『事故で死んだ俺は、異世界で成り上がる ~君ともう一度出会うために~』

こうた

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13話 再会と、再開と、再界(さいかい)

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 闇が世界を包みこむように広がっていく中、ナオは一歩一歩、かつての親友――カインに向かって歩みを進めた。

「カイン……どうして、そんなことをしようとするんだ?」

「理由なんて一つで十分だよ。“無力”だったからさ」

 カインの声は静かで、どこか懐かしい響きを持っていた。しかし、そこに宿っているのは、復讐とも諦めともつかぬ“決意”だった。

「俺はずっと見てきた。転生者がもてはやされ、この世界の運命を好き勝手にねじ曲げていく様を。
 そして、自分がどれだけ努力しても、“神の気まぐれ”には抗えなかった」

 その言葉に、ナオは目を伏せた。

「……たしかに、俺もこの世界に来てから、何度も理不尽を見た。
 でも、それでも、俺は……この世界を“生きる”ことを選んだ。
 たとえ与えられた命でも、誰かと繋がって生きていけるなら、価値はあるはずだ!」

 剣を構えながら叫ぶナオ。その背後では、リーナとアリアも構えを取り、闇の魔導波に抗っていた。

 アリアが小さく呟く。

「……あなたの言葉、届くといいわね」

 するとカインが、ふっと笑った。

「じゃあ証明してよ、ナオ。俺の“否定”を、力で覆してみせてよ」

 彼が掲げた黒い書《大災厄の書(グラン・アポカリプス)》が大きく開かれる。

「〈崩界詠唱式・第一節〉――世界を裂く風となれ、《ワールド・クレバス》!」

 大地が割れ、空が引き裂かれ、空間そのものが“崩壊”を始める。

 リーナが叫ぶ。

「ナオッ! 今止めないと、王都どころか、世界が――!」

「わかってる……リーナ、アリア。援護頼む!」

 二人がうなずく。リーナは治癒と結界魔法、アリアは呪詛を打ち消すための逆位式(アンチ・カース)を詠唱し始めた。

 ナオは《断罪の剣》を大地に突き立て、心の奥に語りかけた。

『なあ……もしお前が、本当に神の意志から生まれた剣なら……』

『――この世界を守るために、力を貸してくれ』

 剣が応えるように、蒼く光る。

「よし、行くぞカインッ!!」

 二人の剣が交わる。

 カインは黒い炎を、ナオは蒼き雷を纏い、激しく打ち合った。

 刃と刃の間で、言葉が交わされる。

「俺は、お前を否定するつもりなんてなかった!」

「ならどうして、あの時……!」

「後悔してる。ずっと、お前を助けられなかったことを!」

 ナオの叫びに、一瞬だけカインの目が揺らぐ。

 だがその隙を狙ったわけではなかった。ナオは“真正面から”ぶつかった。剣も、心も。

 そして――。

 次の一撃で、カインの《大災厄の書》は裂け、その魔導は霧散する。

「……やっぱり、君には勝てないな」

 カインは倒れながらも、穏やかな顔で笑っていた。

「昔みたいだな。俺たちが、まだバカみたいにゲームで張り合ってた頃……」

「ああ……でも、俺はもう一人じゃない。
 仲間もいるし、守りたい人もいる」

 ナオはカインに手を差し伸べた。

「一緒に、やり直そう。カイン。……今度は“味方”として」

 ――そして、しばしの沈黙のあと。

 カインは、その手を取った。

「……バカだな、お前。ほんとに」

 空に、光が戻った。

 災厄は収まり、王都の空に新しい朝が訪れようとしていた。
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