14 / 18
14話 語られざる過去と、眠る神々の意思
しおりを挟む
王都を包んだ崩壊の魔導は消え去り、まるで何事もなかったかのように朝の光が降り注いでいた。
だが、その穏やかな光景の裏で、ナオたちは“世界の根幹”に触れる扉の前に立たされていた。
カインが倒れたあと、彼の持っていた黒い魔導書《大災厄の書》の断片は蒼く発光し、霧のように空へ消えていった。
「これ……完全に消えた?」
アリアが警戒しながらも問いかける。
ナオはその残光を見つめながら、静かに首を振った。
「いや。消えたんじゃない。あれは“帰った”んだ……本来あるべき場所に」
カインの魂に共鳴するように現れたその書の力。
それはただの魔法書などではない。世界の“深層”に関わる、神々の遺した禁忌の記録だった。
「ナオ、これを……」
リーナが、カインの懐にあった小さな金属片を差し出す。
それは不思議な形状をした“鍵”だった。中央に複雑なルーンが刻まれており、触れると微かに鼓動のような感触が伝わる。
ナオはそれを手に取り、記憶の奥底から浮かび上がる声に、目を細めた。
――“選ばれし者よ。世界の真実に触れる覚悟はあるか?”
それは、かつて《断罪の剣》を手にしたときに聞いた“神の声”と同じだった。
「……リーナ、アリア。少し、危険かもしれない」
「構わないわ。あたしたちは、もうここまで来たのよ」
「ナオが進む道なら、私も行く。それが、私の決めたことだから」
迷いなく答える二人に、ナオは静かにうなずいた。
「ありがとう。じゃあ――行こう。すべての始まりへ」
鍵は王都地下の封印石に反応し、巨大な魔導陣を起動させた。
光とともに転移した先は、“天空神殿”。
地上からは見えない、高次元に浮かぶ、古の神々が住まったとされる聖域だった。
「……まさか、本当にあったなんて……」
空に浮かぶ都市。大理石の柱、宙に浮かぶ書庫、輝く水の川。
まるで伝説の中の世界が、現実として広がっていた。
だが、誰もいない。
この神殿に、神の気配は感じられなかった。
その中心に一つの碑文があった。
――“この世界の創造は、神々の慈悲にあらず。
人は過ちを繰り返し、やがて運命の輪に呑まれる。
転生とは、選別であり、試練である。
神々は既に去った。
残された者よ、意志を継げ”――
ナオたちは言葉を失った。
「……じゃあ、私たちが“転生”させられたのは……?」
「ただの“遊び”じゃなかったってことね。これは……“選ばれた者たちの戦い”だった」
ナオは思い出す。
カインが言っていた、“神の気まぐれ”に人生を狂わされたと感じた怒り。
しかしその裏には、神の“意志”ではなく、ただ残された“仕組み”が回り続けているだけの世界があったのだ。
「神はいない。……でも、それでも、俺たちは生きている。
だったら、この世界をどう生きるか、俺たち自身が決めていくしかない」
そう口にした時、天上にある“玉座”が蒼く光を放ち、一冊の本がゆっくりと浮かび上がってきた。
それは《創界の書》――この世界の全ての理を記した、もう一つの禁書だった。
「……これが、すべての答えか」
ナオはその本に手を伸ばす。
しかしその瞬間――。
空に亀裂が入り、虚無のような黒い闇が、天を喰らうように広がっていった。
「ッ……これは……っ!」
再び、始まろうとしていた。
世界を超えた“神々の遺産”を巡る、最終試練が――。
だが、その穏やかな光景の裏で、ナオたちは“世界の根幹”に触れる扉の前に立たされていた。
カインが倒れたあと、彼の持っていた黒い魔導書《大災厄の書》の断片は蒼く発光し、霧のように空へ消えていった。
「これ……完全に消えた?」
アリアが警戒しながらも問いかける。
ナオはその残光を見つめながら、静かに首を振った。
「いや。消えたんじゃない。あれは“帰った”んだ……本来あるべき場所に」
カインの魂に共鳴するように現れたその書の力。
それはただの魔法書などではない。世界の“深層”に関わる、神々の遺した禁忌の記録だった。
「ナオ、これを……」
リーナが、カインの懐にあった小さな金属片を差し出す。
それは不思議な形状をした“鍵”だった。中央に複雑なルーンが刻まれており、触れると微かに鼓動のような感触が伝わる。
ナオはそれを手に取り、記憶の奥底から浮かび上がる声に、目を細めた。
――“選ばれし者よ。世界の真実に触れる覚悟はあるか?”
それは、かつて《断罪の剣》を手にしたときに聞いた“神の声”と同じだった。
「……リーナ、アリア。少し、危険かもしれない」
「構わないわ。あたしたちは、もうここまで来たのよ」
「ナオが進む道なら、私も行く。それが、私の決めたことだから」
迷いなく答える二人に、ナオは静かにうなずいた。
「ありがとう。じゃあ――行こう。すべての始まりへ」
鍵は王都地下の封印石に反応し、巨大な魔導陣を起動させた。
光とともに転移した先は、“天空神殿”。
地上からは見えない、高次元に浮かぶ、古の神々が住まったとされる聖域だった。
「……まさか、本当にあったなんて……」
空に浮かぶ都市。大理石の柱、宙に浮かぶ書庫、輝く水の川。
まるで伝説の中の世界が、現実として広がっていた。
だが、誰もいない。
この神殿に、神の気配は感じられなかった。
その中心に一つの碑文があった。
――“この世界の創造は、神々の慈悲にあらず。
人は過ちを繰り返し、やがて運命の輪に呑まれる。
転生とは、選別であり、試練である。
神々は既に去った。
残された者よ、意志を継げ”――
ナオたちは言葉を失った。
「……じゃあ、私たちが“転生”させられたのは……?」
「ただの“遊び”じゃなかったってことね。これは……“選ばれた者たちの戦い”だった」
ナオは思い出す。
カインが言っていた、“神の気まぐれ”に人生を狂わされたと感じた怒り。
しかしその裏には、神の“意志”ではなく、ただ残された“仕組み”が回り続けているだけの世界があったのだ。
「神はいない。……でも、それでも、俺たちは生きている。
だったら、この世界をどう生きるか、俺たち自身が決めていくしかない」
そう口にした時、天上にある“玉座”が蒼く光を放ち、一冊の本がゆっくりと浮かび上がってきた。
それは《創界の書》――この世界の全ての理を記した、もう一つの禁書だった。
「……これが、すべての答えか」
ナオはその本に手を伸ばす。
しかしその瞬間――。
空に亀裂が入り、虚無のような黒い闇が、天を喰らうように広がっていった。
「ッ……これは……っ!」
再び、始まろうとしていた。
世界を超えた“神々の遺産”を巡る、最終試練が――。
0
あなたにおすすめの小説
社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ
のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。
目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~
存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?!
はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?!
火・金・日、投稿予定
投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる