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18・帰るまでのひととき
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「……出来ない。……たら……だろうな」
「いや、……から……ほうが……では?」
ん?話し声……もう朝?
重いまぶたをゆっくりと動かす。
目玉……焼き……?
「うっわ……モゴモゴ……ウ……」
目を開けるとパールの顔が間近にあった。驚いて思わず大きな声を上げそうになったところを、マリー様の手が塞いでくれた。マリー様に顔を向けると口元の前で人差し指を立て、小首を傾げながら微笑んでいる。
こういう仕草を見ると脳がバグるわよね。顔はマリー様だけれど仕草は真理ちゃんなんだもの。
窓の外はまだ薄暗い。シリウス様達は、どうやら休まずに帰宅したらしい。身体強化魔法でも使ったのだろうか?部屋を見渡すとユニさんもいた。
「お兄様、取り敢えず聖女様には、私のお下がりをお渡ししますわ。あれなら扱いやすいし、敵との距離もある程度とった状態で戦えますから」
「まぁ、剣は直ぐには無理だろうからね。何も無いよりはましってくらいでしかないけれど、取り敢えず渡しておいて」
椅子に腰掛けたシリウス様が、怪訝な顔をして、一点を睨むように見ている。
側にいるユニさんも、同様に同じ場所を睨みつけている。
「ルナには、それがはっきりと見えてるんだな」
「ええ、お兄様。可愛らしいお姿ですよ」
二人の視線の先には、マリー様の膝の上で頭を撫でられているパールの姿があった。
そういえばパールの姿は、マリー様には何故か見えてるんだわ。
「それで、今もルナから魔力を吸収していると?」
「ええ、その様子ですわね。聖女様と一緒に屋敷にいらした後、この屋敷を色々徘徊していらしたのでしょう?以前拝見した時よりも少し成長なさったように見えるのですけど。お父様の所にでもいらっしゃったのかしら」
マリー様の問いかけにユニさんが答える。
「行っただけでは無く、少し話もして、魔力も少し貰ったようだぞ」
「あら、お父様とはお話出来るのね。やはりお父様でなければ、あの契約は交わせないということかしら。でも……まだ時間は有りますわね」
私は、以前シリウス様が『父様の意志だよ』と言っていた事を思い出した。でも、契約とは?
「契約?契約って何ですか?」
「貴女にも何れは話さなければならない事だけど、お父様の御身を守る為に、今はまだ詳しく話せないの。ただ、いつかはパールと貴女が離れなければならない時が来るかもしれない。だから、今を大事にしていて欲しいの」
マリー様が何かを我慢するように微笑んだ。きっと、以前シリウス様が言っていた事だろうと思って、私は頷いた。
ユニさんが窓の方を見る。
「そろそろ行くよ。ルナ、会えて良かった」
「ええ、また会いに行きますわ」
朝の光が薄っすらと カーテンの隙間から差し込む。シリウス様がそのカーテンを開け、窓を開けると、ユニさんは白い羽を広げて駆けていった。
シリウス様も部屋を出ていき、再びマリー様と二人きりになると、時間が無いからと、直ぐに魔力の上げ方、攻撃魔法の基礎、魔法が使えない時の身の守り方等、ギリギリまで説明された。メモは駄目と言われたので覚えきれない。それでも、完全に覚えなくても良いからと、ひたすら説明は続けられた。
そして帰り際、マリー様が昔使っていたという武器を頂いた。剣が扱えるようになるまでは、隠し持っておくようにとのこと。助かるけれど、使わないで済めばいいな。
……と思っていたのに、数日後にはこれを使う事になるなど、この時の私は思いもしなかった。
「いや、……から……ほうが……では?」
ん?話し声……もう朝?
重いまぶたをゆっくりと動かす。
目玉……焼き……?
「うっわ……モゴモゴ……ウ……」
目を開けるとパールの顔が間近にあった。驚いて思わず大きな声を上げそうになったところを、マリー様の手が塞いでくれた。マリー様に顔を向けると口元の前で人差し指を立て、小首を傾げながら微笑んでいる。
こういう仕草を見ると脳がバグるわよね。顔はマリー様だけれど仕草は真理ちゃんなんだもの。
窓の外はまだ薄暗い。シリウス様達は、どうやら休まずに帰宅したらしい。身体強化魔法でも使ったのだろうか?部屋を見渡すとユニさんもいた。
「お兄様、取り敢えず聖女様には、私のお下がりをお渡ししますわ。あれなら扱いやすいし、敵との距離もある程度とった状態で戦えますから」
「まぁ、剣は直ぐには無理だろうからね。何も無いよりはましってくらいでしかないけれど、取り敢えず渡しておいて」
椅子に腰掛けたシリウス様が、怪訝な顔をして、一点を睨むように見ている。
側にいるユニさんも、同様に同じ場所を睨みつけている。
「ルナには、それがはっきりと見えてるんだな」
「ええ、お兄様。可愛らしいお姿ですよ」
二人の視線の先には、マリー様の膝の上で頭を撫でられているパールの姿があった。
そういえばパールの姿は、マリー様には何故か見えてるんだわ。
「それで、今もルナから魔力を吸収していると?」
「ええ、その様子ですわね。聖女様と一緒に屋敷にいらした後、この屋敷を色々徘徊していらしたのでしょう?以前拝見した時よりも少し成長なさったように見えるのですけど。お父様の所にでもいらっしゃったのかしら」
マリー様の問いかけにユニさんが答える。
「行っただけでは無く、少し話もして、魔力も少し貰ったようだぞ」
「あら、お父様とはお話出来るのね。やはりお父様でなければ、あの契約は交わせないということかしら。でも……まだ時間は有りますわね」
私は、以前シリウス様が『父様の意志だよ』と言っていた事を思い出した。でも、契約とは?
「契約?契約って何ですか?」
「貴女にも何れは話さなければならない事だけど、お父様の御身を守る為に、今はまだ詳しく話せないの。ただ、いつかはパールと貴女が離れなければならない時が来るかもしれない。だから、今を大事にしていて欲しいの」
マリー様が何かを我慢するように微笑んだ。きっと、以前シリウス様が言っていた事だろうと思って、私は頷いた。
ユニさんが窓の方を見る。
「そろそろ行くよ。ルナ、会えて良かった」
「ええ、また会いに行きますわ」
朝の光が薄っすらと カーテンの隙間から差し込む。シリウス様がそのカーテンを開け、窓を開けると、ユニさんは白い羽を広げて駆けていった。
シリウス様も部屋を出ていき、再びマリー様と二人きりになると、時間が無いからと、直ぐに魔力の上げ方、攻撃魔法の基礎、魔法が使えない時の身の守り方等、ギリギリまで説明された。メモは駄目と言われたので覚えきれない。それでも、完全に覚えなくても良いからと、ひたすら説明は続けられた。
そして帰り際、マリー様が昔使っていたという武器を頂いた。剣が扱えるようになるまでは、隠し持っておくようにとのこと。助かるけれど、使わないで済めばいいな。
……と思っていたのに、数日後にはこれを使う事になるなど、この時の私は思いもしなかった。
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