29 / 41
28冒険者
しおりを挟む
確かに大人には無理な大きさだった。入り口は狭いけれど、そこを抜ければ私ならば這っていける。
『聞こえるか。その先に印が付いている場所があるはずだ。黄色の蛍光塗料が塗ってある。そこが穴になっている。』
私は先を明かりで照らした。
「あれね。確認しました。」
『そこが穴だ。そこから気を付けて下に降りてくれ』
一見、通路が続いているように見えるが確かに穴だった。私は苦労して、穴のふちで向きを変えた。
『穴の底までは背丈ほどの深さしかないはずだ。ただ、その先は急な傾斜になっている。こちらで支えるからゆっくり降りてくれ。』
なるほど、滑り台という表現は正しい。一気に下るか、それとも。
「ティカ、ライト」
私はすべる前に穴の下に向かって呼びかけた。
「聞こえる?助けに来たわよ。」
明かりを向けてみたが滑り台の下からの答えはなかった。
「一気に滑っても大丈夫かしら?」
私はラーズに聞いてみた。
『ゆっくり降りてくれ。万が一のこともある。勢いあまって綱が切れたら、大変だ。』
私はため息をついて、命綱の抵抗を感じながらゆっくりと降りていく。
「いったい古代人たちはなんでこんなものを……」
お尻で滑りながら私はこぼす。
『推測だが、ゴミ捨て場だったのではないかといわれている。』
私は動きを止めた。まさか私のお尻が当たっているところがごみ溜めだったと?
『ほかの説もある。水路だったという説とか、通気口だったという説。ただの罠だという説。正直何だったのかよくわかっていない。』
ずいぶん下のほうまできた。私は明かりで先を照らそうとするが、暗闇だけが広がっている。来た方向に明かりを向けても何も見えない。迫る闇が私を押しつぶしてしまいそうだ。
『ああ、こんな話、興味ないだろうか。』
「いえ、好きです。遺跡の話。もっといろいろ話してほしいです。」
『そうか? 先生も冒険者にあこがれている口なのか?』
小説の中でなら。現実、こんな闇の中で活動するなんてまっぴらごめんだ。こんな場所で愛をささやかれても縮み上がった心には響かない。
「話を聞くだけなら、いいと思います。」
急に体を支えていた床が消えて、私は小さく悲鳴を上げた。
『どうした?』
慌てたようなラーズの声が耳元で聞こえる。
「あ、床が……」
「誰?」
下のほうに小さな明かりが見えた。 私はそちらに明かりを向ける。
「ティカ?」
照らされた明かりの中に小さな人影が見えた。
「せんせい? 先生!」子供たちが 慌てて立ち上がった弾みに明かりが倒れる。
「みんな、無事?」
「先生、来てくれたの?」
「先生!」
「助けてよぉ」
口々に子供たちが泣きついてくる。
「ち、ちょっと落ち着いて。こちらは宙づりになっているのだ。」
『どうした? 先生』
「子供たちを見つけました。みんな……けがはない?」
私は子供たちに尋ねた。
「うん。ちょっと足をくじいたり、すりむいたりしたくらいだよ。」
「うわーん。怖いよぉ」
「うるさい。しがみついてくるなよ」
「ちょ、ちょっと、話を聞い……」
最初のころのごたごたした教室がよみがえってきた。
「早く助けてよぉ」
「ティカが悪いんだ」
「なにをー」
「先生の話を聞きなさい」
私は一喝する。
「騒がない。静かにする。いい?」
生徒たちは私を見上げる。
「いい? 今から助けるから静かにして。黙って座りなさい」
子供たちは静かになった。反響が消えると音のない世界だった。私は内心震えた。
「……それで、先生、その恰好でどうやって僕らを助けるの?」
忘れていた。私は縄一本で吊り下げられていたのだった。下に降りようにもこれ以上縄が伸びる気配はないし、上がろうにも手がかりすらない。
「……ラーズさん、どうすれば……私、宙ぶらりんなんですけど」
私はささやいた。
『……命綱の長さが微妙に足らない。今から子供たちを引き上げる綱を送る。とりあえず、先生はそのままでいてくれ』
え? 木からぶら下がる芋虫みたいなんですけど。
しばらくすると怪しい足がたくさんある機械が現れた。その機械は私を無視して、子供たちのほうに降りていく。そして、引き上げる用のロープを運ぶ機械が現れ、子供たちに綱を渡した。
誰が一番初めに引き上げられるかもめた後、一人ずつ子供たちが救助されていく。
「先生、お先に」
機械の都合とかで、子供たちを引き上げるまで私はしばらくそのままだった。
大口をたたいて乗り込んでいったのに、この始末なんて……先生としての威厳はどこ?
ようやく、さきほどの場所まで戻った時私はもうへとへとだった。体も心もボロボロだ。
「エレッタさん」
穴からはい出した私をいきなりラーズが抱きしめてきた。
「よかった。先生のおかげだ。こんなに早く彼らを見つけることができた。本当にすまなかった」
「お役に立てず、申し訳ありませんでした」
「いや、そんなことはない。先生がいなければ、彼らをここまで早く引き上げることはできなかっただろう」
彼の視線をたどると毛布を体に巻き付けた子供たちが座り込んでいた。
「あの子たちは」
「ああ。ちょっと足をくじいたり、ぶつけたりしているが、元気だ。だな、お前ら」
ラーズのにらみに子供たちはびくりとする。
「後でたっぷりと言い訳を聞いてやる。それよりも、エレッタさん」
ラーズはひょいと私を抱え上げた。
「あ、ラーズさん。私、自分で歩けます。あの、おろして……」
「いや、そういうわけにもいかない。すぐに医務室に連れていく。あそこは空気がよどんでいる。体に害があるかもしれない」
私の抗議など聞く様子もなくラーズは走るようにして私を連れて遺跡を抜けていく。
は、これは俗にいうお姫様抱っこというものでは…… 私はだいぶ進んでから気が付いた。
「ちょ、ラーズさん。あの……」
「どけ、お前ら。けが人だ」
皆が驚いた顔をして道を開ける。そして、その視線がいつまでもおってくるような気がするのだ。
「ラーズさん……おろして……」
小さな声で抗議したけれど、ラーズ会長の耳には届いていないようだ。 ラーズは遺跡を抜けて、私たちがもともと滞在していた建物に飛び込んだ。
「先生。急患だ。おい、道を開けろ」
彼は医務室に飛び込んで、私を寝台に寝かせようとする。
「おお、生徒がケガをしたのかね。これは、これは……お嬢ちゃん、どこをけがしたのかな?」
初老の医師が私に尋ねる。
「私、怪我をしていません。それに……大人ですから」
えっと驚きの表情を老人は浮かべた。彼は確認するようにラーズを見る。
「エレッタ先生だ。地下の瘴気に当たったかもしれん」
「あ、そ、そう?」
医者は戸惑った表情を浮かべて私を診察した。 瘴気といわれて私も不安になっていたけれど、もちろん、なんともなかった。
後から運び込まれた生徒たちもたいしたケガではなかった。
ただ、ラーズ会長が騒々しく私を医務室に連れて行ったので、今回の騒ぎはみんなに知れ渡ってしまった。
「先生。昨日は大変でしたね」
見舞いに来た女の子たちが食いつくような熱心さで私に質問してきた。
「それで、どうでした?」
「怪我されたんですよね」
「あれ、ラーズ会長が助けてくれたんですよね」
「どうでした?」
口々に質問された。
「待って、待って。大丈夫なの。私が穴にはまったわけではなく、ティカ君たちが……」
「あのバカたちのことはいいんです。それよりも、先生とラーズ会長が……」
「ラーズ会長、必死でしたよね」
「そのあと、ラーズ会長が先生を……」
え? そちらのほうが大事なの?
女の子たちには事故は調査中とかなんとかごまかす。
医務室の先生が女の子達を追い出してくれた。
ぶつぶつ言いながら、部屋を出た女の子たち出て行った。
彼女たちの姿が消えてほっと一息と思ったのに。 女の子たちはすぐに退き返してきた。
嬉々として扉から顔をのぞかせる。
「先生、待ち人が来ましたよ」
「お二人でごゆっくり」
黄色い声で励ましを受けていたのはラーズ会長だった。
彼は顔を赤くして、女の子たちが完全に姿を消すのを扉の内側で待っていた。
本当に彼女たちがいなくなるのを確かめて、枕元の椅子に腰を下ろす。
「す、すまない。先生が途中で事故にあってしまって。ちょっと動揺してしまった」
ラーズは下を向いて謝る。 「
それは、いいのですけれど。今回のことで不都合なことは起こらないかしら。ほら、あの子たちが勝手に夜の散歩をしたことがみんなにばれてしまったでしょう」
「それは、まぁ、問題ない。ああいうことをやりそうな面子だったからな」
「それに、あんなところを見られてしまったし」
私はぼそりとつぶやく。
私にとっては、ラーズ会長に抱っこされて医務室に運び込まれたことが一番の問題だ。今思っても顔が赤くなる。
だって、ああいうのは、新婚の……夫婦のやることではないの?
私の読んだ小説では、いつもそうだった。物語が大団円に向かう場面での定番、幸せの象徴……心臓がドキドキしてしまう。
周りの人たちに誤解されたり、してないかしら。
女の子たちは完全にそうだと思ったらしい。なんてことかしら。 いえいえ、ラーズ会長とはそんな仲ではないし。
なんとなく、気まずい。 目を合わすのも、なんだか、気が引ける。
それは私だけではなくラーズ会長もそうだった。 話は弾むことはなく、ラーズ会長は感謝とお見舞いを口にして早々に退散した。
残された私は医務室の寝台の上で一人身もだえていた。
『聞こえるか。その先に印が付いている場所があるはずだ。黄色の蛍光塗料が塗ってある。そこが穴になっている。』
私は先を明かりで照らした。
「あれね。確認しました。」
『そこが穴だ。そこから気を付けて下に降りてくれ』
一見、通路が続いているように見えるが確かに穴だった。私は苦労して、穴のふちで向きを変えた。
『穴の底までは背丈ほどの深さしかないはずだ。ただ、その先は急な傾斜になっている。こちらで支えるからゆっくり降りてくれ。』
なるほど、滑り台という表現は正しい。一気に下るか、それとも。
「ティカ、ライト」
私はすべる前に穴の下に向かって呼びかけた。
「聞こえる?助けに来たわよ。」
明かりを向けてみたが滑り台の下からの答えはなかった。
「一気に滑っても大丈夫かしら?」
私はラーズに聞いてみた。
『ゆっくり降りてくれ。万が一のこともある。勢いあまって綱が切れたら、大変だ。』
私はため息をついて、命綱の抵抗を感じながらゆっくりと降りていく。
「いったい古代人たちはなんでこんなものを……」
お尻で滑りながら私はこぼす。
『推測だが、ゴミ捨て場だったのではないかといわれている。』
私は動きを止めた。まさか私のお尻が当たっているところがごみ溜めだったと?
『ほかの説もある。水路だったという説とか、通気口だったという説。ただの罠だという説。正直何だったのかよくわかっていない。』
ずいぶん下のほうまできた。私は明かりで先を照らそうとするが、暗闇だけが広がっている。来た方向に明かりを向けても何も見えない。迫る闇が私を押しつぶしてしまいそうだ。
『ああ、こんな話、興味ないだろうか。』
「いえ、好きです。遺跡の話。もっといろいろ話してほしいです。」
『そうか? 先生も冒険者にあこがれている口なのか?』
小説の中でなら。現実、こんな闇の中で活動するなんてまっぴらごめんだ。こんな場所で愛をささやかれても縮み上がった心には響かない。
「話を聞くだけなら、いいと思います。」
急に体を支えていた床が消えて、私は小さく悲鳴を上げた。
『どうした?』
慌てたようなラーズの声が耳元で聞こえる。
「あ、床が……」
「誰?」
下のほうに小さな明かりが見えた。 私はそちらに明かりを向ける。
「ティカ?」
照らされた明かりの中に小さな人影が見えた。
「せんせい? 先生!」子供たちが 慌てて立ち上がった弾みに明かりが倒れる。
「みんな、無事?」
「先生、来てくれたの?」
「先生!」
「助けてよぉ」
口々に子供たちが泣きついてくる。
「ち、ちょっと落ち着いて。こちらは宙づりになっているのだ。」
『どうした? 先生』
「子供たちを見つけました。みんな……けがはない?」
私は子供たちに尋ねた。
「うん。ちょっと足をくじいたり、すりむいたりしたくらいだよ。」
「うわーん。怖いよぉ」
「うるさい。しがみついてくるなよ」
「ちょ、ちょっと、話を聞い……」
最初のころのごたごたした教室がよみがえってきた。
「早く助けてよぉ」
「ティカが悪いんだ」
「なにをー」
「先生の話を聞きなさい」
私は一喝する。
「騒がない。静かにする。いい?」
生徒たちは私を見上げる。
「いい? 今から助けるから静かにして。黙って座りなさい」
子供たちは静かになった。反響が消えると音のない世界だった。私は内心震えた。
「……それで、先生、その恰好でどうやって僕らを助けるの?」
忘れていた。私は縄一本で吊り下げられていたのだった。下に降りようにもこれ以上縄が伸びる気配はないし、上がろうにも手がかりすらない。
「……ラーズさん、どうすれば……私、宙ぶらりんなんですけど」
私はささやいた。
『……命綱の長さが微妙に足らない。今から子供たちを引き上げる綱を送る。とりあえず、先生はそのままでいてくれ』
え? 木からぶら下がる芋虫みたいなんですけど。
しばらくすると怪しい足がたくさんある機械が現れた。その機械は私を無視して、子供たちのほうに降りていく。そして、引き上げる用のロープを運ぶ機械が現れ、子供たちに綱を渡した。
誰が一番初めに引き上げられるかもめた後、一人ずつ子供たちが救助されていく。
「先生、お先に」
機械の都合とかで、子供たちを引き上げるまで私はしばらくそのままだった。
大口をたたいて乗り込んでいったのに、この始末なんて……先生としての威厳はどこ?
ようやく、さきほどの場所まで戻った時私はもうへとへとだった。体も心もボロボロだ。
「エレッタさん」
穴からはい出した私をいきなりラーズが抱きしめてきた。
「よかった。先生のおかげだ。こんなに早く彼らを見つけることができた。本当にすまなかった」
「お役に立てず、申し訳ありませんでした」
「いや、そんなことはない。先生がいなければ、彼らをここまで早く引き上げることはできなかっただろう」
彼の視線をたどると毛布を体に巻き付けた子供たちが座り込んでいた。
「あの子たちは」
「ああ。ちょっと足をくじいたり、ぶつけたりしているが、元気だ。だな、お前ら」
ラーズのにらみに子供たちはびくりとする。
「後でたっぷりと言い訳を聞いてやる。それよりも、エレッタさん」
ラーズはひょいと私を抱え上げた。
「あ、ラーズさん。私、自分で歩けます。あの、おろして……」
「いや、そういうわけにもいかない。すぐに医務室に連れていく。あそこは空気がよどんでいる。体に害があるかもしれない」
私の抗議など聞く様子もなくラーズは走るようにして私を連れて遺跡を抜けていく。
は、これは俗にいうお姫様抱っこというものでは…… 私はだいぶ進んでから気が付いた。
「ちょ、ラーズさん。あの……」
「どけ、お前ら。けが人だ」
皆が驚いた顔をして道を開ける。そして、その視線がいつまでもおってくるような気がするのだ。
「ラーズさん……おろして……」
小さな声で抗議したけれど、ラーズ会長の耳には届いていないようだ。 ラーズは遺跡を抜けて、私たちがもともと滞在していた建物に飛び込んだ。
「先生。急患だ。おい、道を開けろ」
彼は医務室に飛び込んで、私を寝台に寝かせようとする。
「おお、生徒がケガをしたのかね。これは、これは……お嬢ちゃん、どこをけがしたのかな?」
初老の医師が私に尋ねる。
「私、怪我をしていません。それに……大人ですから」
えっと驚きの表情を老人は浮かべた。彼は確認するようにラーズを見る。
「エレッタ先生だ。地下の瘴気に当たったかもしれん」
「あ、そ、そう?」
医者は戸惑った表情を浮かべて私を診察した。 瘴気といわれて私も不安になっていたけれど、もちろん、なんともなかった。
後から運び込まれた生徒たちもたいしたケガではなかった。
ただ、ラーズ会長が騒々しく私を医務室に連れて行ったので、今回の騒ぎはみんなに知れ渡ってしまった。
「先生。昨日は大変でしたね」
見舞いに来た女の子たちが食いつくような熱心さで私に質問してきた。
「それで、どうでした?」
「怪我されたんですよね」
「あれ、ラーズ会長が助けてくれたんですよね」
「どうでした?」
口々に質問された。
「待って、待って。大丈夫なの。私が穴にはまったわけではなく、ティカ君たちが……」
「あのバカたちのことはいいんです。それよりも、先生とラーズ会長が……」
「ラーズ会長、必死でしたよね」
「そのあと、ラーズ会長が先生を……」
え? そちらのほうが大事なの?
女の子たちには事故は調査中とかなんとかごまかす。
医務室の先生が女の子達を追い出してくれた。
ぶつぶつ言いながら、部屋を出た女の子たち出て行った。
彼女たちの姿が消えてほっと一息と思ったのに。 女の子たちはすぐに退き返してきた。
嬉々として扉から顔をのぞかせる。
「先生、待ち人が来ましたよ」
「お二人でごゆっくり」
黄色い声で励ましを受けていたのはラーズ会長だった。
彼は顔を赤くして、女の子たちが完全に姿を消すのを扉の内側で待っていた。
本当に彼女たちがいなくなるのを確かめて、枕元の椅子に腰を下ろす。
「す、すまない。先生が途中で事故にあってしまって。ちょっと動揺してしまった」
ラーズは下を向いて謝る。 「
それは、いいのですけれど。今回のことで不都合なことは起こらないかしら。ほら、あの子たちが勝手に夜の散歩をしたことがみんなにばれてしまったでしょう」
「それは、まぁ、問題ない。ああいうことをやりそうな面子だったからな」
「それに、あんなところを見られてしまったし」
私はぼそりとつぶやく。
私にとっては、ラーズ会長に抱っこされて医務室に運び込まれたことが一番の問題だ。今思っても顔が赤くなる。
だって、ああいうのは、新婚の……夫婦のやることではないの?
私の読んだ小説では、いつもそうだった。物語が大団円に向かう場面での定番、幸せの象徴……心臓がドキドキしてしまう。
周りの人たちに誤解されたり、してないかしら。
女の子たちは完全にそうだと思ったらしい。なんてことかしら。 いえいえ、ラーズ会長とはそんな仲ではないし。
なんとなく、気まずい。 目を合わすのも、なんだか、気が引ける。
それは私だけではなくラーズ会長もそうだった。 話は弾むことはなく、ラーズ会長は感謝とお見舞いを口にして早々に退散した。
残された私は医務室の寝台の上で一人身もだえていた。
11
あなたにおすすめの小説
死に戻りの元王妃なので婚約破棄して穏やかな生活を――って、なぜか帝国の第二王子に求愛されています!?
神崎 ルナ
恋愛
アレクシアはこの一国の王妃である。だが伴侶であるはずの王には執務を全て押し付けられ、王妃としてのパーティ参加もほとんど側妃のオリビアに任されていた。
(私って一体何なの)
朝から食事を摂っていないアレクシアが厨房へ向かおうとした昼下がり、その日の内に起きた革命に巻き込まれ、『王政を傾けた怠け者の王妃』として処刑されてしまう。
そして――
「ここにいたのか」
目の前には記憶より若い伴侶の姿。
(……もしかして巻き戻った?)
今度こそ間違えません!! 私は王妃にはなりませんからっ!!
だが二度目の生では不可思議なことばかりが起きる。
学生時代に戻ったが、そこにはまだ会うはずのないオリビアが生徒として在籍していた。
そして居るはずのない人物がもう一人。
……帝国の第二王子殿下?
彼とは外交で数回顔を会わせたくらいなのになぜか親し気に話しかけて来る。
一体何が起こっているの!?
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!
白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、
《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。
しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、
義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった!
バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、
前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??
異世界転生:恋愛 ※魔法無し
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!
永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手
ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。
だがしかし
フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。
貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる