効果があるのか不安で不安でたまらない。マリー様が目覚めなければ今回の事、全てが無駄になってしまう。だから、皆の想いを込めるように丁寧に作業を進めた。
「よしっ、出来た!!」
私が言うと同時に背中の方から歓声が上がる。私は驚いて、危うく器を落としそうになった。いつの間にか屋敷で働いている人達が、後ろで私を見守っていたらしい。マリー様が、沢山の人に好かれていると言うことがわかった。
器を台車に乗せてエルザさんとマリー様の部屋に向かう。扉をノックして中に入ると、マリー様のご両親が待っていた。
私は、マリー様の寝ているベッドの側の椅子に座り、マリー様に薬を飲ませ、暫く待った。三分、五分……何も反応が無い。
どうして……思わずベッドに肘をつき、頭を抱える。
何が足りなかったのだろう?何がいけなかったのだろう?何か間違えた?何か足らなかった?ああ、駄目だったのかぁ……
思わずそのまま突っ伏してしまった。自分の力不足が悔しくて……でも、私より辛い想いをしているであろう、マリー様のご家族の前で泣くのは違う。
「ごめんなさい、ごめんなさい、マリー様」
私は、涙を堪えながら謝罪の言葉を絞り出した。
「……貴女が謝ることではないわ」
「でも、でっ……ん?……えっ?」
あ……あれ?今の声……って。
弾かれたように、私は顔を上げた。
「ああーっ!!」
「ふふふっ。おはようございます。聖女様」
マリー様はゆっくりと目を開けて、ぎこちない笑みを浮かべる。私はその様子を見て、思わず椅子から滑り落ちてしまった。
「良かったぁ……」
もう全身の力が抜けて床に座り込む私の頭を、マリー様はゆっくりとした動作で撫でてくれる。
「ごめんなさいね。まだ、なかなか頭が働かなくて。お父様、お母様も、ご心配お掛けして申し訳ございません」
すっかり周囲の状況を忘れていた私は、慌てて立ち上がってベッドから離れた。マリー様のご両親が、マリー様に話しかけている。私は、ホッと息を吐き、胸を撫で下ろした。
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